AN/ALQ-99

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AN/ALQ-99を搭載して飛行するEA-6B。手前の機体は3基の送信装置を主翼及び機体の下部に搭載し、尾翼上に1基の受信装置を備えている

AN/ALQ-99は、EA-6BEA-18Gなどの軍用機に搭載して運用される電子妨害装置である。派生型のALQ-99Eは遠方及び飛行隊と同行しての電子妨害を行うためにEF-111Aに搭載された。TJS(Tactical Jamming System、戦術電波妨害装置)の通称でも呼ばれる。

概要[編集]

ALQ-99はEDO社によって設計された航空機用の戦術妨害装置である。ジャミングトランスミッタと励磁装置は主翼下のポッドに、受信機器とアンテナは垂直尾翼上のポッドにそれぞれ配置されている。受信した周波数に対して自動的に分析し、妨害を行うことが可能である[1]。また、受信機を用いてそれらの信号をELINTの為に検出、識別や方向探知することも可能である[2]

妨害モードとして単一電波源へのスポットジャミング、2つの電波源に対するデュアルスポットジャミング、全方位へのノイズジャミングの3モードを有する。ALQ-99Fではこれに加えレーダーに対するデセプション・ジャミング、通信に対するノイズ・ジャミングが可能。運用では自動、半自動、手動の3種があり、通常は手動モードで妨害を行う。

搭載機[編集]

手前のEF-111Aの垂直尾翼に固定式の受信ポッド、機体下部に送信ポッドが組み込まれている。取り外しが可能なEA-6Bの送信ポッドと異なり、EF-111Aの送信ポッドは機体下部に組み込まれるものであった

ALQ-99はアメリカ海軍EA-18G、海軍及びアメリカ海兵隊EA-6Bに搭載されている。アメリカ空軍EF-111Aに搭載されていたが、1998年5月に退役した。

バージョン[編集]

AN/ALQ-99
標準型。
AN/ALQ-99A
ジャミングに対応した周波数のバンドを4つから8つに増やしたタイプ。EA-6 EXCAPで導入。
AN/ALQ-99B
信頼性の向上を図ったマイナーチェンジ型。
AN/ALQ-99C
信頼性の向上を図ったマイナーチェンジ型。
AN/ALQ-99D
デジタル化したタイプでより広い周波数をカバー可能となった。EA-6B ICAP Iで導入。
AN/ALQ-99E
EF-111Aに搭載されたもの。AN/ALQ-99と70%の共通性を持つ。自動化を進め1人での運用を可能とした。
AN/ALQ-99F
周波数のバンドを9つに増やしたタイプ。ユニバーサル・エキサイターの採用により1つのポッドで2つの周波数帯へ同時に妨害をかけられるようになった。EA-6B ICAP II、EA-18Gで導入。

出力[編集]

旧式のAN/ALQ-99は10.8kWの、新型は6.8kWの最大出力を有する[3]。電力はラムエア・タービンにより供給される。

運用[編集]

EF-111Aの改修時に組み込み作業中のAN/ALQ-99受信ポッド

AN/ALQ-99は、1970年代ベトナム戦争からリビア爆撃湾岸戦争ノーザン・ウォッチ作戦サザン・ウォッチ作戦アライド・フォース作戦イラク戦争2011年に入ってのオデッセイの夜明け作戦など様々な軍事行動において使用された。

だが信頼性が低く、機上試験においても頻繁にエラーを出し、これは実戦においても作戦失敗という形で反映された。EA-18Gでは機体のAESAレーダーに干渉して最高速度を下げることになり、乗員2名で扱うには大きな負担を課するシステムであった[4]

現在後継として次世代ジャマー(en)が開発されている。

関連項目[編集]

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 世界軍用機年鑑1990~91
  • 軍事研究 1999年8月号、2013年8月号
  • アメリカ空軍の第一線機
  • ザ・マーチ 17号

外部リンク[編集]