セミクジラ
セミクジラ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Eubalaena japonica (Lacépède, 1818) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
セミクジラ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Pacific Northern Right Whale | ||||||||||||||||||||||||||||||
セミクジラの分布図
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セミクジラ(背美鯨、学名:Eubalaena japonica)はヒゲクジラ亜目 セミクジラ科 セミクジラ属に属するクジラの1種。温帯から亜寒帯の沿岸に生息する。近縁種に、同じセミクジラ属のタイセイヨウセミクジラとミナミセミクジラ (学名:Eubalaena australis)、ホッキョククジラ属のホッキョククジラがいる。日本哺乳類学会では絶滅危惧種に登録されている。[1]
形態
体長15mから18m、体重約60t。頭部が大きく全長の4分の1ほどを占める。口は大きく湾曲し、最大2mを超す長大なクジラヒゲが生えている。腹部には、多くのヒゲクジラ類に存在する畝(腹を前後に走る皮膚の高まった線。シロナガスクジラ・ナガスクジラなどでは多く、ザトウクジラでは少ない)は見られない。背びれも無く、和名のセミクジラは背中の曲線の美しさに由来する「背美鯨」の意であり[2]、このクジラが長時間にわたって背部を海面上に出して遊泳し続ける性質があった事による。 世界で最も精巣が大きい動物で、片側約500kg、合わせて約1トンもある。
人間との関係
セミクジラをはじめとするセミクジラ科のクジラは肥えた体形で動きが遅く、沿岸部に接近する事が多い上に好奇心も強く、脂肪分が多く死んでも沈まないなどの理由から捕獲が容易であり、他方、鯨油や鯨肉の採取効率に優れ、工芸材料として便利な長いクジラヒゲを有しているなど利用価値が高かったことから、古くから各地で捕鯨の対象とされてきた。英名の Right Whale の Right は「都合がよい」という意味の「よい」である。同様に日本でも最上の捕鯨対象という意味で「本魚」とも呼ばれており、江戸時代には盛んに捕獲されていた。そのため、乱獲されて早くから個体数の激減を招き、20世紀初頭にはすでに絶滅寸前の状態だった。北太平洋では1960年代まで細々と捕獲されたが、今は完全に停止されている。
長大で柔軟性のあるクジラヒゲには特徴的な用途が見られる。日本では文楽人形の仕掛けなどに用いられ、西洋ではコルセットや傘などの素材に使用された。なお、日本では一部が食用にもされた。
日本では捕鯨対象として馴染み深く、また背中の曲線が美しかったことから、古くから絵画の題材に取り上げられている。
生息数
現在の生存数については諸説あり、100~200頭程度との推定もあるが、正確な測定がされたことはない。
分布と回遊
北太平洋のセミクジラの学術的研究は歴史が浅く、厳密な回遊経路と越冬海域は全く判明していない。近年の日本では伊豆半島から小笠原諸島に至る海域や熊野灘、土佐湾周辺、奄美大島などではセミクジラが冬から初夏にかけて時節確認されている。過去の記録からすると北西太平洋での南限は中国南部や台湾であり、東部北太平洋ではオレゴン州やカリフォルニア半島、ハワイ諸島などで近年の記録がある。
採餌場について、東部北太平洋では南東部ベーリング海(ブリストル湾)に集中が見られ、アラスカ湾のコディアック島周辺でも確認されている事から、これらの海域が東部のセミクジラの重要な生息域とされる。 西部北太平洋での集中域は沖合に集中しており、ベーリング海からカムチャッカ半島、千島列島やサハリン島などのオホーツク海周辺が西部個体群の採餌分布域であると推測されている。
科学的証拠が存在する唯一の南北の回遊例は、南東部ベーリング海からハワイ諸島にかけてである。
脚注
- ^ 日本産哺乳類のレッドリスト
- ^ “展示解説:セミクジラ ”. 東京海洋大学 水産資料館. 2011年7月22日閲覧。