HYSTERIA
『HYSTERIA』 | ||||
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鬼束ちひろ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 2019年-2020年 | |||
ジャンル | J-POP、ロック | |||
レーベル | ビクターエンタテインメント | |||
プロデュース | 兼松衆 | |||
チャート最高順位 | ||||
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鬼束ちひろ アルバム 年表 | ||||
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『HYSTERIA』収録のシングル | ||||
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『HYSTERIA』(ヒステリア)は、日本のシンガーソングライター鬼束ちひろの8枚目のオリジナル・アルバム
解説
オリジナル・アルバムとしては、前作『シンドローム』より、約3年9ヶ月振りとなる。
本作は鬼束がデビューして間もない頃に録音された弾き語りのデモテープや、当時制作されていながらも、楽曲として成立させていなかった数多ある楽曲の中から、鬼束自身が選考した楽曲に新たな歌詞を付け加えた10曲が収録されており、従来は歌詞とメロディの制作は同時進行で行っていたが、本作では全く異なるアプローチで制作され、かつて昔の鬼束が制作したメロディに現在の鬼束が新たに歌詞を編んで乗せた形となった[5]。
通常盤、初回限定盤、プレミアム・コレクターズ・エディション盤、完全受注生産盤の4形態で発売され、ジャケットもそれぞれ異なるものとなっている。
初回限定盤には9月18日に実施された配信ライブ「鬼束ちひろ Streaming Concert『SUBURBIA』」の模様を"Streaming Version"として編集を施したDVDが付属し、プレミアム・コレクターズ・エディション盤はSHM-CD仕様となり、「SUBURBIA」の模様を"Director's Cut Version"として編集したBlu-rayと48ページのフォトブックを同梱。完全受注生産盤はプレミアム・コレクターズ・エディション盤の内容に加えて、鬼束がデザインしたオリジナルTシャツが付属される。
製作背景
前述にもある通り、本作は鬼束がデビューして間もない頃に書かれていた未発表曲を楽曲としてまとめあげたものとなっており、ディレクターにこれらの未発表曲のデモ音源を全て渡して、そこから厳選された楽曲に対し、現在の鬼束が歌詞を乗せて完成させたのが本作になると言う[6]。
鬼束は本作に関しては、以前から「昔に書いた曲を楽曲として作ってみないか?」と言うアイディア自体は存在していたそうであり、「私自身はどうしても嫌だったんですよ。『月光』を発表した頃に書いた曲ばかりだったので、今の私と比べて詞も若かった上にあまりにもメッセージ性が強すぎてたから。やろうと言うことにしたのは、信頼しているディレクターの方の熱意でしたね。ビリー・ジョエルの『Songs In The Attic』って言うのがあって、初期の隠れた名曲ばかりを披露したライヴ盤があるんですけど、そのディレクターさんから、「それみたいな感じでやってみない?」って言われて、それなら、歌詞を書き直すところから始めようかなって思って、既にあるメロディーに対して新しく作詞するってやり方は私にとっては初めての事で、普段は歌詞、メロディーは同時に作る事が多かったんですよ。かなり、大変で悪戦苦闘したんですけど、その分、楽しみながら、書けましたね。作詞に取り掛かるにあたって、まずは、アルバムのタイトルと全体を通してのイメージカラーを決めるところから、始めて、『ショッキング・ピンクのアルバムにしていこう』って所から始まったんです。私の中でショッキング・ピンクって、神経症ーヒステリアのイメージと繋がるところがあるなと思ってて、そのイメージを基礎の土台として、大体、1週間程度の日にちで、一気に書き上げたんです。あまり時間をかけてしまうとハマってしまう可能性があったから。当時学生時代から20代の頃に作った曲に40歳になる私が作詞家として歌詞を書くのはとても新鮮な気分になりましたし、何より、終わってみたら楽しかったなって思えたんですね。20年前のメロディーに今の自分の歌詞を当て込むのは、正直どうなんだろうって思うこともありましたが、最終的には同じ自分が作ったものだし、世界観に特に影響はないかなと今は思います。」と語っている[6]。
本作のサウンド・プロデュース及び編曲は兼松衆が一貫して担当しており、テレビドラマ、映画、アニメなどジャンルを問わず、劇伴を数多く手掛け、一方では、King & Princeや、手嶌葵、薬師丸ひろ子等、幅広く様々なアーティストへ楽曲提供、編曲も行っており、鬼束もその一人であった。最初に鬼束の楽曲を手掛けたのは、『End of the world』の編曲を担当したことから始まり、クラシカルなアレンジの中に洗練されたピアノの旋律や、ストリングスを主軸とし、それらが鬼束の歌声を際立たせるのと同時に彼女の新たな音楽面の開花にも一役かう形としてその手腕を発揮していたが、本作でもそれらが存分に生かされた構成となっているのだと言う[6]。
鬼束は兼松に関して、「『End of the world』のアレンジをお願いしてやってもらっていたので、どんな音を作り出すのかは、理解してましたし、ディレクターからも「今回も是非とも一緒にやって欲しい」って話もあったので、起用させていただく事となりました。兼松さんを始めとして、ミュージシャンの方がみんな若い世代なんです。2001年に発表した『インソムニア』を10代の頃に聴いていた世代でもあったんですよ。オケの録音の際、初めて拝見させていただいて、どうしても気になるところだけは意見を入れさせて頂いてたんですが、凄く良い演奏をしていましたね。かねてから、私はミュージシャンの方にとても恵まれていましたが、今回は特にその辺りに運命的なものを感じていましたね。ただ、今回の歌は、歌うのが難しくて大変だったなと思います。昔にメロディーを書いてから、月日を経てから歌詞を書いたからって言うのもありますが、こんなにも難しいメロディーを作ってたんだなって改めて思いましたね。まぁ、歌うときは頭で考えてるのではなく、本能と言うか、動物的になって歌っていますね。」と語っている[6]。
本作でサウンド・プロデュースを勤めた兼松は鬼束について「1stアルバムの『インソムニア』はもう何度も繰り返し聴いていたのを今でも覚えてますね。あの当時は13歳と多感だった頃でして。今となると、1曲目から順に聴き入ってると、当時通っていた山奥の学校に向かうバスから見えた風景が思い浮かんだりしますね。今回のアルバムのコンセプトの土台は実を言うと『インソムニア』が基盤となっているんです。」と語り、「鬼束さんのデビュー当時のデモテープを頂いて聴かせていただいたんですが、あの当時の鬼束さんと対面して、時空を越えた対峙を味わっているようなそんな感覚を味わえたんです。この感覚を受けてコンセプトは『インソムニア』のアコースティック志向で行こう、けど『インソムニア』の焼き増しや延長線上、とか、2000年代の懐かしみをただ単に感じるようなことにはしたくなかったので、2020年時点の今の自分が考え、感じるアコースティック、レンジの広い音楽路線にしようと意識しながら製作に携わらせて頂きました。」と語っており、そこから始まった『HYSTERIA』は、ダイナミックさを感じさせられる歌唱にピアノやストリングスが寄り添う『憂鬱な太陽 退屈な月』や、強い情感を感じさせるような『焼ける川』などの鬼束の真骨頂とも言える曲や『ネオンテトラの麻疹たち』のような兼松自身の挑戦が随所に盛り込まれた楽曲などの、様々な表情を持つ10曲が仕上がっていったのだと言う[6]。
楽曲解説
- 憂鬱な太陽 退屈な月
- 先行配信されたシングルであり、緊張感と解放感が交互にやって来るような構成と、メロディーを大事にしつつ、サビに向かうにつれて圧倒するようなカタルシスを醸し出すアレンジとなっているといい、本作に関しては充実さを象徴する1曲となっているのだと言う。鬼束はこの曲に関して「マイナー調なんだけど、凄くポップな曲。アレンジしてもらった音源を聴いた時に「汗ばむような空気を感じるな」と感じてそこから「8月頃の夏の恋の歌にまとめあげよう」と思って、制作しました。ほとんどこれは直感的と言うか肌で感じる感覚を頼りにした感じですね。昔からそう言う感覚で作詞してきましたが、今の方が磨きが掛かったように思いますね。」と語っている[6]。
- 兼松は本作のサウンド・プロデュースに関して、「この曲は物凄く音域が広い上に言葉数の多い曲に仕上がってて、アレンジはその歌唱に呼応して急き立てられていくように進んでいって、温度感で言うなら、徐々にヒートアップしていくような感じに仕上げられたと思います」と語っている[6]。
- 焼ける川
- 配信限定シングルとしてリリースされた楽曲。
- 兼松はこの曲に関して「この曲のデモテープを聴いたときは、「只者じゃない」と震えたことを覚えてますね。物凄い強度のあるメロディーと歌詞だったので、負けじと私もアレンジメントしていったところ、「まるで鬼束VS兼松みたいな感じになったね」って笑われましたね。」と語っている[6]。
- ネオンテトラの麻疹たち
- 鬼束曰く、「これは、以前、サンシャイン水族館で見たネオンテトラに抱いた印象が元になった曲なんですが、集団で泳ぎ回る姿がすごくきれいに写って「恋愛が伝染して行く様に似てるな」と感じて。街を見ると、恋人がたくさんいるのを見掛けたりするんですけど、それが恋がどんどん伝染していってるような感覚を覚えたんです。これは何気ない日常から派生した事が歌詞として形になったんだろうなと思いますね。」と語っている[6]。
- 兼松はこの曲に関して「この曲は隙間の多い曲。けれどストリングスについては1度R&Bテイストのサウンドをやってみたいなと思っていまして、この機会に売り込みを行ってみたところ、採用が決まって夢が1つ叶った曲ですね。ただやっていく内に演奏に熱が入っていって、最終的にはその隙間の多さがいつの間にかほぼ無くなっていましたね。」と語っている[6]。
- UNCRIMINAL
- この曲も何気ない日常から派生した事柄が歌詞として形になった曲であると言い、鬼束曰く、『ホログラムの誘惑』というサブ・タイトルがついているとの事であり、元からホログラムネイルの材質を好んでおり、それに対する印象やイメージを表したものとなっているのだと言う[6]。
- Dawn of my faith
- 神聖かつ凛とした強さと響きをあわせ持ったメロディーとピアノが主軸として織り成したバラードであり、この曲は鬼束のファンとのSNS上でのやりとりや、交流の影響が出た曲であると言い、それらが歌詞にも色濃く現れているのだと言う。鬼束はこの曲に関して「私のファンの方は、普段は自分に自信が持てなくて、かつ謙虚な方が多いんですけど、「何があっても、私の事はずっと応援させて欲しい」と言う方が多いんですよね。特にこれと言って意識してると言うわけではないのですが、心のどこかでファンの方達の事を想い考えて書いた歌詞に形作られていったのかも知れないところがありますね。」と語っている[6]。
- Boys Don't Cry
- アルバムの最後に収録されている曲で、この曲も、「Dawn of my faith」同様、ファンに向けての想いを綴った曲であるとの事であり、「これは、最近の所、良い意味での繊細を持った男の子の印象をよく感じることが多くて、群れているんじゃなく、独りで涙を堪えながら生きてるところがあると言うか、そう言う人達に向けて歌っている感じがある曲ですね。歌を通してリスナーに対して手を差し伸べる、もしくはしたいと言う気持ちがあるか?と聞かれたんですが、何かしたい、とか、こうあるべき、だとかのメッセージは全く持ってなくて、ただ『想ってるよ』って事が主ですね。その辺りは20年前と変わってはいない所ですね。」と語っている[6]。
収録曲
CD
- 憂鬱な太陽 退屈な月
- 4作目の配信限定シングル
- フェアリーテイル
- 焼ける川
- 5作目の配信限定シングル
- Dawn of my faith
- swallow the ocean
- 「蒼い春」
- ネオンテトラの麻疹たち
- UNCRIMINAL
- End of the world
- 2作目の配信限定シングル
- FODオリジナルドラマ「ポルノグラファー〜インディゴの気分」主題歌
- Boys Don't Cry
DVD (Streaming Version) (初回限定盤)
Blu-ray [SUBURBIA] (Director's Cut Version) (完全受注生産盤及び、完全限定生産盤)
- 月光
- 流星群
- Tiger in my Love
- BORDERLINE
- MAGICAL WORLD
- 悲しみの気球
- EVER AFTER
- 眩暈
- CROW
- 蛍
脚注
- ^ “ORICON NEWS HYSTERIA”. 2020年12月2日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Hot Albums HYSTERIA 2020年12月7日付け”. 2021年10月18日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Top Albums Sales HYSTERIA 2020年12月7日付け”. 2021年10月18日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Top Download Albums HYSTERIA 2020年12月7日付け”. 2021年10月18日閲覧。
- ^ “鬼束ちひろ、近年発掘された弾き語りデモなどをベースにした3年9カ月ぶりの新作アルバム発売”. 2020年10月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “鬼束ちひろが新作で邂逅した20年前の自分自身――過去の旋律と現在の言葉が織り成すショッキング・ピンクの音世界” (2020年11月25日). 2020年11月25日閲覧。
外部リンク
- VICTER ENTERTAINMENT 紹介ページ HYSTERIA (Tシャツ+プレミアム・コレクターズ・エディション:完全受注生産)
- VICTER ENTERTAINMENT 紹介ページ HYSTERIA (プレミアム・コレクターズ・エディション:完全生産限定盤)
- VICTER ENTERTAINMENT 紹介ページ HYSTERIA (初回限定盤)
- VICTER ENTERTAINMENT 紹介ページ HYSTERIA (通常盤)