推定相続人
推定相続人(すいていそうぞくにん)とは、現状のままで相続が開始した場合、直ちに相続人となるべき者をいう。
民法
通常、子と配偶者は推定相続人であるが、相続欠格・相続廃除により相続人としての資格を失うことがある。
君主位や爵位
君主位や爵位の継承において、現在は継承権第1位であるが将来自分より上位の継承権を持つ人物が生まれる可能性がある人物をいう。典型的な例として、長子相続制における子のいない君主の弟・妹や、男子優先長子相続制における息子がいない君主の長女がある。これに対し、継承権が第1位から下がる可能性がなく、君主や当主より長生きすれば確実に相続人になる人物は法定推定相続人という。
1896年から1914年までオーストリア=ハンガリー帝国の推定相続人であったフランツ・フェルディナント大公は、伯父の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が老齢だったために事実上の皇太子と見なされていたが、継承法上はあくまで推定相続人のままであり、皇太子の称号は与えられていなかった。この様に、君主やその配偶者の年齢や健康状態は推定相続人の地位に影響を与えないこともある。
推定相続人の称号
推定相続人は、継承順位第1位ではあるものの法定推定相続人が誕生するまでの暫定的なものとされ、推定相続人専用の称号を設けないことも多い。たとえば、日本においては1926年に昭和天皇が即位してから1933年に第一皇子である明仁親王(今上天皇)が生まれるまでの間は大正天皇の次男に当たる秩父宮雍仁親王が皇位継承順位第1位であったが、皇太弟ほか特別な称号は一切授与されなかった。
スペインやポルトガルでは、プリンシペ(スペインではアストゥリアス公など)の称号を推定相続人に授け、他の王族はインファンテの称号のみを有した(女性の場合はそれぞれプリンセサ、インファンタとなる)。
他には、スコットランド貴族における子爵とロード・オブ・パーラメントの継嗣が持つMasterの称号が、法定推定相続人だけでなく推定相続人も称することができる例である。
2012年現在の世界の推定相続人
- ブータン王国
- ジゲル・ウゲン・ワンチュク王子 - 国王ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュクの弟