粘弾性
| 連続体力学 | ||||||||
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粘弾性(ねんだんせい、英: viscoelasticity)とは粘性と弾性の両方を合わせた性質のことである。基本的にすべての物質が持つ性質であるが、特にプラスチックやゴムなどの高分子物質に顕著に見られる。
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概要 [編集]
一般に粘性は液体の、弾性は固体の性質と考えられる。どちらもそれぞれにおける変形のしやすさ(しにくさ)を表すものであるが、その様相には大きな差がある。固体は加えられた力に応じて変形するが、加えた力がなくなれば元の形に戻る。液体の場合にはやはり変形するが、力がなくなっても元には戻らない。
ところが、例えばビニールの場合、引っ張ると伸びるが、力を抜いてもすぐには戻らず、ゆっくりと元に戻る。また卵の白身は液体に見えるが、かき混ぜた箸をはずすと多少だが跳ね返るように戻る。これらの物質は粘性と弾性を兼ね備えているために、このような挙動をすると考えられる。
ある物質が粘弾性体か、あるいは粘性体または弾性体に近いのかは、その物質に一定のひずみを与えたときの応力緩和(応力の時間変化)の緩和時間を見ることで判別できる。緩和時間が観測の時間スケールに対して十分短ければ粘性体、長ければ弾性体、同等のスケールであれば粘弾性体として扱われる[1]。このことから、緩和時間と観測時間スケールの比をデボラ数と言い、判別の目安とされる。
分類 [編集]
- 線形粘弾性
- 粘弾性体にひずみを加えた際の挙動が線形で表せる性質のことである。この性質を表すためにマクスウェルモデルやケルビン・フォークトモデルがよく用いられる。実際には非線形であっても、物体のひずみが 1 以下の小変形時に線形近似することで線形粘弾性として扱うことが多い。
- 非線形粘弾性
- 粘弾性体にひずみを加えた際の挙動が線形で表せず非線形となってしまう性質のことである。物体のひずみが 1 以上の大変形の際によく見られる性質である。解析は線形粘弾性より複雑である。
複素弾性率 [編集]
粘性はニュートンの粘性法則などの応力-ひずみ速度の関係で、弾性はフックの法則などの応力-ひずみ関係で記述されるが、線形粘弾性に対する、これらに相当するパラメータが複素弾性率である。粘弾性体に正弦波形のひずみを入力したときの応力の応答によって定義する。電気工学で用いられるインピーダンスや、制御工学の周波数伝達関数に良く似た概念である。
右図の各モデルに対して、複素弾性率E* は以下のように複素数で、かつ入力の角周波数ωの関数として定義される。
- マクスウェルモデル
- ケルビン・フォークトモデル
- 標準線形固体モデル
ただし、i は虚数単位である。
E はばね係数でありエネルギーを蓄積する効果を、またηは粘性係数でありエネルギーを散逸させる効果を表している。このことから、複素弾性率の実部を貯蔵弾性率、虚部を損失弾性率と呼ぶことがある[1]。
物質が粘性体に近いとき複素弾性率の位相はπ/2 に近く、弾性体に近いときは 0 に近い[1]。
参考文献 [編集]
- ^ a b c Peter Atkins; Julio de Paula; 千原秀昭, 稲葉章訳 『アトキンス物理化学要論』 (4版) 東京化学同人、2007年、194頁。ISBN 978-4-8079-0649-9。
- 日本レオロジー学会編 『講座・レオロジー』 (1版) 高分子刊行会、2001年。


