LTJブケム

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LTJブケム
LTJ Bukem
LTJブケム(2006年)
基本情報
出生名 Daniel Williamson
別名 The Bookworm、Apollo Two
生誕 (1967-09-20) 1967年9月20日(56歳)
出身地 イングランドの旗 イングランド ワトフォード[1]
ジャンル ドラムンベース、ブレイクビート・ハードコア、ブレイクビーツトリップ・ホップネオ・ソウルファンク
職業 DJ音楽プロデューサー
レーベル Good Looking、Looking Good、Cookin'、Earth series

LTJブケムLTJ Bukem[2]として知られるダニエル・ウィリアムソン(Daniel Williamson、1967年9月20日 - )[3]は、イギリスドラムンベースDJミュージシャン音楽プロデューサー。彼と彼のレコードレーベルである「Good Looking」はドラムンベースの中でジャズっぽさやアトモスフェリックな特徴がある。

バイオグラフィ[編集]

クラシック・ピアニストとしての教育を受けたブケムは、10代の頃にフュージョンに出会い、一時期はジャズ・ファンク・バンドを組んでいたこともある。1980年代後半にはDJになることを決意し、1990年代初頭のレイヴ・シーンで名声を得た。

彼のステージ・ネームは、テレビ番組『ハワイ5-0』で、登場人物のスティーブ・マクギャレットが誰かを逮捕の際に「Book 'em Danno」と言うことに由来する「Book 'em」というニックネームを元にしている。

音楽プロデューサーとして、「Logical Progression」(1991年)、「Demon's Theme」(1992年)、「Atlantis」「Music」(1993年)などの一連のドラムンベース・トラックを発表した。代表作は、レモン・ソルの楽曲「Sunflash」の主旋律を使用したトラック「ホライゾンズ」(1995年)で、人気を博した。

その後、ドラムンベースDJ仲間のファビオ (Fabio)とのロンドンのクラブナイト「Speed」の運営や、自身のレコードレーベル「グッド・ルッキング・レコード (Good Looking Records)」の運営に携わり、プロデューサーとしての知名度を高めていった。「Logical Progression」と名付けられた一連のコンピレーションは、ジャズやアンビエントの影響を受けたドラムンベースの側面を強調し、このスタイルはインテリジェント・ドラムンベース (Intelligent drum and bass)として広く知られるようになる。また、姉妹レーベルの「Cookin' and the Earth」シリーズのコンピレーションで、エレクトロニック・ラウンジミュージックダウンテンポな部分を探求した。

この時期にグッド・ルッキングの下で有名になったアーティストには、Blame、Seba、Big Bud、Blu Mar Ten、DJ Dream (Aslan Davis)、Future Engineers、Tayla、Aquarius (Photek の別名)、Peshay、Source Direct、Artemis、Makotoなどがいる。

1995年7月16日には、MCコンラッドと一緒にBBCラジオ1のラジオ番組『Essential Mix』に登場した。1997年デヴィッド・アーノルドジェームズ・ボンドに関する音楽のコンセプト・アルバムで「ジェームズ・ボンドのテーマ」をリミックスした。2000年、ついにソロ・デビュー・アルバムとして2枚組CD『JOURNEY INWARDS』をリリース。このアルバムは、彼のフュージョンからの影響を強く打ち出している。2001年には、ハービー・ハンコックのリミックスを発表した。

「Progression Sessions」や「Bukem in Session」のイベント名で、世界中で幅広くDJを行う。しかし、かつての仲間でありボーカリストでもあるMCコンラッドは、2012年にレーベルを離れた。

養子として育った。2007年、パリに住むウガンダ人の実の母親を見つけたことを明らかにした。彼女は実の父親がエジプト人であることを告げた[4]

音楽性と影響[編集]

ドラムンベース・スタイルの革新者として知られるブケムは、ブレイクビート・ハードコア系ジャンルのスピード感や攻撃的なエネルギーに代わる、親しみやすいサウンドを開発したことで知られている。彼のスタイルは、デトロイトを拠点とする初期テクノデトロイト・テクノのサウンドに影響を受けているほか、ロニー・リストン・スミスロイ・エアーズに代表される1970年代のフュージョンのメロウでメロディックなソノリティも取り込んでいる。

1990年代初頭のブケムの音楽は、1980年代のロンドンのレア・グルーヴアシッド・ジャズ・シーンから得たソフトなエッジの影響を取り入れ、ドラムンベースの新しい未来を描こうとするものだった。「Logical Progression」では、これらの影響が見られ、1993年の「Music / Enchanted」では、ストリングスのアレンジや自然界の音を取り入れたアプローチをしている。キーボード、ライブ・ボーカル、スローモーション・ブレイクの使用により、ブケムの音楽はインテリジェント・ドラムンベースと呼ばれるようになった。この呼称はドラムンベース・コミュニティーの中で論争を巻き起こしたが、1990年代半ばのイギリスにおけるブレイクビート・ハードコアの普及に影響を与えた。

ディスコグラフィ[編集]

アルバム[編集]

  • 『JOURNEY INWARDS』 - Journey Inwards (2000年)

コンピレーション・アルバム、ミックス・アルバム[編集]

  • Mixmag Live! Volume 21 (MixMag, 1996年)
  • Logical Progression Vols 1–4 (1996年–2001年)
  • 『プログレッション・セッションズ』 - Progression Sessions Vols 1–10 (1998年–2003年) ※最初の2枚のみ日本盤がリリースされている
  • Earth Vols 1–7 (1996年–2004年)
  • Producer 01 (2001年)
  • Producer 05: Rarities (2002年)
  • Some Blue Notes of Drum 'N Bass (2004年)
  • FabricLive.46 (2009年)
  • Bukem in Session (2013年)

シングル・EP[編集]

  • "Delitefol" (1991年)
  • "Logical Progression" (1991年)
  • "Teach Me to Fly" (with DJ Trace) (1992年)
  • "Demon's Theme / A Couple of Beats" (1992年)
  • Who Knows Vol 1 (as the Bookworm) (1993年)
  • "Bang the Drums / Remnants" (with Tayla) (1993年)
  • "Return to Atlantis" (with Apollo Two) (1993年)
  • "Music / Enchanted" (1993年)
  • "Atmospherical Jubilancy" (1993年)
  • "19.5" (with Peshay) (1994年)
  • 「ホライゾンズ」 - "Horizons" (1995年)
  • "The Journey" (with Mystic Moods) (1996年)
  • 『ミスティカル・レルムス』 - Mystical Realms EP (1998年)
  • Suspended Space EP (2000年)
  • “Flip the narrative” (2021年)

リミックス[編集]

脚注[編集]

  1. ^ “DJ on a rhythm mission”. (2000年4月19日). ISSN 0307-1235. オリジナルの2016年2月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160227070406/http://www.telegraph.co.uk/culture/4720485/DJ-on-a-rhythm-mission.html 2019年4月14日閲覧。 
  2. ^ Archived at Ghostarchive and the Wayback Machine: Modern Times - LTJ Bukem Documentary” (1996年). 2020年6月20日閲覧。
  3. ^ Bush. “LTJ Bukem – Music Biography, Credits and Discography”. AllMusic. 2013年2月15日閲覧。
  4. ^ BBC Radio 1, One in the Jungle, 6 September 2007 @1:30:00”. Mixcloud. 2019年11月20日閲覧。

外部リンク[編集]