塩化水銀(II)
塩化水銀(II) | |
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塩化水銀(II) | |
別称 昇汞 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 7487-94-7 |
EC番号 | 231-299-8 |
国連/北米番号 | 1624 |
KEGG | C13377 |
RTECS番号 | OV9100000 |
特性 | |
化学式 | HgCl2 |
モル質量 | 271.52 g/mol |
外観 | 白色固体 |
密度 | 5.43 g/cm3, 固体 |
融点 |
277 ℃ |
沸点 |
302 ℃ |
水への溶解度 | 7.4 g/100 ml (20 ℃) |
構造 | |
配位構造 | 直線形 |
分子の形 | 直線形 |
双極子モーメント | 0 D |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | ICSC 0979 |
EU分類 | 猛毒 (T+) 腐食性 (C) 環境への危険性 (N) |
EU Index | 080-010-00-X |
Rフレーズ | R28, R34, R48/24/25, R50/53 |
Sフレーズ | (S1/2), S36/37/39, S45, S60, S61 |
引火点 | 不燃性 |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | フッ化水銀(II) 臭化水銀(II) ヨウ化水銀(II) |
その他の陽イオン | 塩化亜鉛 塩化カドミウム 塩化水銀(I) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
塩化水銀(II)(えんかすいぎん に)は、水銀の塩化物の1つ。塩化第二水銀(えんかだいにすいぎん)とも表記される。水銀の塩化物である塩化水銀は2種類があり、もう1つは塩化水銀(I) である。塩化水銀(II) はHgCl2という組成をもち、昇汞(しょうこう)と呼ばれる。水溶性の無色または白色の針状結晶である。水にやや溶けやすい(常温で水1kgに約60g溶ける)。アルコールやエーテルにも溶ける。蛋白質を変性させる作用が強い猛毒である。また、昇華しやすい。
用途
かつてはバッテリーや、水で薄めた昇汞水は殺虫剤や伝染病予防法施行規則第24条に指定された3番目の消毒液[1]、防腐剤として使われていたが、毒性が強いために現在では使用されていない。生物学の実験で昆虫を無菌飼育するときに卵を無菌化する殺菌剤として塩化水銀(II) が挙げられることがある。
生産
水銀または塩化水銀(I) に塩素を付加することで得られるほか、硝酸水銀と塩酸を反応させることによっても得られる。
硝酸水銀(II)と塩酸の反応は次の通りである。副産物として水と二酸化窒素、一酸化窒素を生成する。
- Hg(NO3)2 + 2HCl → HgCl2 + H2O +2NO2 + NO
この反応で生成した塩化水銀(II) の結晶を凝縮すると濃度の高いものとなる。
毒性
塩化水銀(II) の毒性は腐食性で非常に強力である。生物の血液に付着すると無機の水銀は蛋白質に結合する。
皮膚に直接触れると皮膚炎や神経系の異常を起こすことがあり、いらだち、不眠、異常な発汗などの原因に繋がる。
水で薄めた昇汞水の致死量でも0.2~0.4gほどで、誤って一滴でも飲んでしまうだけでも生命にかかわる。