アルピコ交通20100形電車

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東武20000系電車 > アルピコ交通20100形電車
アルピコ交通20100形電車
アルピコ交通 20100形
(2022年4月16日)
基本情報
運用者 アルピコ交通
種車 東武20000系電車(20000型・20050型)
改造所 京王重機整備
改造年 2021年 -
改造数 4編成8両(予定)
導入年 2022年 -
総数 4編成8両(予定)
運用開始 2022年3月25日
投入先 アルピコ交通上高地線
主要諸元
編成 2両編成(MT比1:1)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500 V
(架空電車線方式)
最高運転速度 50 km/h
編成定員 244人(座席定員86人)
車両重量 38.6 t(モハ)
32.0 t(クハ)
車体長 18,000 mm
車体幅 2,857 mm
車体 ステンレス鋼
台車 SS133台車(モハ)
SS107台車(クハ)
制御方式 VVVFインバータ制御
制動装置 回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
備考 出典:[1]
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アルピコ交通20100形電車(アルピコこうつう20100がたでんしゃ)は、アルピコ交通2022年令和4年)より上高地線で運用している通勤形電車である。

概要

1999年から上高地線で運用されてきた3000形車両の置き換えとして、東武20000系電車(20000型・20050型)を京王重機整備で改造した上で、制御電動車モハ20100形 - 制御車クハ20100形の2両編成が導入された[2][1]

2021年度は1編成が譲渡・改造され、2021年12月28日に新村車両所へ搬入の後、試験調整や乗務員訓練を経て2022年3月25日に営業運転が開始された[2][3]。今後は1年度に1編成ずつ導入して、最終的には3000形の全編成(2両編成4本)を置き換える計画である[1][4]

なお、東武鉄道の車両が他の鉄道事業者に譲渡されたのは、1995年(平成7年)から1996年(平成8年)にかけて上毛電気鉄道へ譲渡された3050系電車以来、約25年ぶりのことである[5]

主な改造点

モハ20100形は20050型中間車を、クハ20100形は20000型中間車をそれぞれ種車としている[2][1]。いずれも元中間車を先頭車とするため、運転台を新設している。

外観

前面は3000形電車と同様の、白色をベースに紫色・ピンク色・山吹色・緑色・赤色の斜めストライプ(「ダイナミックストライプ」)と「Highland Rail」ロゴが入ったアルピコカラーを纏う。窓ガラス周りは黒色に塗装され、上部に前照灯・尾灯と行先表示器が設置されている[5][6]。ワンマン運転時のホーム視認用のサイドミラーを左右に取り付けている。また、雪対策としてスノープラウを設置した。

側面はステンレス無地に青色(アルピコブルー)の帯を窓下腰部と雨樋下に巻き、妻(連結面)寄りには帯と同色の大きな「ALPICO」ロゴを配置した。

行先表示器は前面・側面ともフルカラーLEDで、アルピコ交通の車両で初めての採用となる。

クハ20100形にはシングルアーム式のパンタグラフを2基、モハ20100形には1基それぞれ取り付けられている。クハ20100形に2基搭載とした理由は、SIV(補助電源装置)に安定して電力を供給するためである。またモハ20100形のパンタグラフは集電用ではなく霜取り用である[5]

内装

内装は壁面の化粧板を新調し、座席モケットは緑色のものに、床材は木目調のものにそれぞれ交換された[5][7]。天井に行先や次の駅名などを表示する29インチワイドの液晶モニターを1両当たり6台枕木方向に配置した。液晶モニターをドア上鴨居部への設置ではなく天井から吊り下げた理由は、「ドア上に取り付けると角度の問題で画面が見にくくなるため」[5]という。ワンマン運転用の車内確認用カメラに加えて、防犯カメラを1両当たり3台設置。プラズマクラスターイオン発生装置も1両に4台設置されている[5]

乗務員室の運転台はT字型ワンハンドルマスコンを新設した。ドア開閉スイッチなどのワンマン運転に必要な機器類も運転台周りに集約されている[8]

制御機器

アルピコ交通では初となるVVVFインバータ制御であり、主制御器は東洋電機製造製のIGBT素子VVVFインバータ装置を新調した[1]。性能的にはJR東日本E129系電車しなの鉄道SR1系電車などと同等である[5]

編成表

形式
松本
営業運転開始日
クハ20100
(CT1)
モハ20100
(CM1)
機器 < > SIV,CP[9] > VVVF[10]  
編成 クハ20102[11]
(モハ24803[12]
モハ20101[11]
(モハ25853[12]
2022年3月25日
  • VVVF:VVVFインバータ装置
  • SIV:補助電源装置(静止型インバータ)
  • CP:空気圧縮機
  • < >:シングルアームパンタグラフを2基搭載
  • > :シングルアームパンタグラフ(霜取り用)を1基搭載
  • ( )内は東武鉄道時代の車両番号。

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e RM編集部 (2022年3月26日). “2両で3パンタ! アルピコ交通新型車両20100形、営業デビュー!”. 鉄道ホビダス (ネコ・パブリッシング). https://rail.hobidas.com/feature/382287/ 2022年4月3日閲覧。 
  2. ^ a b c 【鉄道】鉄道車両の譲受について”. アルピコ交通 (2021年12月13日). 2022年4月3日閲覧。
  3. ^ 【鉄道】上高地線20100形電車の運行開始について”. アルピコ交通 (2022年3月22日). 2022年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月3日閲覧。
  4. ^ 上高地線に新型「20100形」 新島々駅で出発式 松本・アルピコ交通”. 中日新聞 (2022年3月26日). 2022年4月3日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g 信州・上高地線、22年ぶり新車で描く「復旧後」の道 元東武電車を大改造「顔」はオリジナルデザイン”. 東洋経済オンライン (2022年3月30日). 2022年4月6日閲覧。
  6. ^ 【鉄道】上高地線20100形車両の外装デザインと電車撮影時のマナーついて”. アルピコ交通 (2022年3月1日). 2022年4月6日閲覧。
  7. ^ @RM_nekopub (2022年3月25日). "アルピコ交通20100形の車内。種車の関係で1号車と2号車で荷棚や天井など、相違点がいくつかあります。". X(旧Twitter)より2022年4月6日閲覧
  8. ^ @Nagisa_Endo (2022年2月24日). "整備調整中の上高地線20100形電車、新設した運転台は灰色になっています。ちなみに上高地線3000形は京王6000系の運転台を設置していますので黒色です。マスコンハンドルや計器類のほか、設定器やドアスイッチなどのワンマン機器も運転席周りに集約されています。". X(旧Twitter)より2022年4月7日閲覧
  9. ^ @Nagisa_Endo (2022年2月25日). "アルピコ交通上高地線20100形電車、新島々側の車両(クハ20102)は制御車で補助電源装置(SIV)と空気圧縮機(CP)等が設備されています。屋根にはパンタグラフが2基載っており、いずれも集電用です。". X(旧Twitter)より2022年4月7日閲覧
  10. ^ @Nagisa_Endo (2022年2月24日). "上高地線20100形電車のうち松本側車両(モハ20101号車)の側面です。こちらの車両が制御電動車となっていてVVVF制御装置と主電動機があり、屋根上には冬期に使用する「架線霜取装置」が取り付けられています。". X(旧Twitter)より2022年4月7日閲覧
  11. ^ a b @Nagisa_Endo (2022年1月4日). "本年3月に上高地線で運行を開始するアルピコ交通20100形電車の別アングル写真が届きました。写真の新島々側の車両が「クハ20102」、反対側の松本側車両が「モハ20101」になります。". X(旧Twitter)より2022年4月7日閲覧
  12. ^ a b @Nagisa_Endo (2022年4月5日). "上高地線20100形電車の乗務員室内には、東武鉄道様時代の長年の活躍に敬意を払って、改造前の車番を取り付けています。ホーム入線時等にちらっと見てくださいね。なお、乗務員室内への立ち入りは法律で禁止されていますので、立ち入らないでください。". X(旧Twitter)より2022年4月7日閲覧