駐車監視員

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駐車監視員
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 交通
試験形式 筆記試験
認定団体 都道府県公安委員会
後援 警察庁警備会社
認定開始年月日 2006年6月1日
等級・称号 駐車監視員
根拠法令 道路交通法
特記事項 有資格者が業務に従事している場合は「みなし公務員」として扱われる
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放置車両の確認を行う駐車監視員。
確認標章の取付けを行った様子
(2006/9/30都内にて撮影)

駐車監視員(ちゅうしゃかんしいん)とは、放置車両確認事務の業務を委託された、民間法人の従業員を言う。警察署長から放置車両確認事務を受託した法人を「放置車両確認機関」と言い、放置車両確認機関に従事する役員・駐車監視員は「みなし公務員」(公務員ではないが、業務を行っている最中は公務員とみなす)として扱われ守秘義務が課され、また車両所有者・運転者の反抗から保護される権利を持つ。具体的には、駐車監視員へ暴行脅迫をはかった場合、公務執行妨害罪が成立し、金品の授受により贈収賄罪が成立する[1]

駐車監視員となるには、講習を受講し修了考査を受ける駐車監視員資格者講習による方法と、一定の経歴に基づいて認定考査を受ける駐車監視員資格同等認定審査とがある。共に考査に合格した後に審査を経て資格者証を得る必要がある。

概要[編集]

日本では2006年6月道路交通法の改正によって、違法駐車対策の強化のため、放置違反金制度の新設、放置車両確認事務等の違法駐車対策の推進を図るための規定が整備された。その一環として、放置車両確認事務の業務が民間法人に開放され、警察署長が公安委員会に法人登録した法人に業務委託が可能になった。各都道府県の警察本部警視庁を含む)の実施する駐車監視員資格者講習の修了者、又は交通取締事務経験者で、修了考査又は認定考査に合格した者のうち、駐車監視員資格者認定要件を満たし、都道府県公安委員会が道路交通法51条の13で定めた資格要件を満たした者に交付される「駐車監視員資格者証」を保有し、放置車両確認機関(放置車両確認事務受託法人)に従事し、放置車両確認事務を遂行する者を駐車監視員と言う。駐車監視員は駐車違反の「取締り」は行わず、放置車両の確認及び確認標章の取付けを行い、警察署長に放置車両の状況を報告するにとどまる。

違反者に対しての交通反則切符の作成・交付等は、従来と同じく警察官が行う。

駐車監視員の制服は、警察庁が全国統一しており、ペパーミントグリーン地にモスグリーンの肩章を入れたブルゾン又はワイシャツ型上着に、モスグリーンのスラックスを用い、駐車監視員用記章付帽子と記章付腕章が警視庁警察本部から貸与されている。

駐車監視員資格者講習[編集]

資格者講習を受講し修了考査に合格し、修了証を得て資格者証を申請する手順。申請した後にさらに審査があるが基準は非公開。

各都道府県によって差があるが、考査受検費用を含めた受講費用は概ね19000円。この他に資格者証交付にも費用として概ね9000円が必要。各都道府県の証紙にて納付する。

受講資格[編集]

  • 受講は18歳以上の者に限定されている。
  • 実務経験や学歴・職歴は問われない。

講習[編集]

  • 各都道府県によって時期は違うが、年度ごとに1回以上実施される。
  • テキストによる講義2日(14時間)と修了考査(講習終了後約1週間後)1時間の計3日(15時間)で行われる。
  • テキストは、東京法令出版発行の「駐車監視員資格者必携」(駐車対策研究会著)を用いて行われる。この他、視聴覚教材(プレゼンテーションソフト等)を用いて行われる。
  • テキスト概要(内容は2006年現在)
    1. 駐車対策に取り組む交通警察
    2. 違法駐車取締りのための仕組み
    3. 放置車両の確認事務に必要な基礎知識(1)
    4. 放置車両の確認事務に必要な基礎知識(2)
    5. 放置車両の確認・標章取付けの実施要領
    6. 駐車監視員の責任
    7. 資料編
  • 修了考査に合格しなかった場合、講習を再度受講しないと考査を受検できない。

駐車監視員資格同等認定審査[編集]

駐車監視員資格者講習修了者と同等以上の技能や知識を有する者を対象に行われる。講習等は必要ないが、経歴による受検資格を満たす必要がある。合格した後に資格者証を申請するのは資格者講習と同じ。

各都道府県によって差があるが、考査受検費用は概ね4500円。この他に資格者証交付にも費用として概ね9000円が必要。各都道府県の証紙にて納入する。

受検資格[編集]

  1. 道路交通関係法令の規定の違反の取締りに関する事務に従事した期間が通算して3年以上である者
  2. 確認事務における管理的又は監督的地位にあった期間が通算して5年以上である者
  3. 前1及び2に掲げる者と同等以上の経歴を有する者
放置駐車確認標章

業務内容[編集]

  1. 駐車監視員は2人以上が1組で、警察署長が公示する取り締まりガイドライン(取り締まり活動方針、重点路線、重点地域・重点時間帯等)に沿って監視活動を行う。
  2. 従来のような、時間的余裕は置かずに確認作業を行い、放置駐車違反と現認すれば直ちに車番撮影・確認標章の取付を行う。対象車両は放置駐車のみであるので車両に人が乗っていれば確認標章の取り付けは出来ないため、先ず車内に人の存在の有無の確認作業から行う。
  3. 駐車監視員は、みなし公務員として扱われる。従って放置車両の確認事務に因縁をつけるなど実力で妨害をした場合には、公務執行妨害罪等で罰せられる。
  4. 駐車監視員は、違反切符を切ったりすることはない。また、駐車監視員はいきなり確認標章を取り付けることもない。駐車車両の違反態様(法定又は指定駐車違反)を判断し、駐車規制適用除外車両でないことを確認し、当該車両の具体的違反状況をメジャー等で測定、記録し、違反車両の状況及びナンバープレート等を撮影し、確認標章を取り付ける。
  5. 駐車監視員は、放置車両の確認事務を専門に行う民間法人の社員。原則、駐車監視員には違反確認台数のノルマはない。だが、各自治体が違反金で得た収益で契約をしているため、事実上のノルマが存在する。
  6. 定められた時間内はほぼ毎日(20日/月以上、都道府県により差は有る)巡回を行う。夜間も同様。
  7. 駐車監視員は「みなし公務員」として扱われるため業務を請け負う会社に社員として所属する必要があり、個人的なバイトとしての就業は困難である。また70歳以上の者は資格者としては認められるが駐車監視員としての業務には就けない。

放置駐車違反の措置[編集]

  1. 放置駐車違反を行った運転者等が不明で責任の追及が出来ない場合には、車の使用者(車検証の使用者欄に記載されている者)に責任追及され、放置違反金納付命令がなされる。
  2. この場合、放置違反金を納付せず、督促されてなお納付がない場合には、税金と同様に財産の差し押さえを受ける。
  3. 放置違反金の滞納がある場合には、車の車検が受けられなくなる。
  4. さらに放置違反金の支払が常習化すると、車両の使用制限命令(一定期間車両を使用できない)を受ける。
  5. 当該車両の運転者が、確認標章に基づき反則金を納付する場合は、従来通りの手続きとなる。

問題点[編集]

修了考査も含めわずか3日間の講習により資格が取得できるため、駐車監視員の知識不足、モラル低下による問題が各地で発生している。実質的なノルマの達成のために、訪問介護に携わる車両に於いてまで放置駐車確認標章の貼り付けを行うなど、常軌を逸していると考えられる行動も指摘されている[2]

出典[編集]

  1. ^ 道路交通法(昭和35年法律第105号 最終改正: 平成21年法律第79号)第51条の12 7項
  2. ^ 2008年1月28日付 朝日新聞

関連項目[編集]