不逮捕特権
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不逮捕特権(ふたいほとっけん)は、逮捕されない特権。国会議員や外交官などの身分を保証するために認められている。
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[編集] 憲法に基づく不逮捕特権
[編集] 国会議員
日本では現職国会議員の場合、国会の会期中のみ(参議院議員は例外的に参議院の緊急集会も含む)に認められていて、その間は逮捕されることはないが、現行犯の場合はこの限りではない[1]。ただし、司法官憲が議院に逮捕許諾請求をして、所属議院において逮捕許諾決議案が可決された場合、逮捕できる(日本国憲法第50条、国会法第33条、第34条)。また会期前に逮捕された議員は所属議院から釈放の決議がなされた場合、会期中は釈放しなければならない(日本国憲法下で釈放要求決議が本会議で採決された例はない)。
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。(日本国憲法第50条)
このような不逮捕特権があるのは、官憲による不当な逮捕、勾留によって議員活動が制限されるのを防止するためである。また、例えばある法案に賛成(反対)する議員を何か理由をつけて逮捕、勾留させ表決に参加させないことで賛成(反対)投票の絶対数を意図的に少なくするという、適切な民主主義が反映されない表決を防止する目的もある。
大日本帝国憲法下でも上記のような国会議員の不逮捕特権(議会開会中の議員の逮捕には特別な勅令を要した)はあったが、内乱罪と外患罪は現行犯でなくても議院の許可や特別な勅令がなくても逮捕が可能であった。ただし内乱罪と外患罪自体、適用された実例がない。
[編集] 国務大臣
内閣の一体性や国務大臣の職務の重要性から、在任中の国務大臣は内閣総理大臣の同意のない訴追は認められていない(憲法第75条)。前述の国会議員も不逮捕特権は存在するが、前述の国会議員の不逮捕特権は国会開会中の令状逮捕に限定した話であり閉会中にはないこと(ただし、開会後に釈放要求決議可決による釈放は可能)、国務大臣は民間人閣僚である場合があることなどから、国会議員の不逮捕特権とは少し性格が異なる。なお、鳩山由紀夫内閣の時に、「内閣総理大臣その人が逮捕・訴追の可能性がある場合、国務大臣の不逮捕特権との関係はどうなるのか?」ということが話題になったが、結局訴追の同意が求められることはなかった。
ただし、首相の同意なしで現職閣僚が逮捕された例はある。1948年9月30日には栗栖赳夫国務大臣(経済安定本部総務長官兼物価庁長官兼中央経済調査庁長官)が昭和電工事件で逮捕された時、東京地裁は「訴追は、逮捕・勾留とは関係ない」との判断を下し、首相の同意なしに逮捕令状を交付した。ただし昭和電工事件の当時はGHQ統治下であり事件を巡っては芦田内閣を巡ってGHQの内部争いによる側面があったこと、逮捕というのは訴追を前提とした措置であることが明白ではあるとして、訴追と逮捕を別個と捕らえることで首相同意なしの閣僚逮捕を正当化することについては問題視されることもある(なお、栗栖の刑事裁判は1962年に最高裁で有罪が確定している)。
[編集] 法律及び条約に基づく不逮捕特権
[編集] 天皇及び摂政等
皇室典範第21条や国事行為臨時代行法第7条により摂政や国事行為臨時代行は、摂政在任中又は国事行為臨時代行委任されている間は訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。」により摂政や国事行為臨時代行は起訴を受けない。したがって逮捕も想定しえない[要出典]。ただし、摂政在任中又は国事行為臨時代行が委任されている間の訴追は公訴時効は停止となり、摂政退任又は国事行為臨時代行終了と同時に公訴の提起がされる。
天皇についての条文はないが、摂政の条文から同様に解釈されている [2]。
[編集] 外交官
外交官の場合、外交関係に関するウィーン条約による外交特権で認められている(これによりスパイ防止法の実効性が形骸化し、外交特権を持つ人間のスパイ活動継続を防ぐにはペルソナ・ノン・グラータくらいしか対抗手段がなくなっている)。現行犯であっても保障される。ただし殺人など凶悪な犯罪を犯した場合に一時的に拘束される場合がある。
[編集] 在日米軍
在日米軍の場合、日米地位協定によって日本の警察には公務中の犯罪(例えば事故などによる業務上過失致死や航空危険行為等処罰法違反など)では逮捕されない。代わりに米軍憲兵隊が関与することがある。
[編集] 大統領
一般に国家元首に対する訴追は否定されており、フランス、イタリアでは国家反逆罪以外では訴追しないことが憲法に規定されている。この場合弾劾による議決(判決)により失職することで訴追の対象となる。弾劾制度については各国により対象者の範囲や制度の趣旨、訴追への過程がことなる。詳しくは弾劾を参照。
[編集] 脚注
- ^ 1964年に米軍の原子力潜水艦寄港反対のデモに参加して、公務執行妨害罪の現行犯で逮捕された楢崎弥之助衆議院議員(日本社会党)や、2005年に女性に抱き付き強制わいせつ罪の現行犯で逮捕された中西一善衆議院議員(自由民主党)の例がある。(肩書はいずれも逮捕当時のもの)
- ^ 過去に政府委員による国会答弁として「…天皇につきましては訴追を受けないというようなことは、特別の規定はございませんが、皇室典範の摂政の二十一条「摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。」というのがございまして、天皇の場合は、当然そういうことから考えても訴追はされないという解釈でございます」(瓜生順良宮内庁次長)がある。第46回参議院内閣委員会29号(昭和39年5月7日)発言者番号21