小西誠志郎

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獲得メダル
日本の旗 日本
柔道
世界ジュニア
2018 ナッソー 60 kg級
世界ジュニア団体戦
2018 ナッソー 60 kg級

小西 誠志郎(こにし せいしろう、1998年12月21日 - )は、福岡県出身の日本柔道家。階級は60 kg級。身長163 cm。組み手は右組み。得意技は一本背負投[1]

経歴[編集]

柔道は6歳の時に柔誠会で始めた[1]曽根中学3年の時に全国中学校柔道大会の66 kg級で2位となった[1]大牟田高校1年の時に全国高校選手権60 kg級の2回戦で敗れた[1]。2年の時にはインターハイの2回戦で敗れた[1]。3年の時にはインターハイで5位となった[1]。2017年に国士舘大学へ進むと、1年の時には学生体重別の準決勝で大学の3年先輩である宮之原誠也に技ありで敗れるも3位になった[1]体重別団体では2位となった[1]。2年の時には全日本ジュニアの決勝で日体大2年の古賀玄暉と対戦すると、技ありを先取しながら小外掛で逆転負けを喫した[2]世界ジュニアでは準決勝までオール一本勝ちするも、古賀との再戦になった決勝ではGSに入った直後に技ありを取られて2位にとどまった[3][4]世界ジュニア団体では準決勝のジョージア戦のみの出場となったが合技で勝利すると、その後チームは優勝を飾った[5][6]。3年の時には東アジア選手権決勝で地元韓国の選手を技ありで破って優勝した[7]。2020年10月の講道館杯では決勝でセンコー米村克麻と対戦すると、隅返で先に技ありを先取された。その後、袈裟固で小西を抑え込むも、電光表示板の担当者が抑え込んでいる選手を米村と勘違いしたために10秒経過した時点でブザーが鳴ってしまい、主審が西村による一本を宣告した。しかし、小西による抑え込みは8秒で脚が上から絡まって解けていたとビデオ判定で判断されて技ありは認められなかった。主審は「解けた」を宣告し、一本は取り消された[8]。これに対して国士館大学監督の吉永慎也が猛抗議して試合が5分ほど中断されると、小西が上で抑え込みが解けた状態から「よし」で再開され[8]、すぐに脚を抜いてまた抑え込むがここでも8秒で解けたため[9]、結果として小西は技ありを取れず、先に取った技ありを守り切った米村が優勝することとなった[10]。講道館ルールでは上から脚を掛けても抑込技は解けたとならないが、この大会の国際柔道連盟ルールでは解けたとなる[11]。1997年までにはこのルールになっている[12]。また、書籍『柔道のルールと審判法』や資料『国際柔道連盟試合審判規定変更点について2020年1月13日より有効』ではこのルールについて説明している箇所では下から挟んでる場合と上から挟んでいる場合の図を載せているが、この大会当時、全日本柔道連盟(全柔連)のサイトからダウンロードできた資料『2018年~2020年 国際柔道連盟試合審判規定』(日本語版)では下から挟んでいる図を2枚載せていた[11][13][14][15]。両選手にビデオ判定の裁定について説明はなく、再開から一時、掲示板に小西に技あり1とも表記されたため混乱は続いた[16]。この混乱に対して審判委員長の大迫明伸は、柔道は相撲などと違って、審判団の裁定に対して選手に説明するルールになっていない。そのため、当事者にとって不明瞭な進行になるなど、「色んな残念なことが一度に重なってこのようなことになってしまった」と釈明した。なお、小西はこの件について次のようにコメントした。「(審判から)何も説明がなくて、試合中ずっと不安だった」「(先に)ポイントを取られたことは事実。悔しいけど、審判に(ポイントが)ないと言われたら、ない。(負けを)受け止めて、また一からやり直したい」[10][17]。その後に審判委員会、強化委員会、大会事業委員会、アスリート委員会の4委員会が試合を改めて検証した結果、中断後に小西が抑え込みを再開した際にカウントするのが3秒遅く始められていたため実際は11秒抑え込んでおり、この時点で小西に技ありが付与されるべきで、ポイントで並んだ両者はその後延長戦に入るべきだったが、すでに時間が経過しており、再試合は難しいとした。そのため全柔連は、「大会運営上の誤謬を認め、決勝戦の勝敗がついていなかったものとし、特例的かつ限定的に遡って両者優勝とすることで四委員会の意見が一致した」との報告を受け入れて、両者を優勝とすることに決めた。専務理事の中里壮也は「日本最高峰の柔道大会の運営に不備があり、選手や関係者にご迷惑をおかけし、多くの柔道ファンの方々に混乱を招く事態となり、心よりお詫び申し上げます」と陳謝した[18][19]。また、11月20日、全柔連はYouTubeの全柔連TVチャンネルで、小西の最初の抑込は時計係からは選手の腰の色紐が見えづらかった、カウントの開始が4秒遅れた、副審と審判委員はタイマー表示9秒の段階で「解けた」に気付いたがインカムで指示する前にブザーが鳴ってしまった、抑込開始からブザーまで14秒経っていたため主審と選手には20秒で一本の印象を与えた可能性がある、ビデオ判定によって7秒で解けていたと判断された、主審・副審と審判委員の合議では解けた後「待て」相当の時間が経過した判断し「はじめ」とした、審判委員長を加えた合議で選手が立ち上がったあと寝技から再開できる規定はないが「はじめ」からでは小西に不利益が生じるとし第21条「規定に定められていない事態」を適用し解けた体勢から再開するとした、主審にビデオを見せて正しく再開できるようにしたが小西の首の抱え方が不十分であった、との見解を明らかにした。4委員会は、ブルー柔道衣の導入、開始線の設置、審議後の場内アナウンス制度の導入、国際柔道連盟ルール理解の徹底、タイマー操作の精度向上とリカバリープランの策定も提言したことを明らかにした[8]。11月29日現在、全柔連のサイトからダウンロードできる国際柔道連盟試合審判規定は下から脚を挟む図が2枚掲載されたままである[20]。2021年4月からは自衛隊体育学校の所属となった。体重別では準決勝でパーク24竪山将に技ありで敗れた[21]

戦績[編集]

60㎏級での戦績

66㎏級での戦績

(出典[1]、JudoInside.com)

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i 「柔道全日本強化選手名鑑 2018」近代柔道 ベースボールマガジン社 2018年4月号
  2. ^ 平成30年度全日本ジュニア柔道体重別選手権大会
  3. ^ 男子は古賀、女子は外処が優勝=柔道世界ジュニア 時事通信 2018年10月18日
  4. ^ Ukrainian starlet BILODID completes set of world judo titles
  5. ^ 日本、混合団体で優勝=柔道世界ジュニア 時事通信 2018年10月22日
  6. ^ Japan are crowned mixed team champions in the Bahamas
  7. ^ 2019年東アジア選手権大会
  8. ^ a b c 全柔連TVチャンネル (2020/11/20). 【経緯説明】2020年度講道館杯60㎏級決勝戦における混乱について. YouTube (VOD). 全日本柔道連盟. 2020-11-29閲覧 {{cite AV media}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  9. ^ 「テレビ生放送中の60kg級決勝で前代未聞のトラブル発生」『近代柔道』第42巻第12号、ベースボール・マガジン社、2020年11月20日、22頁。 
  10. ^ a b 柔道“不可解裁定”で大混乱…審判長がミスを陳謝「残念なこと重なった」生中継で失態 デイリースポーツ 2020年10月31日
  11. ^ a b 小俣幸嗣、松井勲、尾形敬史『詳解 柔道のルールと審判法 2004年度版』大修館書店(原著2004-8-20)、147頁。ISBN 4-469-26560-8 
  12. ^ 小俣幸嗣、尾形敬史、松井勲著、竹内善徳監修『詳解 柔道のルールと審判法』大修館書店 ISBN 4-469-26423-7
  13. ^ 渡辺崇 (2020年1月13日). “国際柔道連盟試合審判規定変更点について2020年1月13日より有効”. 全日本柔道連盟. p. 10. 2020年11月3日閲覧。
  14. ^ 全日本柔道連盟. “2018年〜2020年国際柔道連盟試合審判規定” (PDF). 全日本柔道連盟. p. 28. 2019年3月1日閲覧。
  15. ^ 全日本柔道連盟. “2018年〜2020年国際柔道連盟試合審判規定” (PDF). 全日本柔道連盟. p. 28. 2020年11月1日閲覧。
  16. ^ 末継智章「時計係ミス、主審間違い気づかず…混乱の初V「気まずい」米村 柔道講道館杯」『西日本スポーツ西日本新聞社、日本・福岡市、2020年11月1日。2020年11月6日閲覧。
  17. ^ 審判団の操作ミス重なり大混乱 審判委員長は陳謝も判定ミスは否定 柔道講道館杯 スポーツニッポン 2020年10月31日
  18. ^ 柔道・講道館杯の不可解裁定、ミス認め両者優勝 無効の抑え込みは「技あり」と結論 デイリースポーツ 2020年11月20日
  19. ^ 誤審混乱で全柔連謝罪「心よりおわび」再発防止策も 日刊スポーツ 2020年11月20日
  20. ^ 全日本柔道連盟. “2018年〜2020年国際柔道連盟試合審判規定” (PDF). 全日本柔道連盟. p. 28. 2020年11月29日閲覧。
  21. ^ 2021年全日本選抜柔道体重別選手権大会

外部リンク[編集]