ラシャーヌ!

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ラシャーヌ!』は、魔夜峰央による日本漫画作品。1978年から1989年にかけて発表された。単行本は全7巻。他に文庫版(全4巻)も存在する。

概要

怪奇漫画を中心に活躍していた魔夜が、後年のヒット作『パタリロ!』(発表は本作と同年)などのギャグ漫画路線に転身した最初の作品。破壊的な性格を持ち、異常に惚れっぽい美少年ラシャーヌが、自身の恋やイタズラで周囲を巻き込んで大騒動した挙げ句に、意中の相手にフラれるというのが毎話の主な展開である。

このシリーズは白泉社の刊行する複数の漫画雑誌に不定期に掲載されたため、厳密には連載とは言いがたい面を持つ(掲載誌は『花とゆめ』・『花とゆめ増刊号』・『別冊花とゆめ』・『LaLa』・『月刊コミコミ』など)。他方、基本的に短編連作の体裁であるため、キャラクターさえ把握していればシリーズの前後の流れはほとんど無視できる。1989年以降は新作が発表されていないが、シリーズ終了が明確に提示された事はない。

番外編として、主人公ラシャーヌが成長したその後を描く『パパラシャーヌ!』も存在する(1991年1992年に白泉社の『花曜日』にて掲載)。

なお、主人公の容貌と性格を受け継いだキャラクター朝野昼馬が、別作品『クレプスキュール -逢魔が刻-』・『トワイライト -大禍刻-』に登場している。

作者曰く、「最初は、兄を殺した組織に少年ビシューヌが復讐していくというシリアスな設定だったのだが、何をどう間違ったのかあんなことになってしまった」とのこと。

登場人物

ラシャーヌ
インドの貿易商ハッサンの息子で、人をおちょくるのが大好きな美少年。さらには破壊的な性格の持ち主で、おちょくるだけでなく大損害を被らせる事もしばしば。サラビアの戦争に加わり、1ダース手榴弾を持ち帰ろうとしたため、刑務所に収監されたことがある。
その一方惚れっぽい性格で、男女問わず恋をしてはフラれてばかりいる。振られる度に「あーーーーい!」と泣く。
叔父に習っている拳法が得意。
パタリロ!』に何度かゲストで登場している。漫画版では数回出演しており、『恋の旅路』では、エナメルっぽいピカピカのロングブーツを履いた両足を上に向けた姿で、窓から真っ逆さまに落ちかけ「いい格好だねえ」とマライヒに言われてしまう[1]。『パタリロ忠臣蔵』では赤穂浪士の一人として、堀部安兵衛に扮する「おじ様」とともにカメオ出演している。
アニメ版では第5話「死の天使マライヒ」にて1シーンだけ電話混線の際に登場した。声優は中谷ゆみ
『パパラシャーヌ!』ではハッサンの会社に就職しているが、寝て、天丼を食べて、また寝るだけで、働いている様子はない。既に妻子がありながら惚れっぽいのは相変わらずで、また男性とも何度か性体験があったと語っており、一時期男娼として小遣い稼ぎをしていた事もある。
作者は、『翔ばして!埼玉』の作中において「ひとりでボケとツッコミをこなしていると指摘されたことがある」「なんとなく動かしにくいキャラだった」とコメントしている[2]
ハッサン
ラシャーヌの父親。ラシャーヌの日々のおちょくりの標的。ラシャーヌによって入院したり、冤罪逮捕されたこともあり、ラシャーヌに本気で殺意を抱いたり、家から追い出そうとしたこともある。その反面で意外といい性格をしており、自ら悪戯を仕掛けたり、をおちょくることもあった。
世界各国で商売をしており、取引品は銃器から楽器まで多岐にわたる。
おじ様
ハッサンの弟でラシャーヌの叔父。「七星虎狼拳」という拳法の達人で道場主。独身。ラシャーヌとの関係はおちょくり相手だったが、一時は真剣な恋愛関係にまで発展した。29歳という年齢を中年扱いされると喚きながら暴れる癖がある。ラシャーヌやばあやからは「おじ様」、ハッサンからは「弟」、第三者からは「ラシャーヌのおじ様」と呼ばれ、本名は一切出てこない。
『パパラシャーヌ!』では少し顔にが刻まれ、同時に年齢相応に落ち着きが出てきた。『パタリロ忠臣蔵』では堀部安兵衛役で出演。
ばあや
ラシャーヌの家のお手伝い。初登場時はただのおばあさんだったが、次第に外観がパタリロのようになった。昔からラシャーヌ家で働いているらしく、家族同様の扱いを受けており、ラシャーヌやハッサンにも遠慮なくツッコミを入れる。ただし基本的にはラシャーヌと気が合い、彼のおちょくりを手伝うこともしばしば。
『パパラシャーヌ!』では既に亡くなっており、幽霊になって家事をしていた。
マダム・ローゼン
美少年趣味で、「カイヌンの眼」という宝石の力で少年達をかどわかして囲っていたが、ラシャーヌによって暴かれ、以後彼を逆恨みしている。
ヤスミン
ラシャーヌの従妹。ハッサンの。ラシャーヌが化粧をするとそっくりになる。母親がフランスの外交官結婚したため、パリに住んでいる。とある事件で知り合った伯爵と結婚する。
伯爵
フランスの貴族画家としても知られており、ヤスミンを絵のモデル(刑務所に入れられたラシャーヌを出すための交換条件だった)として自分の屋敷に招待する。
初登場時はクールな人物だったが、ラシャーヌにおちょくられ、またヤスミンと結婚したこともあり、以降はギャグキャラとなった。ラシャーヌのおかげでタヌキがトラウマになっている。
イエリナ
独身のおじ様にハッサンが紹介した女性。おじ様の初恋の相手であるラシャーヌの母に似ているらしく、当初ラシャーヌへの当て馬に利用しようとしていたおじ様は、真剣に彼女と恋愛するようになる。後におじ様と婚約する。
聡明でしっかりした女性で、ラシャーヌのおじ様への気持ちにも気がついていた。
ビショーネ
「パパ・ラシャーヌ!」に登場するラシャーヌの息子。母親は病弱なためスイスで療養中。破壊的性格の父親を持ったおかげで、たくましい性格に育っている。父・ラシャーヌを「父ちゃん」と呼ぶ。
パタリロ、バンコラン
作者の別作品『パタリロ!』の主役コンビ。ラシャーヌ達が日本に行った時に成田空港で遭遇した(このくだりは『パタリロ!』内でも視点を変えたクロスオーバーで描かれている)。この際、ラシャーヌはバンコランの眼力に対して反応速度を遅らせる事で対抗した。後にラシャーヌが『パタリロ!』に登場し、再会したバンコランに失恋するエピソードが描かれている。
スチュワーデス
名もないモブキャラだが本編に合計3回登場し、3回ともラシャーヌにおちょくられてプライドを破壊されている。若作りだが30歳近いらしい。

エピソード

  • ラシャーヌ!1「カイヌンの眼」 - 1978年『花とゆめ』増刊冬の号
  • ラシャーヌ!2「マドンナの涙」 - 1978年『花とゆめ』増刊夏の号
  • ラシャーヌ!3「怪奇呪いの館」 - 1978年『花とゆめ』増刊秋の号
  • ラシャーヌ!4「ラシャーヌ ローマにて」 - 1979年『花とゆめ』4号
  • ラシャーヌ!5「貴婦人の唇」 - 1979年『花とゆめ』6号
  • ラシャーヌ!6「夜間飛行」 - 1979年『花とゆめ』増刊秋の号

書誌情報

脚注

  1. ^ 「恋の旅路」(「花とゆめ」昭和55年23号、花とゆめコミックス「パタリロ!」第8巻・1981年7月25日 第1刷)
  2. ^ 『魔夜峰央の翔ばして!埼玉』第8話より。

関連項目