シクロスポリン
IUPAC命名法による物質名 | |
---|---|
| |
臨床データ | |
胎児危険度分類 | |
法的規制 | |
投与経路 | 経口投与, 経静脈投与, 点眼(獣医学) |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | variable |
代謝 | 肝代謝 |
半減期 | variable (about 24 hours) |
排泄 | biliary |
識別 | |
CAS番号 | 59865-13-3 |
ATCコード | L04AD01 (WHO) S01XA18 (WHO) |
PubChem | CID: 2909 |
DrugBank | BTD00003 |
ChemSpider | 4447449 |
KEGG | D00184 |
化学的データ | |
化学式 | C62H111N11O12 |
分子量 | 1202.61 |
シクロスポリン(サイクロスポリンとも呼ばれる。英: cyclosporin または ciclosporin, cyclosporine)とは真菌が産生する環状ポリペプチド抗生物質のひとつ。商品はサンディミュン、ネオーラル[1]など。
概要
スイスのサンド社(現ノバルティス)により、ノルウェーの土壌に含まれていた Tolypocladium inflatum から開発された。
Tリンパ球によるインターロイキン2,4,5,13やインターフェロンγなどのサイトカイン転写を特異的かつ可逆的に抑制し、ひいてはサイトカイン産生と遊離を抑制する。これはカルシニューリンによる細胞内情報伝達阻害による。臓器移植による拒絶反応の抑制や自己免疫疾患の治療に使用される。
副作用として、腎機能障害(腎毒性と呼ばれ、特にクレアチニン値上昇)、高血圧、多毛、シクロスポリン歯肉増殖症などがある。
2008年10月、アトピー性皮膚炎の治療薬にシクロスポリンが承認された。獣医学領域では犬の乾性角結膜炎の治療のため点眼薬としても使用される。腎毒性があり、副作用として神経症状を示すことがある。臓器移植された患者が出産する例もあり、シクロホスファミドやメトトレキサートなどにくらべ、生殖細胞への影響が少ない。
薬理
T細胞内でシクロフィリン(CyP)と結合してカルシニューリンを介した細胞内情報伝達を阻害し、IL-2の産生を抑制する。これによって免疫機能を抑制する。これはタクロリムスと類似の薬理作用を持つ。シクロホスファミドのようなアルキル化剤やメトトレキサートのような葉酸代謝拮抗剤のようなDNAへの傷害性は少ないため、催奇形性は軽減されている。
サンディミュンは疎水性であるため、消化液の中では大きな油滴となり、吸収には胆汁酸による乳化が必要であり、食事の内容やタイミング、胆汁酸分泌量による影響から、吸収にはバラツキがあった。ネオーラルはoil in water (o/w) 型マイクロエマルジョンとなるよう界面活性剤などを配合したものであり、吸収が安定するように製剤技術を用いた製品である。
適応症
- 右記の臓器移植における拒絶反応の抑制/腎移植・肝移植・心移植・肺移植・膵移植・骨髄移植
- 眼ベーチェット病
- ベーチェット病以外の非感染性ぶどう膜炎
- 各種乾癬
- 再生不良性貧血・赤芽球癆
- ネフローゼ症候群
- 重症筋無力症
- アトピー性皮膚炎
臨床研究
脚注
参考文献
- Donald C. Plumb著 佐藤宏ほか監訳『プラム 動物用医薬品ハンドブック 原書第3版』株式会社ワハ、2003年
- 伊藤勝昭ほか編集『新獣医薬理学 第二版』近代出版、2004年、ISBN 4874021018