交響曲 (デュカス)

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ポール・デュカス交響曲ハ長調: Symphonie en ut majeur)は1896年に完成された交響曲。演奏時間はおよそ40分。

概要

デュカス30歳の1895年に着手され翌年完成された。デュカスの遺した唯一の交響曲である。初演指揮を担当したポール・ヴィダルに献呈された。

初演

1897年1月3日パリ・オペラ座にてポール・ヴィダルの指揮により初演。

編成

フルート2、ピッコロオーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバティンパニ弦五部

構成

第1楽章 Allegro non troppo vivace, ma con fuoco

ソナタ形式。8分の6拍子。ハ長調。どこか忙しげな第1主題がヴァイオリンで提示されしばらく発展した後、オーボエなどによる経過部を経て、対照的な性格の優美な第2主題が弦楽合奏で奏される。このとき低音部に現れていた第2主題の対旋律は徐々に変形していきファンファーレ風の勇壮な第3主題としてホルンに登場する。続く展開部では第1主題が十分に変形・発展した後、第2主題が絡んで再現部へと繋げる。再現部は提示部同様に進行するが、第2・第3主題の調は変更されている。一旦静まった後、動きを早めて豪快なコーダで結ぶ。

第2楽章 Andante espressivo e sostenuto

ソナタ形式。8分の4拍子。ホ短調。2つの主題から成る。木管楽器とホルンによる短い導入部に続き、ヴァイオリンが静かな第1主題を奏するが導入部の音型はそのまま他楽器により奏で続けられる。経過部の後、これもやはり美しい第2主題が提示され展開する。再度第1主題が展開された後、導入部のリズム伴奏により経過部に登場した旋律が木管楽器で朗々と奏され盛り上がる。その後、第1主題、第2主題の順で再現された後、静かに終わる。

第3楽章 Allegro spiritoso

ロンド形式。ハ長調。4分の3拍子=8分の9拍子。冒頭ホルン、ファゴット、チェロで晴れやかな気分のロンド主題Aが奏され、弦楽器などが三連符を多用して伴奏する。Aが何度か繰り返された後、ヴァイオリンに起伏の大きな主題Bが登場し、次第に活気を増しながら繰り返される。その過程で別の主題Cも低音部から登場し最後はトランペットで奏される。高まりの頂点で再びAが登場、展開後、優美な主題Dがヴァイオリンに現れ繰り返される。その後、Aが三度登場するがDの後を受けて表情が優しくなっている。Bの変形が荒々しく奏された後、四度Aが現れ、既出の主題を巧みに用いたコーダで曲を締め括る。

参考文献

外部リンク