議員

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議員(ぎいん)とは、地方自治体に設置されている議会、及びその他の議決機関を組織し、その議決に加わる資格を有する者。以下、本記事では、特記ない限り、議会の議員について述べる。

原則として議員の選出は公選制であり、その国の法律の定めるところの選挙権を有する有権者による選挙によって選出される。なお、日本の公職選挙法の第10条では、被選挙権は日本国民が有するものと定められている[1]

概要

国の最高議決機関として日本の国会に相当する議会あるいはそれに類する組織を設置している国には定員の数こそ違えど議員としての権限を有する者がいることになる。また、その国の地方自治体にも議会が存在し、それを構成する議員がいる。ただし、国家元首による独裁政治や議員のほぼすべてが同じ政党に属する一党独裁政治が行われている国家では、議会そのものは存在していてもその存在は形骸化しており、採決に際して国家元首や政党の意向に背くような票を議員個人が投じることが実質的に不可能な場合がある。更に、議員を選ぶ側であるはずの有権者にも議員を選ぶ余地が与えられていないことさえある。また、議会は議会として概ね正常に機能している場合でも、アメリカ合衆国のように大統領に大きな権限が与えられ、議会の決定が国益に背くと判断する場合にはその決定を覆すことができ、議員の意思が結果的に無に帰してしまうこともある。

議員と利権

議員を仲立ちとする地方と国との利権関係やそれに起因する諸問題は、今も昔も政治の世界では避けて通ることができない。議員を選出する側である有権者は、諸制度の改善や地元地方へのインフラ整備などによる社会的・福祉的な恩恵、又は国家的なイベントや高速交通機関の誘致や公共事業の受注などによる経済効果を求めるし、議員の側も地元への便宜をはかることで次の選挙での再選を期そうとする。社会的な利益の還元として地元を潤す形であれば特に法を犯すこともないが、一部の議員の強烈な圧力によって公共事業の計画を大幅に変更させたり、公共事業をばらまいたりといった行為がしばしば非難の対象となる。こういったことは日本に限らずアメリカでも聞かれる話で、少し古い話だが、1950年代後半にアメリカ陸軍準中距離弾道ミサイルMGM-31 パーシングの主契約企業の選定作業で、元ミシガン州知事であった陸軍長官ウィルバー・ブラッカーが、契約をミシガン州の企業に与えるように地元から圧力をかけられていたことがあった。候補に挙がっていた企業の中でミシガン州の企業はクライスラーだけであったが、実際に受注したのはマーティン・マリエッタであった。

こういった議員を仲立ちとする利権が、制度の不備の改善や交通網の整備といった公共の福祉を大幅に超えて特定の個人企業に対する不正な利益供与に至ると汚職という形になり、刑事事件にも発展していく。議員の汚職は幾度となく問題となり、逮捕者が出たり、有罪判決が出て議員としての職を失ってしまったりするような事件が起こっても後を絶つことがない。また、有罪判決を受けて失職してしまったにも関わらず、有権者の地元への恩恵の期待から、その議員が次の選挙で再び当選してしまうことも決して珍しいことではない。

議員の種類

国の最高議決機関を両院制としている国では、上院下院にわかれていることが多い。これらに所属している議員をそれぞれ上院議員下院議員と呼ぶ。世界的な視点で見れば、日本の参議院議員が上院議員にあたり、衆議院議員が下院議員にあたるが、日本の国会議員を指す場合には上院議員、下院議員という言葉は用いない。ただし、上院と下院はいずれも便宜的な名前であり、英語でも upper house 、lower house などと呼ぶが、正式名が各国それぞれ別にある。例えば、アメリカ連邦議会アメリカ合衆国上院は直訳すると「合衆国元老院」であるし、アメリカ合衆国下院は「合衆国代議院」である。日本の新聞ニュースではほとんどの国の上下院議員を「アメリカ上院議員」などと国名を付けて呼ぶことがほとんどで、大統領選挙の場合など国名が自明である場合や複数の議員の名前を挙げる場合など繰り返しになる場合は国名を省略する。

所属する議会の権限によって議員の権利や権限も大きく変わる。日本で言えば、国会議員には不逮捕特権があるが、地方議会議員にはこれがない。

日本の議員

議会の議員以外の議員

皇室会議[2]皇室経済会議[3]には「議員」が置かれている。

脚注

  1. ^ 公職選挙法”. 法令データ提供システム. 総務省 (2007年6月15日改正). 2008年11月28日閲覧。
  2. ^ 皇室典範28条。
  3. ^ 皇室経済法8条1項。

関連項目

議員に関する言葉