空気エンジン
空気エンジン(くうきエンジン、英: compressed air engine)は、空気圧で作動する原動機である。
概要
内燃機関、電気モータ等の別の動力源によって空気を圧縮してボンベに蓄え、この圧縮空気の噴射を機械的な仕事として取り出すものである。2世紀以上の歴史があり、小型の携帯型タービンから数百馬力以上のものまで広範囲に使用されている。いくつかの形式はピストンとシリンダー型でタービン式もある。ピストン式は低回転でのトルクが大きい。タービン式は高速回転に適している。大型の動力装置としての空気エンジンは空気の膨張時に周囲の熱を奪い凍結や出力低下の問題を起こすことから熱交換機を使って温める機構を持っていることが多い。 排気が空気のみであるため周囲を汚損しないことから鉱山等火気厳禁の場所や空気量の限られた内燃機関が使用できない場所などで使う目的で無火機関車や魚雷などに用いられてきたが、現代では電気駆動の方がメリットが大きくなり使用されなくなった。 なお、何らかの燃料を燃焼させて空気を暖める一種のスターリングエンジンについては、熱空気機関という呼称で別に扱われる。
工具
インパクトレンチやドリル、歯科用ドリルや気圧式工具は空気エンジンまたは空気モーターを使用する。
欠点として高圧空気の排気による騒音が大きく、特に歯科用ドリルでは患者に不快感を与えることから使用されなくなってきている。
魚雷
初期の成功した自航式魚雷はほとんどが高圧空気を使用していたが、出力向上の限界に達し、内燃機関や電気モーターに取って代わられた。 黎明期には圧縮空気を酸化剤にして燃料を燃焼させることで空気を高温することで圧力を上げて出力向上を図る内燃機関と空気エンジンのハイブリッドも作られた。
鉄道
圧縮空気式の路面電車や入換機関車や鉱山での機関車が電車に置き換えられるまで使用された[1]。3段膨張式空気エンジンには空気の熱を交換するようになっていた[2]。空気圧で動作する機関車は圧縮空気式機関車やエアーロコなどと呼ばれ、無火機関車(ファイアレス)の一種とされている。
航空機
商業機には空気圧でエンジンを始動する装置が搭載されている。圧縮空気はAPUまたは地上支援設備から供給される。
自動車
近年、圧縮空気車用にいくつかのエンジンが開発されている。しかし、まだ個人向けの交通機関として耐久性が十分なものは現れていない。
Energine社
韓国の会社、Energine[3]社は圧縮空気式と電気エンジンを組み合わせたハイブリッドカーを供給する。圧縮空気エンジンで発電して自動車を走らせる。
エンジンエア社
オーストラリアの会社、エンジンエア[4]は圧縮空気式ロータリーエンジンを製造する。発明者のアングロ・ディ・ピエトロにちなんでディ・ピエトロ・モーターと呼ばれる ロータリーピストンを元にしている[5]。
小型船舶や自動車への使用を想定している[6] 。
K'エアモバイルズ社
K'エアモバイルズ社[7]は圧縮空気エンジンでK'Airとして知られ、フランスの研究者の小グループが開発した。
これらのエンジンは圧縮空気の消費が毎分120リットル以下であるが4kNの押し当て力を生じる。
K'Air空気エンジンの技術的な概念は空気の特性を引き出すことにある。
- 圧縮空気の押し出し力を運動エネルギーに変換する。
- 自身の変換した力を回転力に変換する。
- 低回転時における燃料消費は非常に少ないが大きなトルクを得られる。