勝利勲章
勝利勲章(しょうりくんしょう、ロシア語: Орден "Победa")は、ソビエト社会主義共和国連邦の勲章。ソ連における軍人に対する最高殊勲勲章。世界でも特に貴重、希少な勲章のひとつと見なされる。勝利勲章は1個軍集団以上の軍隊を指揮し、実際の作戦行動を指揮し、戦闘で勝利した将帥、あるいはいくつかの戦線で戦況を打開し赤軍に勝利をもたらした将帥のみに授与された。授与された者は18名。うち2度受章した者は2名、外国人5名、レオニード・ブレジネフは取り消されている。
歴史
1943年6月、ソ連軍後方総本部のN・S・ネイェロフ大佐によって提案された。ネイェロフ大佐の原案では「祖国忠誠勲章」と命名されるはずであったが、1943年11月8日に公式に制定された際に「勝利勲章」と命名された[1]。1944年4月10日のワシレフスキー、ジューコフ両ソ連邦元帥、そしてスターリン(ソ連軍最高司令官、大元帥)が最初に受章した。また勝利勲章は連合国軍の司令官たち(アイゼンハワーやモントゴメリーなど)にも授与された。このように勝利勲章は第二次世界大戦中に活躍した軍人に与えられたが、唯一の例外が1978年に受章したブレジネフ(当時最高会議幹部会議長、共産党書記長、ソ連邦元帥)である。ブレジネフの勝利勲章は、授章条件を満たさないとして死後の1989年に取り消された。社会主義国の他の勲章同様、同じ人物に複数回、授与可能であり(スターリンとジューコフが2度受章)、後に取り消されたブレジネフを含む18名に20回授与された。他の勲章との相違点として、通し番号が無く、受章者には勲記が渡された。また佩用者が死去後は、勲章は国家に返納しなければならなかった。現在、勲章管理のためにモスクワのクレムリンには「ダイヤモンド基金」(Diamond Fund)がある。
勲章の細部
勝利勲章は直径72ミリメートル。プラチナ製で五芒星形。174個、合計16カラット(3.2g)のダイアモンドが5つの人工ルビーの腕を囲んでちりばめられている。勲章の中心は銀製のメダリオンである。黄金のモスクワクレムリンにある塔のひとつ、スパスカヤ塔とレーニン廟が図案化され、同じく金の月桂樹が周りを囲んでいる。背景は青いエナメル地で[2]空を表し、上にСССР(ソ連)、下の赤い旗にはПобеда(勝利)の文字が書き表されている。勲章のデザイナーが誰なのかは詳細は不明であるが、1943年10月20日にスターリンによって現在のデザインが決定し、宝石工の手によってできた。また、アイゼンハワー元帥は、自分の勝利勲章をアメリカの宝石店で鑑定し、オランダ王婿ベルンハルトに対して、自分の勲章は贋物だと語ったと伝えられる[3]。
略綬
略綬は、44ミリ。陸軍の軍服につけられる[4]。以下の勲章を色で表している。
- 名誉勲章 (Орден Славы). オレンジ色に黒のセンターストライプ
- ボグダン・フメリニツキー勲章 (Орден Богдана Хмельницкого). ライトプルー
- アレクサンドル・ネフスキー勲章 (Орден Александра Невского). ダークレッド
- クトゥーゾフ勲章 (Орден Кутузова). ダークブルー
- スヴォーロフ勲章 (Орден Суворова). 緑
- レーニン勲章 (Орден Ленина). 中心の赤色
受章者
受章者一覧
脚注
- ^ Dmitry Markov, Order of Victory - 1943 (Russian-medals.net)
- ^ Voice of Russia, World Service in English (2005) The Order of Victory
- ^ Prince Bernhard of the Netherlands in an interview with H.G. Meijer, published in "Het Vliegerkruis", Amsterdam 1997, ISBN 90 6707 347 4 . page 92
- ^ (ロシア語) Awards and medals of the Soviet Union Орден "Победа"