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コミュニティ道路

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コミュニティ道路とは、自動車の通行を主たる目的とはしない道路のことである。住宅地の道路整備手法の1つで、歩行者の安全件や快適性を考慮した道づくりを目的として発足した。類義の道路としては歩車共存道路がある。

道路上の空間は歩行者、自転車、低速の自動車などの交通のほか、近隣住民の交流や子供の遊びなどに用いられる。歩行者専用道路とは異なり、自動車の通行が完全に禁止されるわけではなく、自動車交通を抑制する交通静穏化のひとつである。

コミュニティ道路がまとまって整備された地区をコミュニティゾーンと呼ぶ。「コミュニティ道路」、「コミュニティゾーン」などの語は和製英語であり、英語では同様の概念をliving streethome zoneイギリス)、shared zoneオーストラリア)などと呼ぶ。

構造

長池コミュニティ道路
オランダのボンエルフ

コミュニティ道路では、自動車の速度は道路上でのほかの活動を妨げない程度(歩行者の速度程度)に抑えられなければならない。そのために用いられる代表的な手法が、車が一直線に走れないようにするものである。具体的には車道の左右に交互に花壇、駐車スペースなどを設けて車道を蛇行(スラローム)させたり、不規則な曲り角(クランク)を設けたりする。このほか車道を部分的に極端に狭くする(狭窄)、道路を凸型に盛り上げる(ハンプ)といった手法も用いられる。路面の塗装による視覚的な効果も利用される。

歴史

コミュニティ道路の起源はオランダボンエルフwoonerf、「生活の庭」の意)である。住民たちが生活道路に車が進入するのを防ぐために花壇や敷石を置いたのが始まりであり、1971年デルフトで実用化された。1975年にはオランダ政府の政策として採用され、設計の基準が定められた。同様の政策はドイツ北欧イギリスなどにも広まった。

日本での施策

日本ではコミュニティ道路事業として1980年大阪市阿倍野区長池町で初めて設けられ、以後全国各地で整備されている。1996年からは建設省(現国土交通省)によるコミュニティゾーン形成事業が行なわれている。

おもなコミュニティ道路

参考文献

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  • コミュニティ道路の整備と今後の課題 (アメニティを高める都市交通対策の諸相<特集>) 都市計画 (126), p16-24, 1983年4
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関連項目

外部リンク