百鬼夜行抄

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百鬼夜行抄』(ひゃっきやこうしょう)は「ネムキ」(朝日ソノラマ)で連載中の今市子漫画、及びそれを原作としたテレビドラマ

1995年、「ネムキ vol.23」(朝日ソノラマ)にて連載開始。2007年現在、単行本17巻、文庫版10巻が刊行されている。また、2005年「平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭」漫画部門審査委員会推薦作品に選ばれ、2006年「平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭」漫画部門優秀賞を受賞した。

目次

[編集] 概要

  • 基本的には1話完結のストーリー。
  • ジャンルはホラーだが、伏線が張ってあることが多くミステリー的な要素も含まれている。
  • もともとは『精進おとしの客』という読み切りで発表された作品で、それ以前にも一度、設定などが多少違うものの同人誌に、『守護神』という読み切りで描かれている。

[編集] あらすじ

不可思議な力を持っていた幻想作家・飯嶋伶。その孫である飯嶋律と従姉の飯嶋司広瀬晶は祖父からの遺伝で魑魅魍魎と触れ合う能力を持つ。そして有る出来事から命を落とした律の父・孝弘の体を借りた妖魔青嵐、庭の桜の木に住む酒好きな使い魔尾黒・尾白と生活していく中で、常人の目に映らぬ世界に住む妖怪や妖魔らと関わる様子を幻想的なタッチで描いている。

一般的な妖怪物・霊能物のセオリーとも言うべき勧善懲悪的な退治や除霊というよりも、普通の生活には存在しない幻想的な世界や物語を描く事をメインに置いた作品である。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


[編集] 登場人物

[編集] 飯嶋家(本家)

飯嶋 律 (いいじま りつ)
本作の主人公。伶の孫。幼い頃から祖父譲りの強い霊感を持ち、祖父である伶の命で小学校に上がるまでは、魔をよけるために女の子の格好をしていた。連載当初は16歳の高校生だったが、作品内時間の経過によって現在は従姉の晶と同じ恵明大学に通う大学生であり、民俗学を専攻している。その霊感故に日常的に妖魔や霊、妖怪の類と関わり意思疎通が出来るが、それらを退治したり操る術を持たず、彼らに振り回される日々を送っている。また幼少時は奇妙な力を持つ為に人から避けられていた経験があり、そのためか現在でも物腰は柔らかいが安易に人に心を開かない部分があり、友人も少ない。実は怖がりで人間の霊や自然霊は苦手。従姉の司には親愛の情とも恋愛感情とも取れる複雑な思いを抱いている。
飯嶋 伶/飯嶋 蝸牛 (いいじま りょう/いいじま かぎゅう)
律の祖父。怪奇幻想を題材にする小説家で、ペンネームは蝸牛。律が5歳の時(6歳の時という記述もあり)に老衰で亡くなった。両親が早くに他界し叔父夫婦に引き取られたが、叔父夫婦とその息子(伶から見て従兄)も共に伶が若い頃に亡くなるなど、不幸な生い立ちを持つ。水脈(みを)という姉が一人いる。幼い頃から強い霊感を持ち、周囲に厄災を齎しかねないその力をコントロールするために独学で法術などの修練を積み、青嵐などの妖魔を使役したり妖魔達の集会に参加するなど妖魔らと多くの交流を持っていた。しかし、彼の思いも空しく周囲の人が犠牲になる事が避けられない事もあり、それが孫の律の代にまで因縁として引き継がれている。
なお、ペンネームの「蝸牛」は、幸田露伴の自宅の名称「蝸牛庵」に由来している。また、この「蝸牛庵」は飯嶋家の外観のモデルともなっている。
飯嶋 八重子 (いいじま やえこ)
伶の妻で律、司、晶、潮たちの祖母。伶とは反対に霊感は全くない。かつては地元の旧家・清水家の住み込み女中で、その頃に伶と出会った。スピード狂で車の運転が荒い。
飯嶋 孝弘 (いいじま たかひろ)
律の父親で、婿養子として飯嶋家に入った。旧姓は三上。律が4歳の時(5歳という記述もあり)、心筋梗塞で倒れ死亡。だが実際は伶が行った術の失敗により式神に殺されていた。伶の命令により青嵐が体に入ったため、表向きは生き返ったということになり現在に至っている。
飯嶋 絹 (いいじま きぬ)
律の母親で飯嶋家の三女。母の八重子と共に自宅で茶道教室や着付け教室を開いて生計を立てており、そのためか殆ど着物を着て過ごしている。律や司ほどでは無いが父親である伶譲りの霊感を多少持ち合わせており、妖魔は見えないが非常に勘が鋭く彼女が鍵となって物語が進む事もある。本人はそうした出来事に無自覚な様だが、一方で本当は気付かない振りをしているのかもしれないと思わせる描写もされている。かつて律の出産の際に流産の危機に晒された事がある。

[編集] 従兄弟

飯嶋 司 (いいじま つかさ)
律の従姉で、律にとって姉のような存在。律より3歳年上で現在大学生。酒豪。7歳の時妖魔に取り付かれ、19歳まで12年間に亘ってその弊害に苦しめられていた。妖魔を見る力はあるものの、律ほど明確ではなくあまり自覚していないことも多いが、律と違って霊に憑依されやすい(憑依体質)という特質を持つ。尾白と尾黒からは「姫」と慕われ、しばしば酒の相手になっている。律の母親と祖母は律の嫁にと考えているが、司の父親の覚(律にとっての叔父)は反対している。本人も特に気兼ねする事も無く大学の学生と交際しており、恋愛感情は抱いていない様だ。美人の分類に入る容貌で、色恋沙汰の類に巻き込まれる事も。
広瀬 晶 (ひろせ あきら)
律の従姉で律よりも7歳年上。初登場時は25歳。律と同じ恵明大学の大学院生として民俗学を専攻している。律と司の二人に比べれば社交的な性格で交友関係も広い。飯島家の血筋のためかやはり霊感が強く、他大学の民俗学徒から「恵明大のシャーマン女」と仇名されている。またかつて交際した相手が次々不審死を遂げたことから「男殺し」とも仇名されていた。円照寺の寺男をしていた石田三郎と交際するが、石田三郎が別れを告げずにどこかへいってしまい、今でも石田三郎の事が忘れられずにいる。
広瀬 潮 (ひろせ うしお)
律の従兄で、晶の弟。初登場時は工学部に所属する大学生だったが、現在は生命保険会社に就職している。姉同様、一定の霊感はあるようだが、晶曰く「霊感なんて毛ほどもない」らしくデリカシーに欠ける発言をする事もしばしば。

[編集] 伯父母

飯嶋 覚 (いいじま さとる)
飯嶋伶の長男で司の父親。伶と折り合いが悪かったため、早くに家を出ている。良くも悪くも常識的な一般人としての価値観を有しており、自らの持つ霊感で見える物を意図的に避けようとする。またそうした理由から実家を「バケモノ屋敷」と毛嫌いし、娘がバケモノ屋敷に嫁ぐ事を恐れて司と律との交際を後押ししようとする母と妹に反対している。
広瀬 斐 (ひろせ あや)
飯嶋伶の長女で晶と潮の母親。
飯嶋 洸 (いいじま こう)
飯嶋伶の次男。
飯嶋 環 (いいじま たまき)
飯嶋伶の次女。長男の覚同様、父親との折り合いが悪く、また父譲りの霊感で見える物を信じようとしない。父と対立して失踪した開に強いシンパシーを感じており、社会復帰のため面倒をみている。現在独身。
飯嶋 開 (いいじま かい)
飯嶋伶の三男で現在46歳。伶の子供達の中では一番異界の出来事に興味を示し、その力を操る事を目標としていた。20歳の頃、霊感の使い道について伶と対立し、勘当されて家を出る。その後、旅行先で失踪し26年間行方不明となっていたが、実はある出来事に介入した事から山の神に捕われ、長らく異界にいた事が判明する。律の手助けで脱出に成功した後は、伶に勘当された経緯から実家に同居する誘いを断って、環のマンションに居候して不動産屋で働いている。律同様、高い霊感を持ち、更に律とは違い式神を操ることが出来る。霊感を高めるという点に関しては野心高く、必要に応じては律の相談相手になりつつも、必ず味方になってくれる訳ではなく、利用しようとする事もある。
飯嶋 浄 (いいじま きよし)
飯嶋伶の四男。4歳の時(5歳という記述もあり)、川で溺れて死亡した。

[編集] その他の人間

円照寺の住職 (えんしょうじのじゅうしょく)
とある出来事を切っ掛けに律と知り合った寺の住職。心霊治療を行っている。インチキ臭い風貌を持つ坊主ではあるものの、ある程度の術法の心得は持っている。しかし間の抜けた所があり、失敗したり詰めが甘かったりする事もある。

[編集] 妖魔・人間以外の者

青嵐 (あおあらし)
律の父親、孝弘の体に住みついている龍の姿をした式神。元々は塚の主の腕から生まれた妖怪で、伶から姿と名を貰い、使い魔として仕えていた。現在は伶の命令により律を守護している。大食いで、妖怪に限らず人間の食べ物もよく食べる。だが人間の体で摂取する普通の食物では腹持ちが悪いらしく、機会があれば腹の膨れる同じ妖怪を喰らおうと画策している。契約で人は食べられないため、無為に人は襲わないが、一方で伶の命令(律を守る)以外で自主的に守ろうともしない。人間に化けるのは苦手。
尾白 (おじろ)・尾黒 (おぐろ)
とある出来事から律の家の桜の木に住みついた妖魔。2匹とも昼間は霊力が衰えるため、普通の鳥の姿をしているが夜になると山伏装束を着た鳥の姿(烏天狗のような姿)になる。人間に化けることも出来る(尾白は町娘、尾黒は和服の男性)が、江戸時代の服装であるため、律のお供には大抵尾黒が選ばれる。以前は律の家の向かいにある長谷川家の杉の木に尾白、秋山家の杉の木に尾黒がそれぞれ住んでいた。愛らしい姿をしているが価値観はやはり妖魔の物で、特別関係のない人間を殺す事に躊躇いは抱いていない。律を「若」、司を「姫」と呼んで慕っている。特に司がやって来ると大喜びで、酒や肴を振る舞い歓待する。デザインは作者が飼っている文鳥がモデルで、尾白のモデルは「福」、尾黒のモデルは「ナイゾウ」。
赤間/鬼灯 (あかま/きちょう)
「人間よりずっと長く生きている」妖怪。外見は赤い髪(或いは茶髪)をした青年の姿をしている。後頭部には髪に隠れていくつもの目玉がある。「赤間」というのは人間になりすました際に度々名乗っている名前で、「鬼灯」というのは伶が赤い髪をほおずきになぞらえて付けた名前であり、従って本名に相当する名は持たない。ある事が切っ掛けで伶に付きまとい、彼の周囲に居る人間に多くの厄災を与えている。だが当の本人は「友人と遊んでいる」つもりであったらしく、律から伶の死を聞かされた際には寂しさを表す様な言葉を述べていた。伶の法術によって長い間壺に封じられていたことがある。ペースが乱されるため、司が苦手。
尾崎母娘 (おざきおやこ)
律の母親、絹の茶道教室に通う化け狐。見た目は美人姉妹だが、実際は母娘。ストーリーの所々にしばしば登場する。
石田 三郎 (いしだ さぶろう)
人食い鬼の兄に殺された自身の家族を供養するために作った箱庭に取り込まれていた職人。実際に生きていたのは大分昔の事の筈なのだが、寿命がまだある内に箱庭に取り込まれたためか現代に存在している。青嵐に書かれた「石」の字が消えないため、バンダナを巻いている。現代に移住してからは円照寺の住職から「石田」との苗字を与えられて植木屋として働いている。晶と相思相愛の恋仲。
その後、箱庭が崩壊し始めた事から自らの存在も消失への道を歩み始めるが、木彫りの鶏に魂を移す事で鶏として飯嶋家の庭で暮らし始めた。晶はまだそれには気付いておらず、彼を探し続けている。
夜刀 (やと)
人間の精気を吸い取って生きる妖怪。普段は人間の姿をしているが、本来の姿は蛇のような姿。長い間一人で生きてきた寂しさから、自らの左腕を離脱させて話し相手にするが、左腕は何かと問題を起こし、それに律は巻き込まれてしまう。
アカ
尾白の馬。だが実際には猫である。時々、尾白を食べてしまう。

[編集] ドラマCD

[編集] キャスト

第1巻 「凍える影が夢見るもの」 (フロンティアワークス、2002年7月発売)
第2巻 「闇からの呼び声」 (フロンティアワークス、2003年4月発売)
第3巻 「不老の壺」 (フロンティアワークス、2003年8月発売)
第4巻 「返礼」 (フロンティアワークス、2006年6月発売)
第5巻 「夏の手鏡」 (フロンティアワークス、2006年7月発売)

[編集] 舞台

花組芝居により、2003年1月と2006年9月の2度舞台化されている。

[編集] スタッフ

[編集] キャスト(2003年)

内容は「花貝の使者」のストーリーに「闇からの呼び声」などを加えたもの

[編集] キャスト(2006年)

内容は「晴れ着」のストーリーに「神借り」などを加えたもの

[編集] テレビドラマ

毎週土曜日、日本テレビ黄金の舌枠(25時20分~25時50分)で放送された。全9回。DVDには放送された9話に未放送のDVDオリジナルの3話が追加されている。

[編集] キャスト

[編集] スタッフ

[編集] 音楽

[編集] 放送局

放送局 放送期間 放送曜日及び放送時間 備考
日本テレビ 2007年2月3日~3月31日 土曜 25時20分~25時50分 黄金の舌」枠内
静岡第一テレビ

[編集] 関連書籍

[編集] 画集

  • 夕景 今市子画集(1999年、朝日ソノラマ)
  • 画集〔百鬼夜行抄〕(2002年、朝日ソノラマ)
  • 百鬼夜行抄イラストコレクション(2004年、朝日ソノラマ)
  • 画集〔百鬼夜行抄〕・第二集 夜隠(2006年、朝日ソノラマ)

[編集] 特集号

  • ネムキ10月号増刊 今市子特集号(1999年、朝日ソノラマ)
  • ネムキ9月号増刊 百鬼夜行抄特集号(2006年、朝日ソノラマ)

[編集] 外部リンク

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