春日一番

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春日一番 プロフィール

春日 一番(かすが いちばん)は、セガアクションゲーム『龍が如く』シリーズの『龍が如く7 光と闇の行方』およびオンラインゲーム『龍が如く ONLINE』に登場する架空の人物。

担当声優中谷一博優希知冴(『7』の新生児期)。

概要

元荒川組の構成員。背中には龍魚[1]の刺青が彫られている[注 1]

育ての親・春日次郎と血の繋がりは無い事は知らされていたが、没後も「父ちゃん」と呼び「自分には父親は二人、荒川真澄と春日次郎」とも述懐しており、次郎を「育ての父親」として感謝している。また荒川組組員となってからも、自分が育ててくれた神室町の住人達とは親交が続いている。

服役期間と重なっているため、『1』から『6』までに起こった出来事や人物に対する知識がほとんどない。桐生一馬の存在も知らず、作中で名前で呼ばれる事や名乗る事もなかったため現時点で桐生が何者であるのかを知らず、背中の刺青と桐生に殴られ気絶した際に見た夢の内容から「ドラゴン」と呼んでいる。真島については顔も名前も知らなかったが、服役前から「片目の狂犬」として噂だけは聞いていた。

18年も服役していたため出所後にはスマートフォン加熱式たばこを見て戸惑っていたが、物語の進行に伴いスマートフォンの使い方を覚え、留守電に自身の声を設定するなど現代の電子機器に慣れていく順応性の高さを持つ。

『7』における戦闘スタイルは、大振りなパンチを中心とした喧嘩殺法にプロレス技を織り交ぜた荒々しい攻撃スタイルが特徴的な「フリーター」に加え、後述の道路に突き刺さったバットを引き抜いて以降は「勇者」としてバットを剣のように振り回して戦うだけでなく、パーティーのリーダーとして味方の支援・回復までこなすようになる。 その他、敵を説得・威圧する話術や味方との連携攻撃「絆技」の他、様々な縁で知り合った人物や動物を有償で呼び出す「デリバリーヘルプ」や人工衛星から強大な破壊力を持つレーザー光線を放つ「サテライトレーザーの極み」といった奇想天外な戦法も使用する[注 2]

人物

当初は頭の両サイドを刈り上げ、角刈りにパーマを当てたような髪型をしていた。出所後、伸びた髪にパーマを当てようとしたところ、担当した美容師にパンチパーマを施す技術がなかったため他者からしばしば「モジャモジャ頭」と称されるアフロヘアーに近い長髪ボサボサの髪型になってしまった。髪型に関わらず一貫して両耳から顎にかけて髭を生やしている。

服装は白いワイシャツ、ワインレッドのスーツ上下、黒の革靴、金のネックレスという装いで、就寝時はジャケットを脱いだだけの姿でいることが多い。『7』のジョブチェンジでは、ダンサーや用心棒、ホストなどのジョブに応じた衣装を着用する[2]


表情豊かで明るく人なつっこい性格をしており、十数年服役していた前科者にもかかわらず多くの人間を魅了するほどのカリスマ性を有する。学はないが弁が立つうえ機転が利き、察しもよく状況把握も人一倍早い。基本的に真っ直ぐな気性で策を弄するのを好まないが、必要とあれば搦め手を使って相手を陥れたり、的確に相手の痛いところを突いた言葉を放つ。義理人情に厚く仲間を信じ思いやる事を大切にしているが、それゆえに親しい者、とりわけ「親っさん」と呼び慕う荒川真澄のこととなれば視野狭窄になって暴走しがちで、仲間からたしなめられる事もある。また、どんな相手であろうと売られたケンカは買う主義。

大のゲーム好きで、特に幼少期において数世代遅れの「ドラクエ」を好んでプレイしていた経験からか、仲間の事を「パーティー」と呼ぶなど、何かと物事をコンピューターRPGに喩える事がある。また「勇者」という存在への憧れが強く、偶然見つけた道路に突き刺さったバットを「勇者の剣」と称したり、弱者でも一方的に叩きのめす事はせず相手を観察しながら戦うという矜持を持つ。 見た目や言動などから軽く見られがちであり、出所して間もないこともあってか、桐生、真島、冴島など人間離れした強さを持つ伝説の極道達にはまだまだ及ばないものの、その実力及びポテンシャルは決して低くはなく、戦闘後の相手からはその実力を高く評価される事もある。

良くも悪くも自分を曲げない性分のため態度を注意される事もあるが、年長者や立場が上の者には敬語で話すなど、礼節を弁えている面もある。『7』では、真の敵でもあった荒川真斗に対し怒りを覚えながらも、一貫して「若」と呼んでいた。沢城に対しても敵対しながら終始「カシラ」と呼び接していたが、決戦時に一度だけ「沢城」と呼び捨てている。

劇中での活躍

回想での主な出来事

『ONLINE』では1977年12月31日の大晦日、『7』では1978年の1月1日に神室町泰平東通りにあるソープランド「桃源郷」の浴室で生まれ、「一番」と名付けられる。桃源郷の店長である春日次郎や桃源郷で働くソープ嬢に店員、神室町のたばこ屋の老婆やチャンピオン街スナックのママなど神室町の住人によって育てられたが、決して粗悪な扱いは受けておらずむしろ可愛がられ、成人してからもその付き合いは継続しており、一番本人もたまに桃源郷の手伝いをする日々を送った。また、母親は出産した後に姿を消しており、春日次郎からも桃源郷で産み落とされた事や自分と血の繋がりは無い事は聞かされていたため、父親は行きずりの客であろうと考えた。

中学を卒業後、育ての父である次郎を亡くし、高校にも行かず神室町を彷徨っており、金欲しさにケンカとカツアゲに明け暮れていたが、ある日襲った相手が東城会系の極道であったため、結果として事務所に監禁されて報復を受ける。助かりたい一心で武闘派として堅気にも名を知られていた東城会三次団体荒川組と組長である荒川真澄の名を出すが、運悪くその相手は荒川組とシノギを巡って争っていた連中だったため、「悪ガキ1人に出張ってこない」と見た連中から始末されそうになったところで現れた荒川に救われ、荒川が「指一本」を差し出したことで自由の身を得る。その後、荒川の行動と言葉に感銘を受け、翌日から荒川組の盃を貰うために事務所の前に立ち続けるようになり、当初は荒川に拒まれたものの、100日が経った頃には荒川に認められて盃を貰った。また、その際に車いすに乗った真斗とも初対面した。それ以降、荒川からは目を掛けられ、共に食事に誘うなど可愛がられており、また自身も一貫して「親っさん」と呼び、「王様」や「神様」のような存在だと尊敬する一方で、沢城からは毛嫌いされ、常に辛く当たられており、シノギを上げられなかった時は制裁を受けたり、指を詰めさせられそうになったりすることもあった。また、真斗の付き人も任されており、買い物や高級クラブ等にも同行した(『7』)。

龍が如く ONLINE

2000年12月31日(当時23歳)、沢城の命令で借金の取り立て[注 3]を終えた翌日、沢城が東城会の二次団体である室井組の組長を殺害してしまった事を知らされ組を存亡の危機から守るために沢城の代わりに自首して欲しいと懇願される。その頼みを快く受け入れ、同日には警視庁神室警察署に自首した。その後、2018年(当時41歳)に出所して神室町に舞い戻るも、街は近江連合と警察によって支配されており、北村や近江連合や警察が追っている謎の人物「X」からはその現状を作り出したのが荒川である事を聞かされる。北村の言う事が信じられず荒川の元へ赴き、そこで沢城との再会と共に戦闘を経て荒川と念願の再会を果たすも荒川から銃を突きつけられ、「死んでくれ」という言葉と共に発砲されるも一命を取り留める。その後は荒川の真相を知るために秋山駿など協力して神室町を取り戻すための戦いに生じていく。決戦当日、沢城を倒した後は荒川から「蒼天堀に来い」と告げられる。

1999年が舞台の第二部(当時22歳)では東城会本家から郷田龍司抹殺の指令を受けた荒川の命で、出所直後の久瀬の補佐役として龍司の元へ赴く。龍司を殺害したと見せかけて匿った後[注 4]は、荒れている彼に助けた理由を告げて援護に向かう。騒動解決後は荒川から「殺しの荒川組」の一員として認められる。

龍が如く7 光と闇の行方

2001年1月1日(当時23歳)早朝、荒川から電話で呼び出されて事務所へ向かうと、荒川から沢城が直系坂木組の組員である鈴森近雄を射殺したことを知らされる。枝に過ぎない荒川組が直系の組員を殺害したとあっては報復は免れず、若頭がやった事となれば破門にして済む話でもない。さらには坂木組は同じ東城会系の組に近江との内通の疑いがあった組でもあり、そこから狙われているという非常に難しい状況の中、若頭の沢城を殺される訳にも逮捕される訳にもいかない。荒川組を存亡の危機から守るために沢城の代わりに自首して欲しいと懇願される。荒川が頭を下げるのを遮り、むしろ「恩返しさせて下さい」と言ってその頼みを快く受け入れ、同日には警視庁神室警察署に出頭し、服役する。

判決は懲役15年だったものが、刑務所内で他の囚人に荒川を侮辱されたことに怒り手を出したことで刑期が3年延長となり、合計で18年間の服役を終え、2019年(当時41歳)に出所。服役中に荒川から手紙が来ていたものの、いざ出所するとそこには荒川どころか一人も出迎えが無かった。そこで一番の出所を待ち構えていた足立宏一と出会い、荒川組が「神室町3K作戦」に乗じて東城会を裏切って内部情報を近江連合と警察にリークすることで東城会の神室町撤退と近江連合侵攻の手助けをしたことやその功績から近江連合への乗り換えと同時に直参として若頭代行に就任したことを聞かされる。話を聞いてすぐは信じずに足立と強引に分かれて神室町に戻るも、「近江連合荒川組」と名乗るヤクザが至る所にいることなどから、改めて足立の話を聞いて「平安樓神室町支店」で行われる幹部会に潜入する計画に乗る。一番は真相を荒川から直接聞くため足立と共に潜入し、沢城との再会と共に戦闘を経て荒川と念願の再会を果たすも荒川から銃を突きつけられ、「死んでくれ」という言葉と共に発砲された。

気がつくと横浜・伊勢佐木異人町のホームレス街のゴミ捨て場におり、ホームレスの一人である元看護師のナンバの治療により一命を取り留めたことを知るが、まだ満足に動ける体ではなかったため、ホームレス街村長とナンバの了解を貰い、ホームレス街に留まる。また、ナンバから、異人町唯一の極道組織「横浜星龍会」、韓国系マフィア「コミジュル」、中国系マフィア「横浜流氓」による三すくみが「異人三」と呼ばれていることやそれによって外部からの圧力を防いで均等な三角関係を保っていることを教わるが、その時に胸ポケットに血の付いた裏面が印刷されていない偽札が入っていた事に初めて気が付く。その後、生活していくためにナンバと共にハローワークへ行き、住所が無い事を理由に一旦は断られるも、所長の神部からの個人的な紹介でスナック街にある「ハーバーライト」へとアルバイトに向かう。ここで盗電を巡るコミジュルとのトラブルを解決した事からスナック街を実質的に仕切っている浜子に気に入られ、浜子から自身が所有する店舗の2階空き部屋を居住地として提供[注 5]されたため、ナンバと共に移り住む。

住所を得たところで春日を探して異人町にやってきた足立と再会。無職となっていた足立を含めて3人でハローワークへ行き、風俗街にある「乙姫ランド」の仕事を紹介される。店長である野々宮勲の一見横柄・横暴に見える態度に嫌悪感を示した難波・足立が面接を蹴って帰ろうとするも、経験から野々宮の態度に一定の理解を示した春日はあくまで乙姫ランドへの就職を諦めず、ちょうどその時デモにやってきていたブリーチジャパンとのトラブルを解決する事と引き換えに3人まとめて乙姫ランドへの採用を取り付ける。採用されてからの初仕事として従業員である菜乃葉の裏引き疑惑の調査を依頼され、これを探っていくうちに横浜星龍会が経営する「陽だまりの城」での裏ビジネスの存在を知り、菜乃葉とその祖父が裏ビジネスに騙されて大金を支払わされようとしている事を突き止める。これを止めさせるために横浜星龍会本部へ乗り込み、会長である星野龍平と初対面し、陽だまりの城は閉鎖、菜乃葉には今まで支払われた金を全額返済した。店に帰ると野々宮の無残な首つり現場を目撃することになるが、葬儀の際に出会った向田紗栄子から自殺ではなく他殺の線が強い事を知り、紗栄子が電話越しに聞いた野々宮の最後の言葉から馬淵昌を犯人の可能性が高いと見て追うが、結果として逆に馬淵の罠に嵌まって囚われの身になったところをハン・ジュンギの協力で脱出する。

馬淵に拷問されていた際の映像を馬淵が編集し、春日たちを星龍会の鉄砲玉に仕立て上げて抗争を起こす口実に利用された事、馬淵が抗争を起こそうとしているのが横浜流氓へのクーデターのためである事を知った春日はこれを阻止するために奔走する。次々と襲いかかる強敵や襲撃に仲間達と共に立ち向かいながらも、横浜星龍会会長である星野や同若頭の高部守、横浜流氓総帥である趙天佑やコミジュル総帥であるソンヒ、同参謀のハン・ジュンギらの協力により次々と解決に導き、やがて一連の事件の裏に近江連合、そして出自を偽り「東京都知事の青木遼」として出世を果たしていた荒川真斗の暗躍があることを知る。

クーデターのために分裂した横浜流氓において拉致され拷問されていた趙天佑の救出に向かった際に、自身を慕っていた弟分の安村光雄とも再会し、荒川が「近い将来大バクチに出る、その為に一人でも多くの味方が必要」だと聞かされ、仲間達と共に大阪にある近江連合本部へと乗り込み、そこで荒川との再会を果たすと同時に東城会6代目会長である堂島大吾や同幹部の真島吾朗冴島大河らと初対面する。その場で真の目的が「近江連合と東城会の同時解散」である事やその為に荒川が「東城会の裏切り者」を演じていた事を知り、荒川の本当の目的を知る事となる。また、解散宣言後の反対派による乱闘中に近江連合若頭である渡瀬勝に襲いかかろうとする反対派幹部を阻止するため、元東城会4代目会長である桐生一馬が制止に入ったことで桐生とも初対面を果たす。

東城会と近江連合が同時解散した後は自身らの一連の行動に激怒した真斗の命を受けた近江連合若頭補佐である天童陽介によって荒川が射殺、沢城によって星野が射殺される。星野が射殺された現場で沢城の口から、実は真斗が沢城の息子であることや真斗が預けられたとされるコインロッカーで偶然赤ん坊の取り違えが起こっていたこと、一番が荒川の実の息子である可能性が高い事を知らされる[注 6]

真斗の居場所を突き止めるために真斗の後ろ盾で選挙に出馬している久米を探してブリーチジャパンの支部に赴き、待ち構えていた近江連合構成員を返り討ちにする。そこで構成員に対して久米の居場所を吐かせるために殴るが、荒川と星野の死で冷静さを失って怒り狂う一番は、その構成員が知っている限りの情報を吐いた後でも情報が得られなかったことに怒って抵抗できなくなった相手を怒りのまま殴り続ける。仲間の制止も聞かずあわや殺害かと思われた矢先に桐生に殴り飛ばされる事でようやく制止され、その日の夜に青木に関する情報をかけて桐生と戦い、次第に冷静さを取り戻す。その後、桐生とソンヒからもたされた情報により徐々に真斗を追い詰めていき、ミレニアムタワーにある荒川組事務所で真斗と対峙し、死闘の末に勝利する。ミレニアムタワーから姿を消した真斗をかつてのコインロッカーの前で発見し、自殺を目論む真斗を思い留まらせて自首を促したが、直後に真斗はブリーチジャパン横浜支部代表の久米によって刺され、彼の最期を看取ることとなった。

その後のエンディングでは異人町で開かれた荒川親子の葬儀にナンバや紗栄子と共に出席し、その席で堂島と渡瀬が蒼天堀で受け皿として警備会社を立ち上げたことを知り、大吾、真島、冴島から異口同音に勧誘されるも丁重に断り、自身はこれからも異人町で暮らしていくという事を告げた。

脚注

注釈

  1. ^ 最初は龍を選ぼうとしたが、春日曰く「極道の世界では龍は極道を象徴するものであり、自分はまだ極道を背負える程の域に達していない」とのことで、龍魚に決めた(『ONLINE』では沢城に憧れて龍魚を選んだ事が描かれている)。『ONLINE』では筋彫りの状態のままだが、これは金銭的余裕がなかったため(事情を知らない者からは「痛みに耐えかねて逃げ出した」と思われている)。
  2. ^ 戦いが始まった際に敵の姿が変化する描写があるが、仲間達からは周りからはその様子が見えないためこれらの演出はあくまで春日の妄想であるとされている。
  3. ^ 取り立ての相手は親の手術代を稼ぐために闇金に手を出して困窮な生活を送っており、春日はそれを知っていたため「財布を頂く」という名目通り文字通り中身には一切手をつけずに財布だけを持ち去っていった。『7』でもこのシーンが挿入されている。
  4. ^ この判断は春日自身のものであり、ハンが龍司の抹殺に躊躇っていた事に気づき、龍司のタフさに賭けた上での行動であった。
  5. ^ 立ち退きを迫るブリーチジャパンに対して居住権を主張するため。
  6. ^ あくまで可能性だが、コインロッカーの番号から「荒川がロッカーから取り出した赤ん坊が沢城の子の方である」事は確定であり、残った方の赤ん坊を消去法で推測すれば荒川の息子が一番であると結論するのが妥当になる

出典

  1. ^ 「セガなま 〜セガゲームクリエイター名越稔洋の生でカンパイ〜」2018年8月28日放送分より
  2. ^ SEGA. “ハローワークで転職“ジョブチェンジ”! | 戦闘 | 龍が如く7 光と闇の行方(PlayStation®4) | セガ公式サイト”. 龍が如く7 光と闇の行方(PlayStation®4) | セガ公式サイト. 2020年4月19日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク