ピアノソナタ第3番 (シューベルト)
フランツ・シューベルトのピアノソナタ第3番ホ長調D459は作曲者19歳のときの作。シューベルトの兄フェルディナントが「5つのピアノ曲」として出版者に紹介しているが、第1楽章のソナタ形式、第3楽章の緩徐楽章など、ソナタ作品であることは明白である。
5楽章構成の作品。ベートーヴェンの初期作「選帝侯ソナタ」と似て、労作であるが若く創作力の旺盛な時期のもので、研究には欠かせない。
曲の構成
- ソナタ形式。冒頭はホ長調の堂々とした主和音。16分音符と4分音符を組み合わせた特徴的な主題はベートーヴェンのピアノソナタ第3番の影響といえる。
- 展開部は簡単に済ませているが、再現部では下属調のイ長調で主題を登場させており、モーツァルトのK.545の影響が現れている。
- なお通常のソナタ形式では再現部で原調どおり主題を表す慣例になっていた。冗長さを避ける効果的な作曲技法である。
- 第2楽章 Allegro ホ長調 3/4拍子
- 三部形式。注釈にscherzoと記載されている版もあるが、第4楽章にもscherzo con brioとあるので本楽章は(五つのピアノ曲として一体と考えると)緩徐楽章に近い性質もある。
- 冒頭はユニゾンの主題。右手のオクターブ奏法が特徴的。
- 小ソナタ形式。緩やかな歌謡風の楽章。
- 第5楽章 Allegro patetico ホ長調 4/4拍子