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'''スピネル'''({{Lang|en|spinel}}<ref name="terms">{{Cite book|和書 |
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'''スピネル''' (spinel) は、[[鉱物]]の一種で、'''尖晶石'''(せんしょうせき)ともいう。[[マグネシウム]]と[[アルミニウム]]の[[酸化物]]で、[[組成式]]は MgAl<sub>2</sub>O<sub>4</sub>。[[等軸晶系]]で八面体の[[結晶]]。[[モース硬度]]は8。[[比重]]は3.60。無色または半透明で、赤色、青色、緑色、黄色、褐色などがあり、[[宝石]]として加工される。[[石灰岩]]、[[片麻岩]]、[[蛇紋岩]]、[[かんらん岩]]中に存在する。 |
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名称は[[ラテン語]]で「棘」を意味する"spina"に由来するが、これは八面体の結晶として産出することによる。 |
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産地としては、[[ミャンマー]]、[[スリランカ]]が有名である。ミャンマー産の'''レッドスピネル'''のよい色のものは秀逸であるが、価格が非常に高い。それ以外にも、青色、ラベンダー色、ピンク、そしてそれらの中間色のものがよく産出される。青色のものはしばしば鉄分をふくみ、ややくすんだ青になる。が、それもまた面白いものがある。スリランカではレッドスピネルは少ないが、その代わりピンクのきれいなものが良くとれる(それ以外の色のものもあるが黄色は合成石でしか存在しない)。 |
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== 性質・特徴 == |
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それ以外の産地として有名なのは[[中央アジア]]の'''ピンクスピネル'''であり、これは大変希少である。[[マダガスカル]]からも少量産出することが知られている。 |
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無色または半透明で、赤色、青色、緑色、黄色、褐色などがある。八面体の[[結晶]]。[[モース硬度]]は8。[[比重]]は3.60。 |
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== 用途・加工法 == |
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特殊効果としては[[キャッツアイ効果]]、[[変色効果|カラーチェンジ]]、[[スター効果]]がある。すべて[[スリランカ]]のものが有名である。ただし、キャッツアイにせよ、スター(4-rays、6-raysの両方がある)にせよ、ほとんどの石は地色がチョコレート色なので、コレクターアイテム以上の使い道は期待できない。カラーチェンジについては、[[コバルト]]を含有したもののなかで、美しいブルーからピンクに鮮やかに変色するものがまれにある。ただ、これもコバルトスピネルが希少なものであり、この上、カラーチェンジがあるからといって価格があがるということはないと思われる。 |
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ミャンマー産の'''レッドスピネル'''のよい色のものは秀逸であるが、価格が非常に高い。それ以外にも、青色、ラベンダー色、ピンク、そしてそれらの中間色のものがよく産出される。青色のものはしばしば[[鉄]]分を含み、ややくすんだ青になる。が、それもまた面白いものがある。スリランカでは、レッドスピネルは少ないが、その代わりピンクのきれいなものが良くとれる(それ以外の色のものもあるが黄色は合成石でしか存在しない)。それ以外の産地として有名なのは[[中央アジア]]の'''ピンクスピネル'''であり、これは大変希少である。[[マダガスカル]]からも少量産出することが知られている。 |
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石言葉は「内面の充実・安全」。 |
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長い間、[[ルビー]]とレッドスピネルは混同されていた。たとえば、[[イギリス王室]]の[[戴冠式]]用の[[王冠]]に飾られている「[[黒太子のルビー]]」は、ルビーではなくレッドスピネルである。産地が極めて限定されており、しかも、産出量はそう多くないので、実際は稀少な石なのであるが、このような歴史的経緯から、「ルビーと紛らわしい石」と云ったレッテルを貼られ、人気や知名度も常にルビーの後ろに位置するので、それほど高価にはならない。 |
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かつては、無色の石がマグラックスと云った[[商標]]で[[ダイヤモンド類似石]]に用いられた。 |
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現在では、[[ベルヌーイ法]]、[[フラックス法]]による合成品が製造されている。 |
現在では、[[ベルヌーイ法]]、[[フラックス法]]による合成品が製造されている。 |
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かつては無色の石がマグラックスと云った[[商標]]で[[ダイヤモンド類似石]]に用いられた。 |
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== スピネル型結晶構造 == |
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スピネル型結晶構造をとる[[化合物]]には、電子材料として重要なものが多い。 |
スピネル型結晶構造をとる[[化合物]]には、電子材料として重要なものが多い。 |
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* [[マンガン酸リチウム]] - LiMn<sub>2</sub>O<sub>4</sub>、[[リチウムイオン二次電池]]の正極材料 |
* [[マンガン酸リチウム]] - LiMn<sub>2</sub>O<sub>4</sub>、[[リチウムイオン二次電池]]の正極材料 |
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== サイド・ストーリー == <!-- 鉱物にまつわる話や語源・名前の由来など --> |
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== スピネルグループ == |
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2012年4月11日 (水) 11:09時点における版
スピネル(尖晶石) | |
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ベトナム産 | |
分類 | 酸化鉱物 |
シュツルンツ分類 | 4.BB.05 |
Dana Classification | 7.2.1.1 |
化学式 | MgAl2O4 |
結晶系 | 等軸晶系 |
へき開 | なし |
モース硬度 | 7.5 - 8 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | 無色 |
条痕 | 白色 |
比重 | 3.6 |
文献 | [1][2][3] |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
スピネル(spinel[4])は、鉱物(酸化鉱物)の一種。尖晶石(せんしょうせき)ともいう。化学組成は MgAl2O4、結晶系は等軸晶系。スピネルグループの鉱物。
産出地
性質・特徴
無色または半透明で、赤色、青色、緑色、黄色、褐色などがある。八面体の結晶。モース硬度は8。比重は3.60。
用途・加工法
宝石として加工される。
ミャンマー産のレッドスピネルのよい色のものは秀逸であるが、価格が非常に高い。それ以外にも、青色、ラベンダー色、ピンク、そしてそれらの中間色のものがよく産出される。青色のものはしばしば鉄分を含み、ややくすんだ青になる。が、それもまた面白いものがある。スリランカでは、レッドスピネルは少ないが、その代わりピンクのきれいなものが良くとれる(それ以外の色のものもあるが黄色は合成石でしか存在しない)。それ以外の産地として有名なのは中央アジアのピンクスピネルであり、これは大変希少である。マダガスカルからも少量産出することが知られている。
特殊効果としては、キャッツアイ効果、カラーチェンジ、スター効果がある。すべてスリランカのものが有名である。ただし、キャッツアイにせよ、スター(4-rays、6-raysの両方がある)にせよ、ほとんどの石は、地色がチョコレート色なので、コレクターアイテム以上の使い道は期待できない。カラーチェンジについては、コバルトを含有したもののなかで、美しいブルーからピンクに鮮やかに変色するものがまれにある。ただ、これもコバルトスピネルが希少なものであり、この上、カラーチェンジがあるからといって、価格があがるということはないと思われる。
長い間、ルビーとレッドスピネルは混同されていた。たとえば、イギリス王室の戴冠式用の王冠に飾られている「黒太子のルビー」は、ルビーではなくレッドスピネルである。産地が極めて限定されており、しかも、産出量はそう多くないので、実際は稀少な石なのであるが、このような歴史的経緯から、「ルビーと紛らわしい石」と云ったレッテルを貼られ、人気や知名度も常にルビーの後ろに位置するので、それほど高価にはならない。
かつては、無色の石がマグラックスと云った商標でダイヤモンド類似石に用いられた。
現在では、ベルヌーイ法、フラックス法による合成品が製造されている。
スピネル型結晶構造
スピネル型結晶構造をとる化合物には、電子材料として重要なものが多い。
- フェライト - AFe2O4、A はMn、Ni、Cu、Zn 等
- NTCサーミスタ - Ni、Mn、Co、Fe などからなる複合酸化物
- マンガン酸リチウム - LiMn2O4、リチウムイオン二次電池の正極材料
サイド・ストーリー
名称はラテン語で「棘」を意味する spina に由来するが、これは八面体の結晶として産出することによる。
石言葉は「内面の充実・安全」。
スピネルグループ
- スピネル (spinel) - MgAl2O4
- 鉄スピネル (hercynite) - FeAl2O4
- 亜鉛スピネル (gahnite) - ZnAl2O4
- マンガンスピネル (galaxite) - MnAl2O4
- 磁鉄鉱 (magnetite) - FeFe3+2O4
- 磁苦土鉄鉱 (magnesioferrite) - MgFe3+2O4
- ヤコブス鉱 (jacobsite) - MnFe3+2O4
- クロム鉄鉱 (chromite) - FeCr2O4
- クロム苦土鉱 (magnesiochromite) - MgCr2O4
脚注
参考文献
- 黒田吉益、諏訪兼位「5.1 D. 尖晶石類・スピネル類」『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』共立出版、1983年、165-167頁。ISBN 4-320-04578-5。
- 松原聰「亜鉛スピネル」『日本の鉱物』学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年、71頁。ISBN 4-05-402013-5。
- 松原聰、宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会〈国立科学博物館叢書〉、2006年。ISBN 978-4-486-03157-4。
- 青木正博『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』誠文堂新光社、2011年、74頁。ISBN 978-4-416-21104-5。
関連項目
外部リンク
- Spinel Group (英語), MinDat.org, 2012年4月11日閲覧。 (英語)
- 福岡正人. “Spinel〔スピネル〕グループ”. 地球資源論研究室. 広島大学大学院総合科学研究科. 2012年4月11日閲覧。
- “gemus-spnl.htm”. 空想の宝石・結晶博物館. 2012年4月11日閲覧。