諸磯の隆起海岸

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諸磯の隆起海岸。2018年4月15日撮影。

諸磯の隆起海岸(もろいそのりゅうきかいがん)は、神奈川県三浦市にある隆起海岸

過去に起きた地震の証拠が集中して存在していて貴重なため、1928年3月24日に国の天然記念物に指定された[1]

地形

諸磯の隆起海岸の位置(神奈川県内)
諸磯の 隆起海岸
諸磯の
隆起海岸
諸磯の隆起海岸の位置

諸磯の隆起海岸は神奈川県の三浦半島に位置している。

地質

入口案内板。2018年4月15日撮影。
解説板。2018年4月15日撮影。

三浦半島の地層は上位から相模層群三浦層群葉山層群で構成されている。三浦層群は岩相の違いから地域ごとに三崎層・初声層・逗子層・池子層と呼ばれており、諸磯の隆起海岸周辺は三崎層が多く分布している。三崎層は約1200万年前から450万年前までの間に、水深2000メートルから3000メートルの深海に堆積した地層のことである。この層は主に泥岩層凝灰質砂岩層凝灰岩層からなる。

地震の証拠

諸磯の隆起海岸に存在する地震の証拠として、穿孔貝(せんこうがい)による無数の小穴が挙げられる。穿孔貝は波打ち際の地面や岩石に穴をあけて生息する二枚貝で、諸磯の隆起海岸にはこの小穴により4段の層が形成され、過去に4回の地震が起きたことが推測できる。地震学者の今村明恒によると過去3回までの地震は、それぞれ大正12年(1923年)の関東大震災、元禄16年(1703年)の大地震、弘仁9年(818年)の大地震であることが判明した。隆起の原因となった最古の地震を今村は西暦33年に起きたと解釈しているが、日本地震学会が確認している日本最古の地震は允恭天皇5年7月14日[2](416年8月23日)に遠飛鳥宮付近で起きたものである。

穿孔貝

穿孔貝は波打ち際の岩石等に穴をあけて生息し、他の貝の殻に穴をあけて餌としている二枚貝である。穿孔貝の種類としては、スズガイニオガイカモメガイイシマテガイなどがある。

地震

現在確認されている、諸磯の隆起海岸を形成したとされる地震は以下の通りである。

年月日 元号 震央 M
0818年 弘仁09年 関東諸国 7.5
1703年12月31日 元禄16年 伊豆東方沖 7.9–8.2
1923年09月01日 大正12年 相模湾中央(関東大震災 7.9

位置情報

周辺

脚注

参考文献

  • 奥村清『新版神奈川県地学のガイド』コロナ社、2003年。101-113頁
  • 貝塚爽平ほか編『日本の地形4 関東・伊豆小笠原』財団法人東京大学出版会、2000年。136-149頁
  • 鈴木尉元「今村明恒の地震学」『地球科学』59巻、2005年。329-334頁
  • 日本の地質編集委員会編『日本の地質3 関東地方』共立出版株式会社、1986年。88-90頁
  • 羽部忠重『原色日本貝類図鑑』保育社、1961年。

関連項目

外部リンク

座標: 北緯35度9分5.0秒 東経139度37分23.0秒 / 北緯35.151389度 東経139.623056度 / 35.151389; 139.623056