補欠選挙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。ChuispastonBot (会話 | 投稿記録) による 2012年4月8日 (日) 20:56個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.7.1) (ロボットによる 追加: no:Suppleringsvalg)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

補欠選挙(ほけつせんきょ)は、議会における議員の欠員を補充するための選挙補選(ほせん)ともいう。当選者は前任者の残任期間を在任する。

日本の場合

国政選挙

実施要件

衆議院小選挙区では欠員が生じたとき、参議院選挙区では任期を同じくする者(いわゆる半数改選ごと)の定数の4分の1を超える欠員(東京都選挙区で2人[1]、それ以外の選挙区では1人)が生じたときに実施する。

比例区においては、当該比例ブロックにおいて欠員が定数の4分の1を超えた時、補欠選挙が行われる。比例区では、議員の辞職・死亡があっても繰り上げ当選となり、欠員が生じにくいため、比例区の補欠選挙実施例はない。

中選挙区時代の衆議院では、選挙区の欠員が2名に達した時に補欠選挙が執行された(ただし定数1の奄美群島区は例外)。定数3~5を基本とする中選挙区制で欠員が2名に達した事例は少なく、第二次世界大戦後に中選挙区制が存在した49年間で補欠選挙は19回に留まった[2][3]

実施日程

原則

現在の日本の国政選挙では原則として年2回に統一されている。統一補欠選挙統一補選とも呼ばれる。

補欠選挙を行うべき事由が生じる9月16日から翌年の3月15日まで(第一期間)に生じた場合は、投票日を4月の第4日曜に、補欠選挙を行うべき事由が3月16日から9月15日まで(第二期間)に生じた場合は、投票日を10月の第4日曜とすることとなった。

かつての補欠選挙は、補欠選挙を行うべき事由が生じた時から数ヶ月以内に行う、とされていた。しかし、総選挙に小選挙区制が導入された1996年以降は、全国的に補欠選挙の回数が増大していった。回数があまりも多いために、選挙事務にかなりの費用がかかり、有権者の関心も薄くなってしまったため、2000年の公職選挙法改正によって現在の年2回に統一する方式になった。

参院通常選挙との同時実施の場合
  • 非改選の参議院議員の場合について、参議院議員通常選挙が行われる年の3月16日から選挙公示の前日までに、補欠選挙を行うべき事由が生じた場合には、当該補欠選挙を通常選挙と同時に行われる。
その場合、当該選挙区の通常改選定員より下位の候補者は、補欠選挙の当選者扱いと見なされ任期期間は短くなる。例えば、改選定数4(通常改選定数3)の場合、3位までの当選候補者は通常と同じ6年間の任期を務められるが、4位の当選者は補欠選挙の当選者であるため、任期期間は3年となる[4]
  • 衆議院議員の補欠選挙においては、参議院議員通常選挙の行われる年の3月16日から公示直前の国会閉会前(なお、参議院議員任期満了54日前まで国会が閉会になっているときは54日前)までに補欠選挙の事由が生じたときは、参議院議員通常選挙のときに補欠選挙を行う。2007年参議院議員通常選挙に於いて、衆議院岩手1区及び熊本3区選出議員補欠選挙を執行している。

なお、衆議院議員総選挙のときに、参議院議員の補欠選挙の事由が生じても、総選挙の期日が統一補欠選挙の期日と同一にならない限り、同時に行われることはない(2003年秋の統一補欠選挙が最近のケースとされている。この時は、参議院埼玉選挙区選出議員補欠選挙の後に衆議院議員総選挙が公示されている)。

再選挙との同時実施の場合

その他、参議院議員の補欠選挙については、統一対象外再選挙が行われる場合は、その再選挙の際、補欠選挙を行うものと規定している。

補欠選挙が実施されない場合
  • 議員任期が終わる日の6ヶ月前の日に属する第一期間又は第二期間の初日以降に係る補欠選挙は行わない。
  • 参議院選挙区選出議員が当選後3ヶ月以内に欠員となった場合は、当該選挙区において次点の法定得票に到達した候補者が繰り上げ当選となり、補欠選挙は行わない。
  • 選挙無効訴訟において該当する選挙区では補欠選挙を実施できない(例として1987年参議院神奈川県選挙区の補選、2005年衆議院東京都第4区の補選がある)。

補欠選挙は一部地域限定ではあるが、大型国政選挙の間における有権者の審判として注目される。

地方議会選挙

都道府県議会においては、定員が複数の選挙区で2人以上の欠員が出た時、または定員が1人の選挙区で欠員が出た時に行う。市町村議会においては、欠員が定員[5]の6分の1を超えた時に補欠選挙が行われる。ただし、この条件を満たさない場合でも、都道府県知事(市町村長)の選挙等[6]が行われる場合、選挙の告示前(市町村議の場合は選挙の告示の日前10日)までに欠員があれば、同時に補欠選挙が行われる。

補欠選挙を行うべき事由が発生した場合、50日以内に行われる。当該議員の任期が終わる前6ヶ月以内に補欠選挙を行うべき事由が生じた場合は行わない。しかし、欠員が定数の3分の1を超えた時、補欠選挙が行われる。ただし、選挙無効訴訟において該当する場合は、補欠選挙を実施できない。

当選後3ヶ月以内に欠員となった場合は、参議院選挙区と同様、繰り上げ当選が優先される。

その他

公職選挙法第87条の2により、2000年5月17日以降に国会議員を辞職や失職した場合、その失職によって行われる補欠選挙の候補者にはなれない規定になった。これは「任期を自ら放棄したことで発生した補欠選挙に立候補をして、再び同じ任期を得ようとすることは合理性を欠く」との判断である。不祥事を起こしたり、スキャンダルが公知となった議員が一度辞職をした場合、当該議員が辞職をしたことによって発生した補欠選挙には立候補(みそぎ選挙)をすることができない(他選挙区の補欠選挙であれば可能)。都道府県議、市区町村議会議員の場合は立候補が可能。

日本以外の場合

脚注

  1. ^ 通常選挙と時期が遠いため合併せず、個別の補欠選挙として行う場合には、欠員2名以上が要件となるが、当該選挙区で任期を異にする者の通常選挙と合併して行う場合は、欠員が1人であっても定数を合算して実施される。この場合は最下位当選者が補欠選挙での当選者扱い(任期約3年)となる。なお、1992年の第16回参議院議員通常選挙までは北海道選挙区でも同じ規定が適用された。
  2. ^ 佐藤令 戦後の補欠選挙
  3. ^ 直近の例では、1992年群馬2区中島源太郎須永徹の死去により補選が行われ、谷津義男中島洋次郎が当選した
  4. ^ 過去には以下の3回の選挙でこの規定が適用されている。
    選挙 選挙区 定数 補欠当選議員
    1950年参院選 北海道選挙区 4 有馬英二民主党
    1962年参院選 東京都選挙区 4 野坂参三日本共産党
    1992年参院選 埼玉県選挙区 2 佐藤泰三自由民主党
  5. ^ 選挙区がある場合は選挙区の定数
  6. ^ その他再選挙、増員選挙が行われる場合を含む。

関連項目