食の砂漠
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食の砂漠(しょくのさばく)は、都心部・中心市街地などにおいて地元食料品・日用品店の撤退した地区を指す。英語の"Food Desert"の直訳であり、単に「フードデサート」と呼ばれることもある。
ただ、最近では日本の地方都市にある古くからの住宅街(にある商店街)で起こっている「食の砂漠」の方が深刻である。さらに、最近では「買い物難民」と呼ばれることもある。
概要
海外
20世紀後半、先進国ではサービス経済化が進展するにつれ、都市の中心部において業務機能の集積が進行し、地価の上昇と居住人口の減少をもたらした。一方、自動車交通の発達・普及により、消費者は長距離を移動しての購買行動が可能となり、その結果地価の安い都市郊外に大型店舗が立地するようになった。
このような地価の上昇・居住人口の減少と郊外店舗という競争相手の出現により、これまで近隣住民を対象として成立してきた都心部・中心市街地の食料品店・日用品店は経営が悪化し、その多くが撤退するという現象を生み出している。一方で高地価でも立地が可能で遠距離からの消費者も呼び込める、百貨店のような店舗は残ることが多いが、このような店舗形態は一般に値段が高く、生活必需品すべてを揃えることも困難である。その結果、安価で生活必需品を購入することの困難な地区が発生するようになった。[1]
一方でこのような地区は従来からの居住者が一定程度残留しており、このような居住者は商店の撤退に伴い、日常の購買行動に重大な支障をきたすこととなった。特に生鮮食料品の購入が困難になると、その摂取量が不足し、健康を悪化させるおそれも生ずる。このような生鮮食料品の購入が困難となり健康の悪化を招くことに着目して使われるようになったのが、この「食の砂漠」問題(Food Deserts Issue)の語である。この問題は、特に低所得・高齢などのために自動車を持てない、かつ住み替え能力の低い居住者だけが取り残される傾向が強いため、社会的排除の典型例として問題視されている。
日本
2000年に大規模小売店舗法(すなわち、大店法)が廃止されて、代わりに、まちづくり3法の1つである大規模小売店舗立地法(すなわち、大店立地法)が施行された[2]。その結果、郊外型大手大型スーパーの大量出店が地方都市を中心に展開された。
その結果、地方都市を中心に中小規模小売店舗の経営が厳しくなり、廃業や倒産が相次ぐようになる。特に古くからの住宅地にある商店街の地元資本店舗が廃業や倒産に追い込まれることが多くなり、低所得者や高齢者を中心とした、自動車を持てない、かつ住み替え能力の低い居住者は、公共交通機関で百貨店がある中心街へ行くことを強いられるようになる。
ところが、その中心街も郊外型大手大型スーパーの影響を大きく受けており、百貨店を中心に廃業や倒産が相次ぐようになる。さらに、モータリゼーション(すなわち、車社会)の影響もあり、バスや鉄道を中心に路線縮小、廃止が相次ぐようになる。その結果、中心街への買い物はおろか、郊外型大手大型スーパーへ乗り換えで行くこともままならなくなっていったため、最近ではタクシーを使って郊外型大手大型スーパーへ買い物へ行くようになっている。
このような状況に危機感を持った政府は、2006年にまちづくり3法のうち、都市計画法と中心市街地活性化法を改正して、大店立地法は指針改定を行い、事実上郊外型大手大型スーパー出店を規制、商店街の再生に力を入れることとした。しかし、既に郊外型大手大型スーパーが定着している地方都市も多く、シャッター街化するなどして立て直しが容易でない商店街も多いことなどが、今後の課題となっている。