ホワイトスペース (電波)

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ホワイトスペースとは、特定の電波利用サービスを目的に特定周波数帯の利用免許が与えられているにもかかわらず、チャンネル間の有害な混信を防ぐために設けられた、能動的に使用されていない周波数領域である。世界的な無線通信の利用増加に伴う帯域の不足から、帯域の有効利用が着目された。

動向[編集]

米国[編集]

携帯電話に代表される移動体通信のための電波使用の需要は大きく、一方では、ホワイトスペースと呼ばれる未使用の周波数帯が存在している。例えば2008年11月に米国の連邦通信委員会は、空いている7つの周波数帯域54 - 60MHz、76 - 88MHz、174 - 216MHz、470 - 608MHz、614 - 698MHzについて、利用がないと判断できれば無免許での利用を許可するとした。

近い将来、Mobile WiMAXLTEを使用するような移動体側の無線端末機器が無線経由で地域と周波数帯ごとの電波の空き情報(ホワイトスペース情報)を得ることで、現在以上に広い周波数帯域を使用できるのではないかと期待されている。米ブロードコム社は、この電波の空き情報に関する利用手順をIEEE 802で標準化しようと考えており、早ければ米国内で2011年にもホワイトスペースを使用する携帯無線端末が登場する可能性がある[1]

日本[編集]

2009年平成21年)
  • 12月 総務省は「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」を発足[2]し、ホワイトスペースを含めた電波の活用について検討を開始した。
2010年(平成22年)
  • 8月 検討チームの報告書が公表され、この中でUHFテレビ放送帯(470 - 770MHz[3])で局所的に電波を利用する「ホワイトスペース特区」の創設が提言され、先行モデル10件が選定された[4]
  • 9月 総務省はホワイトスペース活用の全国展開を目指す「ホワイトスペース推進会議」を開催した[5]。また、ホワイトスペース特区に関する提案の募集を開始した[6]
2011年(平成23年)
2012年(平成24年)
  • 4月 上記の結果を受け狭小な地域を対象とするエリア放送が制度化[11]された。また、携帯電話の普及に伴う周波数逼迫対策として、特定ラジオマイク800MHz帯の利用は2019年3月までとし、代替としてテレビホワイトスペース帯を使用する[12]こととなった。

以降は、 エリア放送および特定ラジオマイクを参照。

脚注[編集]

  1. ^ 「盛り上がるモバイル通信市場」Phil Leys 日経エレクトロニクス 2008年12月15日号 pp.44-46
  2. ^ 「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」の発足 - 総務省報道資料 平成21年11月25日(国立国会図書館のアーカイブ:2011年8月1日収集)
  3. ^ 当時、 平成24年総務省告示第471号による周波数割当計画改正により2013年(平成25年)1月から710MHzまでに削減。
  4. ^ 「新たな電波の活用ビジョンに関する検討チーム」報告書の公表及び「ホワイトスペース特区」先行モデル決定 - 同上 平成22年8月6日(同上:2013年10月1日収集)
  5. ^ 「ホワイトスペース推進会議」の開催 同上 平成22年9月3日(同上:2011年8月1日収集)
  6. ^ 「ホワイトスペース特区」に関する提案の募集「ホワイトスペース推進会議」の開催 同上 平成22年9月10日(同上:2011年4月1日収集)
  7. ^ 「ホワイトスペース特区」の決定 同上 平成23年4月8日(同上:2011年4月11日収集)
  8. ^ 防災情報を地上デジタルテレビ放送方式で行う実験試験局に免許 東北総合通信局 報道資料 平成23年7月15日(同上:2011年7月24日収集)
  9. ^ ホワイトスペース使いエリア・フルセグ/ワンセグで防災情報、南相馬市で実験 ITPro 2011年7月15日
  10. ^ 放送開始!南相馬チャンネル 広報みなみそうまフォトレポ 2011年7月20日(国立国会図書館のアーカイブ:2013年3月1日収集)
  11. ^ 平成24年総務省令第23号による放送法施行規則改正
  12. ^ 平成24年総務省告示第172号による周波数割当計画改正

関連項目[編集]

外部リンク[編集]