P.S. RED I

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
P.S. RED I
TK from 凛として時雨シングル
初出アルバム『彩脳
B面 moving on
リリース
規格 マキシシングル
ダウンロード・シングル
ジャンル J-POP
時間
レーベル ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
プロデュース TK
チャート最高順位
TK from 凛として時雨 シングル 年表
katharsis
(2018年)
P.S. RED I
(2019年)
蝶の飛ぶ水槽
(2020年)
彩脳 収録曲
「凡脳」
(11)
P.S. RED I (sainou mix)
(12)
「copy light」
(13)
ミュージックビデオ
「P.S. RED I」 - YouTube
EANコード
EAN 4547366391411 (通常盤)
EAN 4547366391404 (初回生産限定盤)
テンプレートを表示

P.S. RED I」(ピーエス レッド アイ)は、ロックバンド・凛として時雨のギター・ボーカルであるTKTK from 凛として時雨名義として、2019年3月6日ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズから発売した4枚目のシングル

日本語吹替版主題歌として映画『スパイダーマン:スパイダーバース』に書き下ろされた新曲である[2]シンセを使って強烈な低音を出し、ピアノやバイオリンといった生楽器とのコントラストで主人公の強さと弱さを表現している[3]

沿革[編集]

2018年12月11日に主題歌を担当することを発表[4]。2019年2月8日に、本曲と映画のコラボレーションティザー映像がYouTubeにて公開[5]。2019年2月15日からダウンロードでの先行配信、およびiTunes Storeでのプリオーダーがスタートされた[6]

2019年3月8日には、「スパイダーバースVer.」と称したミュージック・ビデオフルサイズの24時間限定公開がYouTubeでスタートした[7]。「スパイダーバースVer.」MVは、3月8日に映画が公開されることを記念してアップされた作品で、「自らが作った世界(枷)に捕らえられている自分から、解放される」という映画にも通ずるテーマのもと制作された[7]。鎖に縛られたダンサーが、鎖を破壊し、躍動していく様子やTKによるパフォーマンスなどで構成されたスリリングな映像に仕上がっており、日本版主題歌MVならではのオマージュとして東京の街並みが随所に登場する[7]。翌日の3月9日に、MVのオリジナルバージョンが公開された[8]

制作背景[編集]

主題歌担当の発表の際、本曲についてTKがコメントしている[4]。まずは「自分自身の意識をスパイダーマンにどれだけ溶け込ませられるか」というのが課題で、ごく普通の少年が抱いている葛藤やコンプレックスといったものを自分の中にある葛藤に結びつけ、それをどれだけスパイダーマンの世界と繋げられるかということと、言葉選びなどで疾走感を出したり、その中にメッセージを込めるというところを意識している[4]

TKをオファーしたのは映画配給元のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのエグゼクティブディレクターである堀内啓[9]。堀内がアニメ『東京喰種トーキョーグール』のオープニングを見て、「カッコ良さもあり、情感に訴えてくるドラマティックな感じが、我々の考える『スパイダーマン: スパイダーバース』にぴったり」という理由でオファーに至り、会議室で制作途中の映像を見ながらTKと朝から打ち合わせを重ねた[9]。秋ごろにデモ音源が完成し、予告編にも曲を使用することが決定したが、予告映像に日本のオリジナル楽曲が使用されるのは異例であり、堀内が曲を聴いたときに日本語予告の構成を「シリアスでドラマチックでエモさがあるもの」と頭の中ですぐに構築することができたという[9]ポスト・マローンによる英語版主題歌「Sunflower」からの大胆な舵切りには賛否も分かれていたが、日本向けに作られた予告編動画に英語をはじめとする言語で賞賛が集まる一因となった[9][10]

本曲は、TKが初めてメインに強力なシンセサイザーの音を使ったEDM的な手法を取りいれている[9]。具体的には、生楽器では出しづらい超低域をベースシンセで鳴らし、コード感と体感するような音圧を出せるかトライしており、映画館で流れることも踏まえて音の幅を広めに取っている[9]。楽器のように聴こえるハイトーンにもなっており、 「初めてスタジオで歌った時に自分の声が体に当たる感覚がなかったから」という軽い気持ちで試したのが最初で、「1オクターブあげると音としての声が体にあたっているように感じる。そのための一番簡単な方法が1オクターブ上げることだった」と話している[9]

リリース[編集]

通常盤と、トールサイズ・デジパック仕様の初回生産限定盤の2形態で発売された。シングルにはSalyuが客演した新曲「moving on」も収録されている[2]。初回生産限定盤には、横浜のランドマークスタジオで行われたスタジオライブ映像を収録したDVDが付属した[2]タワーレコードではオリジナルボールペン、Amazonではオリジナルポストカードが購入特典として付属する[11]

DVDは「Fantastic Magic」、「Signal」、「film A moment」、「katharsis」の4曲のパフォーマンスと共に、当日のドキュメンタリーとTKによるインタビューによって構成されている[2]。スタジオライブ映像では、TKと共に、BOBO(ドラムス)、佐藤帆乃佳(ヴァイオリン)、吉田一郎不可触世界(ベース)と、世武裕子(ピアノ)、渡邉雅弦(チェロ)といった編成になっている[2]。発売に先駆け、2019年3月1日にはスタジオライブ映像の一部を公開している[2]。2020年5月22日に公開された『TK from 凛として時雨 Recording documentary & Rehearsal for “SAINOU”』の配信直前の18時30分からは、スタジオライブ映像からスタジオライブ部分のみを抜き出した再編集版が、期間限定でオフィシャルYouTubeチャンネルにて公開された[12]

形態 規格 規格品番
通常盤 CD AICL-3665
初回生産限定盤 CD+DVD AICL-3663~4

収録曲[編集]

CD - Disc 1
全作詞・作曲: TK from 凛として時雨。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「P.S. RED I」TK from 凛として時雨TK from 凛として時雨
2.「moving on」TK from 凛として時雨TK from 凛として時雨
3.「P.S. RED I (Instrumental)」TK from 凛として時雨TK from 凛として時雨
合計時間:
DVD - Disc 2「TK from Ling tosite sigure Studio Live Session & Documentary at LANDMARK STUDIO」(初回生産限定盤)
全作詞・作曲: TK from 凛として時雨。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.Fantastic MagicTK from 凛として時雨TK from 凛として時雨
2.「Signal」TK from 凛として時雨TK from 凛として時雨
3.film A momentTK from 凛として時雨TK from 凛として時雨
4.「katharsis」TK from 凛として時雨TK from 凛として時雨
合計時間:

タイアップ[編集]

P.S. RED I
映画『スパイダーマン:スパイダーバース』日本語吹替版主題歌[2]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ P.S. RED I”. ORICON NEWS. 株式会社oricon ME. 2021年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g Rolling Stone Japan 編集部 (2019年3月2日). “TK from 凛として時雨、ニューシングル「P.S. RED I」よりスタジオライブ映像を公開”. Rolling Stone Japan. CCCミュージックラボ株式会社. 2020年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  3. ^ 金子厚武 (2019年6月28日). “凛として時雨、『スパイダーマン』最新作吹替版主題歌での挑戦 TK「P.S. RED I」との変化に迫る”. Real Sound. 株式会社blueprint. 2021年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  4. ^ a b c 音楽ナタリー編集部 (2018年12月11日). “TK from 凛として時雨、映画「スパイダーマン:スパイダーバース」主題歌書き下ろし”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ. 2019年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  5. ^ 音楽ナタリー編集部 (2019年2月8日). “TK from 凛として時雨と映画「スパイダーマン」コラボティザー公開”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ. 2019年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  6. ^ Rolling Stone Japan 編集部 (2019年2月15日). “TK from 凛として時雨、ニューシングル収録曲でSalyuとコラボ”. Rolling Stone Japan. CCCミュージックラボ株式会社. 2022年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  7. ^ a b c 音楽ナタリー編集部 (2019年3月8日). “TK from 凛として時雨、24時間限定で新曲MV“スパイダーバースver”公開”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ. 2019年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  8. ^ 竹田賢治 (2019年3月11日). “凛として時雨、全国ツアー<Tour 2019 Golden Fake Thinking>追加公演が決定!the band apartとTempalayが出演”. Qetic. 2020年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g Yui Kashima (2019年3月6日). “とある映画の予告が奇妙な話題に!? 「日本語版が観たい」「日本語話せないのに全部わかる!」海外から熱望の声が殺到の謎”. BuzzFeed News. BuzzFeed Japan. 2020年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  10. ^ 稲垣 貴俊 (2018年12月27日). “『スパイダーマン:スパイダーバース』日本語吹替版予告編、海外で「オリジナル版よりも良い」の声 ─ TK from 凛として時雨の主題歌も支持集める”. THE RIVER. 株式会社riverch. 2021年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  11. ^ TK from 凛として時雨、『スパイダーバース』吹替版主題歌を3月リリース”. CINRA (2019年1月19日). 2019年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
  12. ^ OKMusic編集部 (2020年5月22日). “TK from 凛として時雨、アルバム『彩脳』の制作秘話を語るドキュメンタリ-映像を配信”. OKMusic. ジャパンミュージックネットワーク株式会社. 2021年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月27日閲覧。