寄附金付切手

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。111.188.72.130 (会話) による 2011年4月23日 (土) 11:09個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎日本の寄附金付切手)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

世界最初の寄付金付き切手(ニューサウスウェールズ・1897年)
ファイル:Stamps of Germany (BRD) Jugendmarke 1972 60 Pf.jpg
1972年にドイツで発行された青少年募金

寄附金付切手(きふきんつききって)とは、郵便料金前納のための切手に、郵便料金として使用できる金額(額面)に寄附金を上乗せした価格で販売される切手である。

多くの場合、郵便料金として使える額面に寄附金額をプラスして表示される場合が多い。

概略

寄附金付切手より先に、寄附金付官製はがき1890年イギリスで発行された。これは、1ペニーはがきを6ペンスの売価で販売したものである。

最初の寄附金付切手は1897年オーストラリアニューサウスウェールズビクトリアで発行された。これはヴィクトリア女王在位60周年記念事業のうち結核患者の療養所や病院建設資金を募集するために発行された。この切手は19世紀の切手では珍しい多色印刷であったが、額面(郵便料金納入時に有効とされる金額)の12倍で販売された。そのため、1ペニーと2.5ペンスの切手が1シリングと2シリング6ペンスで販売(当時は12進法を採用していた)された。

20世紀に入ると、欧州諸国で慈善事業や国家的事業など様々な基金を集める手段として寄附金付切手が発行された。スイスドイツなどでは毎年寄附金付切手事業を集めるためのものが発行されており、概ね郵便料金の半額に相当する金額が寄附金として上乗せして販売されている。多くの国では毎年の様に発行している。また寄附金切手の中には郵便料金として使える金額の数倍の寄附金が上乗せされた切手も現在もある。

アメリカ合衆国の寄附金付切手

主要国の中でもアメリカでは1998年まで寄附金付切手を発行しなかった。2008年までに3回しか発行されておらず、毎年のように発行している欧州諸国とは大きく異なる。

アメリカの寄附金付き切手は発売時期で販売価格と寄附金金額が変更されるという変わった特徴がある。たとえば1998年7月29日に最初に発行された「乳がん認識」は、ガン研究費募金としたものであったが、現在も発行中である。ただし、その間に米国郵便公社が郵便料金を値上げしているが、切手には額面が無く「ファースト・クラス」(封書基本料金の意)としか記載されていない無額面切手(日本ではないが特定郵便料金の使用を永久保証している切手)ため、額面改訂が不要であった事がある。そのため最初は(郵便料金32セント+寄附金8セント、以下同じ)であったものが1999年には(33+7)、2001年(34+6)、2002年3月(34+11)、2002年6月(37+8)、2006年(39+6)、2007年5月(41+14)といったように販売価格が変遷している。

アメリカでは他に2002年6月に「合衆国の英雄2001年」と題するアメリカ同時多発テロ被害者救済募金切手、2003年10月に家庭内暴力禁止切手(2006年12月販売終了)を発行しているが、いずれも同様に額面のない切手であった。

日本の寄附金付切手

日本最初の寄付金付き切手(愛国切手・1937年)

日本で最初の寄附金付切手は、1937年6月1日発行の愛国切手である。この目的は国内各地に飛行場を整備する基金の募金を呼びかけるものだった。そのため、デザインも北アルプス上空を飛行するダグラスDC-2型輸送機を描いたもので、3種類の額面と刷色が異なる切手が発行された。

第二次世界大戦中には軍事費募金のための寄附金付切手が発行されており、1942年2月16日発行の「シンガポール陥落」記念切手が寄附金付であった他、同年12月8日発行の「大東亜戦争第一周年記念」切手にも寄附金が付けられていた。1945年には満州国において、戦闘機を購入するために、額面3分(1の100分の3)に対し寄付金47分という、寄付金のほうがはるかに大きい切手の発行が計画されたが、終戦を迎えたため発行されなかった。

戦後になると、1948年に社会事業共同募金のための寄附金付切手が発行されたのを皮切りに、東京オリンピック札幌オリンピック日本万国博覧会などの国家的事業のための寄附金付切手が発行された。特に東京オリンピックの寄附金付き切手は3年間6回にわたり」、当時の実施種目の20競技を描いたもので額面5円に対し寄附金5円であった。

1995年4月20日には阪神・淡路大震災の義捐金のための寄附金付切手を発売したが、これは額面80円を100円で販売し、差額の20円を震災支援の寄付金としたもので、額面は「80+20」と表記されていた。ただし準備が間に合わなかった為、例年発行されている「切手趣味週間」の切手に便乗する形になった。そのため、金島桂華の『画室の客』という絵画がデザインであり、被災地に全く関係ないものとなった。印刷数5000万枚のうち約4728万8000枚が販売され、諸経費を除いた9億4000万円が地元に配分された。またふるさと切手のなかには同様に有珠山噴火や三宅島噴火による被害に対する同様の寄附金付き切手もある。

2011年4月22日郵便事業株式会社は、東日本大震災の被災者支援のための寄附金付切手を発行するとし、その図柄を発表した。

なお、日本では毎年発行される年賀葉書年賀切手には寄附金付のものがあり、この販売で集まった寄附金は各種慈善事業に配分されているという。なお、くじ付の年賀切手は現在寄付金付のみ存在している。

関連項目

外部リンク