ブルックス&ダン
ブルックス&ダン (Brooks & Dunn ) はアメリカ合衆国のカントリー・ミュージックデュオ。双方とも歌手で作曲家のキックス・ブルックスとロニー・ダンで構成される。1990年、Tim DuBois の提案で、それまでソロで活動していた2人により結成された。ブルックスはジョン・コンリー、ニッティ・グリッティ・ダート・バンド、ハイウェイ101などの第1位になったシングル曲を作曲。1980年代、ブルックスとダンもそれぞれソロ曲がチャート入りし、1989年、ブルックスはキャピトル・レコードからアルバムを発表。
1991年にアリスタ・ナッシュビルと契約し、スタジオ・アルバム10枚、クリスマス・アルバム1枚、コンピレーション・アルバムを発表。また50枚のシングルを発表し、うち20枚がビルボードのカントリー・チャートで第1位となり、他の19枚がトップ10に入った。第1位となった曲のうち、B・W・スティーヴンソンのカバーである『My Maria 』(1996年)、『Ain't Nothing 'bout You 』(2001年)はビルボードのカントリー・チャートの年間トップとなった。『Ain't Nothing 'bout You 』は6週間第1位となり、デュオで最長となっている。彼らの曲のいくつかはBillboard Hot 100にもランクインし、『Ain't Nothing 'bout You 』と『Red Dirt Road 』は共に最高第25位となった。ブルックス&ダンは2000年を除き1992年から2006年まで毎年CMAアワードの最優秀ヴォーカル・デュオ賞を受賞していた。1994年の『Hard Workin' Man 』、1996年の『My Maria 』はグラミー賞最優秀カントリー・パフォーマンス賞ヴォーカル入りデュオまたはグループ部門を受賞。2枚を除く彼らのスタジオ・アルバムの全てがアメリカレコード協会によりプラチナまたはそれ以上に認定された。1991年のデビュー・アルバム『Brand New Man 』は出荷枚数600万枚で自己最高となった。
2人の作風は、2人の声質や舞台での振舞い同様、カントリーおよびロックが主体でありつつホンキートンクの影響も受けるなど多岐に亘るが、型通りの曲という批判もある。1992年のシングル『Boot Scootin' Boogie 』は全米のラインダンスの人気復活に助力し、2001年の『Only in America 』はジョージ・W・ブッシュおよびバラク・オバマのアメリカ合衆国大統領選挙キャンペーンで使用された。ブルックス&ダンはリーバ・マッキンタイア、ヴィンス・ギル、シェリル・クロウ、マック・パウエル、ビリー・ギブソンズ、ジェリー・ジェフ・ウォーカーなどとコラボレートしている。
2009年8月に解散を発表し、2010年9月2日のテネシー州ナッシュビルのブリヂストン・アリーナでファイナル・コンサートを行なった。ブルックスもダンも現在もアリスタ・ナッシュビルでソロで活動している。2011年、ダンはカントリー・チャートで10位以内に入ったシングル『Bleed Red 』を含むアルバム『Ronnie Dunn 』を、2012年9月、ブルックスは『New to This Town 』を発表した。
音楽スタイル
[編集]オールミュージックのスティーヴ・ヒューイはブルックスとダンの声質を比較し、「ダンは魂のこもった重低音で、ブルックスはエネルギッシュなパフォーマーである」と語った[1]。また彼は彼らのサウンドを「典型的なやんちゃ者でありながらパンチの効いたホンキートンク、スムースでありながらダンスに最適なビート、ポップスのようなバラードなど様々な様相を見せる」と語った[1]。書籍『The New Generation of County Music Stars 』(カントリー・ミュージック・スターの新世代、の意)の中でDavid Dicaire は、ダンは静かな激しさを持つ魂のこもった声の伝統的なカントリー歌手で、ブルックスはダンの音楽性とは正反対でエネルギッシュなパフォーマーであり、2人は完璧なバランスを保っていると説明した[2]。ブルックスは『Lost and Found 』、『Rock My World 』、『You're Gonna Miss Me When I'm Gone 』[3]、『Mama Don't Get Dressed Up for Nothing 』[4]、『Why Would I Say Goodbye 』[5]、『South of Santa Fe 』[6]でリード・ヴォーカルを務めた。
スリム&ハウディ
[編集]ブルックス&ダンのスタジオ・アルバムのライナーノーツには彼らをカウボーイになぞらえた架空の人物スリム&ハウディが登場する[7]。2008年後期、ビル・フィッツヒューと共に『The Adventures of Slim and Howdy 』(スリム&ハウディの冒険、の意)を著した[8][9]。
ディスコグラフィ
[編集]スタジオ・アルバム
[編集]- 1991年: Brand New Man
- 1993年: Hard Workin' Man
- 1994年: Waitin' on Sundown
- 1996年: Borderline
- 1998年: If You See Her
- 1999年: Tight Rope
- 2001年: Steers & Stripes
- 2003年: Red Dirt Road
- 2005年: Hillbilly Deluxe
- 2007年: Cowboy Town
コンピレーション・アルバム
[編集]- 1997年: The Greatest Hits Collection
- 1999年: Super Hits
- 2004年: The Greatest Hits Collection II
- 2008年: Playlist: The Very Best of Brooks & Dunn
- 2009年: #1's... and Then Some
ホリデイ・アルバム
[編集]受賞歴
[編集]ブルックス&ダンはCMAアワード17回、ACMアワードを26回、グラミー賞を2回受賞している[10]。
脚注
[編集]- ^ a b Huey, Steve. “Brooks & Dunn biography”. Allmusic. 12 October 2010閲覧。
- ^ Dicaire, David. The New Generation of Country Music Stars: Biographies of 50 Artists Born After 1940. McFarland. p. 137
- ^ Jessen, Wade (19 August 1995). “Country Corner”. Billboard: 26 .
- ^ Dickinson, Chris (31 October 1997). “The Greatest Hits Collection review”. St. Louis Post-Dispatch 8 May 2012閲覧。
- ^ Evans, Deborah Price (15 March 1997). “Single reviews”. Billboard: 64 .
- ^ Price, Deborah Evans (1 May 1999). “Single reviews”. Billboard: 22 .
- ^ Netherland, Tom (14 December 2008). “Slim & Howdy review”. TriCities.com. 14 December 2010閲覧。
- ^ “Rollicking with two country musicians”. The Roanoke Times. (21 September 2008) 14 December 2010閲覧。
- ^ Sculley, Alan (8 May 2008). “Brooks & Dunn still live up to hard-workin' reputation”. Hampton Roads.com. 14 December 2010閲覧。
- ^ “Brooks & Dunn: Awards”. CMT. 12 May 2012閲覧。