リアルマネートレーディング
リアルマネートレーディング(Real Money Trading、以下RMT)とは、オンラインゲーム上のキャラクター、アイテム、ゲーム内仮想通貨等を、現実の通貨で売買する経済行為を指す。擬似的な経済システムが成立するMMORPGやMORPG、レアアイテムをプレイヤー間で取引できるソーシャルゲームなどで定着しているが、大半のオンラインゲームではRMTは利用規約違反に該当する。[1]。
一部ではリアルマネートレード(Real Money Trade)と表記される場合もあるが、英文法上問題なく、同義である。
概要
RMTはユーザの欲求が起点となる経済行為である。具体的にはオンラインゲーム内キャラクターの能力や、仮想通貨の所持量等により、ゲーム内の優劣が決定される点を指す。経済力を背景とし、他ユーザより上位である状況が成立する場合や、プレイ時間を節約しつつ、ゲーム内で一定の能力を保持したいという欲求・願望がある故に、この経済行為は成立する。
このRMTを基本設計に盛り込んでいるゲームと、そうではないゲームが存在する。RMTを基本設計に入れていないゲームにおいては、不正対策へのコスト増加、プレイヤー数の減少といったデメリットが顕著になり、ゲーム運営企業の収益低下リスクとなるため、利用規約でRMTへの関与は全面的に禁止されている。
他方、海外で運営されている『エントロピア・ユニバース(en:Entropia Universe)』、『Second Life』、『エバークエスト2』ではRMT行為が活発に行われる事を前提としたゲームの設計がなされており、RMTはゲームと事実上不可分のものとなっている。
RMTの手法
RMTには買い手と売り手が存在し、売り手であるRMT業者は、ゲームプレイ又は一般ユーザーからの買取りでゲーム内仮想通貨を取得し、それらと商品として販売する。
業者によるゲーム内仮想通過取得の過程においては、BOTや不正アクセスの利用といった悪質な手法が用いられている場合もある(後述)。 購入者は、一般的なネット通販同様、業者のWebサイト等で注文し、銀行振り込み等で代金を支払い後、ゲーム内で仮想通貨を受け取る。
RMTをめぐる問題点
RMT業者がゲーム内通貨を取得する過程で、以下のような諸問題が発生する。 BOTの大量発生、サーバダウン・ラグの発生、ゲーム内経済の崩壊のほか、アカウント窃盗を目的としたコンピュータウィルス、不正アクセス等のサイバー犯罪の増加、不正行為への対策コストに反比例するサービス低下(新規コンテンツ開発の減少、顧客サポート機能低下など)がある。これらが原因となり、不満の蓄積したユーザー層が離散することにより、運営企業の収益低下リスクとなる。そのため、利用規約でRMTを禁止されているゲームにおいてRMTを利用することは、結果として運営企業に不要な負荷を強いることとなり、ゲームの魅力をユーザが自ら破壊する行為となる。
- より具体的なケースとしては、『リネージュ』シリーズのなどの運営を行うエヌ・シー・ジャパンが自社サイト上においてRMT行為を行う者に対し、電子計算機損壊等業務妨害罪の他、不正アクセス禁止法・著作権法・電気通信事業法違反容疑で刑事告発した事実がある。[2]
上述よりサイバー犯罪に非常に結びつきやすく、暴力団等の反社会的勢力の資金洗浄に利用されている可能性があると指摘されている[3]。市場規模は2008年時点で年間150億円[4]との説もあるが、実態については不明な部分も多い。 2006年頃、経済産業省が諸問題の発生を背景としてオンラインゲーム各社へ調査に乗り出したこともあったが、現在その兆候はなく、依然として闇の部分が残る分野である。 主にサイバー犯罪に関与するRMT業者は中国系とされ、日本円の不正な海外流出を懸念する声もある。
RMTを利用した犯罪例として、ガンホー・オンライン・エンターテイメントが運営するラグナロクオンラインにおけるものがある。2006年7月ゲームマスター(GM)の立場にあった元社員が、上司のアカウントを不正使用し、ゲーム内通貨を量産後、RMT業者に転売、数千万円もの不正な売却益を得ていたとして、警視庁に不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕、実刑判決が出る事態が発生している。詳細は日本のラグナロク (jRO) 関連問題を参照のこと。この事件の影響により、ラグナロクオンラインの利用者数は低迷の一途を辿っている。
RMTの是非
ゲーム運営企業の定めた利用規約に違反しており、画像や各種データを無断使用しているという点において、明確な不正行為であり、運営企業の売上に影響を与える点を考慮すると信用毀損罪・業務妨害罪や著作権法に抵当し、逮捕等の刑事罰や損害賠償の請求に至る可能性がある。 これは例えばコンビニエンスストアAの中に、無許可でコンビニエンスストアBを出店するような形態となる。
しかしながら、RMT自体は私人間の経済行為に過ぎず、不正アクセス等の犯罪行為を伴わない限り何ら違法性はなくRMTを制限する規約は不当であるとの意見もある。[要出典]
脚注
- ^ オンラインゲームのアイテム詐欺 インターネット詐欺対策集
- ^ RMTに手を出さない!手を貸さない - オンラインゲームポータルplaync
- ^ RMT のどこがいけない?(1/2) - japan.internet.com 2006年9月15日
- ^ (3)ゲームで資金洗浄可能 : 連載・ネット社会・国境を越える闇 - 読売新聞 2008年11月5日
関連項目
参考文献
- ネットゲーム チートRMTの教科書 ISBN 4887188242