阿里山森林鉄路

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。220.100.106.212 (会話) による 2016年3月21日 (月) 12:43個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎外部リンク)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ファイル:TWAlishanRailTimetable.jpg
阿里山森林鉄路路線図(時刻表は現在のものでない)

阿里山森林鉄路(ありさんしんりんてつろ、中国語繁体字:阿里山森林鐵路)は、台湾嘉義市嘉義県に現存する森林鉄道である。阿里山玉山観光の足としても利用されている。阿里山登山鉄道とも呼ばれる。

概要

独立山スパイラルループ線

日本統治時代に阿里山のタイワンベニヒノキなどの豊富な森林資源輸送を目的に藤田組(藤田平太郎)により1906年から建設を開始し[1]1908年に平地部分である嘉義 - 竹頭崎(現・竹崎)間が完成、1912年に二萬平まで67.1kmが完成した。1914年には沼の平(ぬまのひら、現・沼平)まで延伸工事が完成し、現在の本線部分が全線開通した。その後も多くの支線が建設され、日本の神社建築などに用いる巨木も、少なからずこの鉄道を用いて運び出された。

1907年アメリカライマ社から導入された蒸気機関車シェイ式と呼ばれる特殊な片側縦置きのシリンダを持ち、傘型ギヤで動力を伝える間接駆動方式となっていた。現在は通常運転には使用されていないが、阿里山駅や奮起湖駅に動態保存されている。阿里山森林鉄路の蒸気機関車を参照。

本線は嘉義〜沼平間72.7kmの区間で、2,250m以上の高さを登るため、急峻な区間が続き、ループ線スイッチバックを組み合わせている。なお、軌間は、762mmである。また、渓谷を見下ろす雄大な景色も魅力で、沿線の植物は平地から海抜800m以下の部分が熱帯林、800mから1,600mまでが亜熱帯林、1,600m以上が温帯林となっており、垂直分布の違いによる車窓の変化も楽しむことができる。

2003年3月、阿里山駅付近で脱線事故が発生し、17人が死亡する惨事となった。2011年4月27日には倒木に伴う脱線事故が発生。6人が死亡した[2]。以後、線路の点検や危険な樹木の伐採、防護柵等の設置等の安全対策のため全線運休していたが、祝山線、神木線(本線の阿里山-神木間の通称)、沼平線(本線の阿里山-沼平間の通称)、本線の嘉義-奮起湖間は運行が再開された。 また、奮起湖-神木間は2箇所の土砂崩壊によりトンネルによる迂回が計画され、運転再開は2015年12月25日になる見込み[3]であったが、2015年9月28-29日にかけての台風の襲来による大規模な土砂崩れで路盤・トンネルが流されて無期延期に。直後の報道では復旧には少なくとも2年かかると見られている[4]

運営組織

中華民国行政院の管理下にある国有鉄道の一つであり、交通部台湾鉄路管理局の所属ではなく、農業委員会林務局嘉義林区管理処の所属となっている。2008年6月19日より宏都阿里山国際開発公司によって、BOT方式で民営化されたが、2010年3月22日をもって契約を解除し、同年5月8日より林務局の管理下に戻った。2013年5月には交通部台湾鉄路管理局による運営協力が行われるようになった。

運行形態

阿里山森林鉄路阿里山線の阿里山号列車

1982年の台18線・阿里山公路開通に伴う、バスや自家用車との競合がある中、2015年4月現在、本線(嘉義―奮起湖間)には毎日1往復の全席指定列車阿里山号が運行されているほか、日曜日などに阿里山号がもう1往復運行されている。切符は台鉄の嘉義駅で発売されている。終点の奮起湖駅には駅弁がある。

また、祝山線は、ご来光の時間に合わせて未明に阿里山駅を出発する列車が毎日1便運行されており、ご来光の30分ほど前に祝山駅に到着、すぐ前にある展望台から、玉山方向から昇る朝日を拝めるように考えられている。また、日の出の40分後ぐらいには、帰りの阿里山行き列車が運転される。

神木線の阿里山-神木間には区間列車が運行され毎週水曜日には檜木車両も運行される。また、沼平線の阿里山―沼平間にも区間列車が運行されている。

特徴

  • 塔山駅は戦前の日本最高地点の鉄道駅(標高2,346m)であり、当時には「我國鐵道最高地点 海拔二三四六米」の標柱があった。
  • 祝山駅は現在の台湾最高地点の鉄道駅(標高2,451m)である。
阿里山森林鉄路祝山線の列車

路線一覧

  • 阿里山線:嘉義-沼平(元の阿里山駅)
  • 祝山線:阿里山-祝山(御来光に合わせて早朝に運転)
  • 眠月線(旧称:塔山線):阿里山-眠月(台湾大地震後運休、復旧工事中)
  • 水山線:沼平-水山 (元林場線で工事中)

姉妹鉄道

関連項目

出典

外部リンク