粘弾性

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連続体力学


粘弾性のマクスウェルモデル。外力に対して応答の速いばね (E) と、応答の遅いダッシュポット (η) を直列に並べたものとして表される。粘弾性体の応力緩和を表現する。
ケルビン・フォークトモデル。ばねとダッシュポットを並列に並べたものとして表される。粘弾性体のクリープを表現する。
標準線形固体 (SLS) モデル。上記2つのモデルを組み合わせたもので、応力緩和とクリープの両方を表現できる。

粘弾性(ねんだんせい、viscoelasticity)とは粘性及び弾性両方をあわせた性質のことである。この粘弾性を持った物体を粘弾性体といいプラスチックなどの高分子物質がこの粘弾性体に該当する。

簡単な説明

一般に粘性は液体の、弾性は固体の性質と考えられる。どちらもそれぞれにおける変形のしやすさ(しにくさ)をあらわすものであるが、その様相には大きな差がある。固体は加えられた力に応じて変形するが、加えた力がなくなれば元の形に戻る。液体の場合にはやはり変形するが、力がなくなっても元には戻らない。

ところが、例えばビニールの場合、引っ張ると伸びるが、力を抜いてもすぐには戻らず、ゆっくりと元に戻る。また卵の白身は液体に見えるが、かき混ぜた箸をはずすと多少だが跳ね返るように戻る。これらの物質は粘性と弾性を兼ね備えているために、このような挙動をすると考えられる。

分類

線形粘弾性

粘弾性体にひずみを加えた際の挙動が線形で表せる性質のことである。この性質を表すためにマクスウェルモデルがよく用いられる。物体のひずみが1以下の小変形時によく見られる性質である。

非線形粘弾性

粘弾性体にひずみを加えた際の挙動が線形で表せず非線形となってしまう性質のことである。物体のひずみが1以上の大変形の際によく見られる性質である。

参考文献

  • 日本レオロジー学会編,講座・レオロジー,第一版,高分子刊行会,2001年。

関連項目