梶野悳三

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。2400:4050:96c3:7000:5d1d:1718:2c37:909b (会話) による 2022年3月2日 (水) 09:07個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎著書)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

梶野 悳三(かじの とくぞう[1][2]1901年1月29日[1][2][3] - 1984年4月1日[1][2])は、昭和期日本の小説家

来歴

新潟県生まれ[1][2][3]。本名・正義[1][2][3]。1921年に横須賀海兵団に入り、水兵となる[1][3]海軍三等主計兵曹であった[3]柔道に励んで四段となる[1]。退団後、柔道知識を生かして梶野千万騎(かじの ちまき)の筆名で「試合もの」の小説を書き始める[1]。1933年、山手樹一郎らと『大衆文学』を創刊[1][3]長谷川伸新鷹会に加入後、悳三に改名[1][3]

1930年代後半から海洋文学、とくに捕鯨船員の生活などを描いた長編を手掛けるようになり、「俺は水兵」「鯨の町」などの作品を発表する[3]

1946年、北海道天塩漁場を描いた「鰊漁場」(『大衆文芸』1947年6月号)で大衆雑誌懇話会賞を受賞[1][2][3]。1950年「金剛童子」で第24回直木賞候補、1952年「防波堤」で第27回直木賞候補[2]。「鰊漁場」は「ジャコ万と鉄」として1949年に谷口千吉監督、黒澤明、谷口千吉脚色、三船敏郎月形龍之介主演、1964年にも深作欣二監督、高倉健丹波哲郎主演で再映画化され、小説も改題された[3]

映画監督梶野竜太郎は孫。

著書

  • 『海の戦友』好文館 1941
  • 『黒潮日記』童話春秋社 1942 ※梶野正義名義
  • 『日米短艇競漕』童話春秋社 1942 ※梶野正義名義
  • 『鯨の町』錦城出版社 1943 「海の野獣」(改題) 春陽文庫 1955
  • 『海の男』春陽堂書店 1943
  • 『海底戦士』金鈴社 1944
  • 『ジャコ萬と鉄』寳文館 1948
  • 『海の怪獣』春江堂 1948
  • 『黒潮にいどむ少年漁夫』泰光堂 1949
  • 『幽霊船』偕成社 1949
  • 『坊ちやん教師』新小説社(新小説文庫)1951
  • 『港へ来た男』春陽文庫 1953
  • 『東尋坊の鬼』豊文社 1954
  • 『風雲講道館』豊文社 1954
  • 『講道館の鬼』同人社 1956
  • 『講道館の五人男』同人社 1956
  • 『南極の野獣』同人社 1957
  • 『青春講道館』同人社 1957
  • 『水兵物語』大日本雄弁会講談社(ロマン・ブックス)1957
  • 『港の野郎ども』同人社 1958
  • 『花の旋風』同人社 1958
  • 『北海の竜虎』桃源社 1958
  • 『最低野郎』和同出版社 1958
  • 『講道館の小天狗』同人社 1958
  • 『美人島征服』桃源社 1959
  • 『鷲は見ていた』青樹社 1962
  • 『吾一の一ばん銛』講談社 1975 ※梶野正義名義

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k 『日本人名大辞典』、「梶野悳三」の項目
  2. ^ a b c d e f g 『「少年倶楽部」短篇選『、「梶野悳三」の項目
  3. ^ a b c d e f g h i j 『大衆文学大系〈30)』、「梶野悳三」の項目

参考文献

  • 『大衆文学大系〈30)』(講談社、1973年)
  • 『日本人名大辞典』(講談社、2001年)
  • 『「少年倶楽部」短篇選』(講談社、2013年)