豊崎由美
豊﨑 由美(とよざき ゆみ、1961年7月3日 - )は、日本のフリーライター、書評家。愛知県生まれ。東洋大学文学部印度哲学科卒業。
編集プロダクション勤務を経て、フリーとなる。文芸、演劇、スポーツ、競馬予想などを手がける。
人物・エピソード
父は特攻隊の生き残りで、石原慎太郎の『スパルタ教育』に影響を受けてスパルタ教育を施したため、石原に恨みがあると言っている[1]。 「皆さんは「家族」について考えたことはありますか。私は小学校六年生の時に、九歳年上の姉が自殺し、その翌年には母親を病気で亡くしたせいで、若い頃は「自分には家族がない」というコンプレックスから、無闇と家族制度を否定する中二病的態度を取ったものでした。(今となっては恥ずかしい黒歴史)。」[2]と回顧している。
「hanako」や東京中日スポーツで競馬予想記事を執筆したのち、「CREA」にてインタビューや取材などを担当するライターとして活動。当時同誌編集長であった平尾隆弘(のちの文藝春秋社社長)の働きかけにより、書評記事を書き始めるようになる[3]。書評は小説を中心にジャンル横断的に手がける。(翻訳書を含む)日本語の小説については新作から古典、純文学からエンターテイメントまで幅広く通じているが、先鋭的、前衛的な手法の文学を特に好む[要出典]傾向があり、全体的な姿勢としてはエンタメよりも純文学寄りである。「本が売れないこと」を理由にする純文学への侮蔑には真っ向から反論している。
文壇の大御所、大家に対しても「慎ちゃん」(石原慎太郎)、「テルちゃん」(宮本輝)、「ジュンちゃん」(渡辺淳一)、「ツモじい」(津本陽)などあだ名を付け、容赦なくこき下ろす。また、書評に関しても「現代文学が読めない人」(宮本)、「候補作すら読んでおらず、他の選考委員や編集者にあらすじを教えてもらっているらしい」(津本)、「日本語がおかしい」(石原)などと厳しい批判をする[要出典]。
大森望との共著『文学賞メッタ斬り!』シリーズは大ヒットとなった。大森とは1997年の「このミステリーがすごい!」座談会で初めて出会い、豊崎も「NW-SF」誌やサンリオSF文庫の大ファンだったことから意気投合した。
TBSラジオ「ストリーム」内の「ストリームブックレビュー」(毎月第1・第3木曜)にも出演していた。
著書
- 『パチンコ天国極楽ケイバ』(筑摩書房、1997年)
- 『それ行けトヨザキ!! Number迷コラム傑作選』(文藝春秋、1999年)
- 『そんなに読んで、どうするの? 縦横無尽のブックガイド』(アスペクト、2005年)
- 『どれだけ読めば、気がすむの?』(アスペクト、2007年)
- 『正直書評。』(学習研究社 2008年)
- 『勝てる読書』(14歳の世渡り術)(河出書房新社 2009年)
- 『ニッポンの書評』(光文社新書、2011年)
- 『まるでダメ男じゃん! 「とほほ男子」で読む百年ちょっとの名作23選』(筑摩書房、2014年)
共著
- 『文学賞メッタ斬り!(大森望共著、パルコ、2004年、のちちくま文庫)
- 『百年の誤読』(岡野宏文共著、ぴあ、2004年、のちちくま文庫)
- 『文学賞メッタ斬り! リターンズ』(大森望共著、パルコ、2006年)
- 『文学賞メッタ斬り! 受賞作はありません編』(大森望共著、パルコ、2007年)
- 『百年の誤読 海外文学編』(岡野宏文共著、アスペクト、2008年)
- 『文学賞メッタ斬り! 2008年版 たいへんよくできました編』(大森望共著、パルコ、2008年)
- 『文学賞メッタ斬り! ファイナル』(大森望共著、パルコ、2012年)
- 『石原慎太郎を読んでみた』栗原裕一郎共著 原書房、2013
短文等
注
- ^ 『石原慎太郎を読んでみた』23-24pp
- ^ 2012年7月8日『図書館教育ニュース』第1279号
- ^ 豊崎由美氏、ライター時代の経験を語る