戸塚秀夫

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戸塚 秀夫(とつか ひでお、1930年 - 2017年[1])は、日本の労働問題研究者。東京大学社会科学研究所名誉教授経済学博士。専攻は社会政策、労働問題。

人物[編集]

1930年東京都生まれ。海軍軍人戸塚道太郎の三男[2]。1954年東京大学経済学部卒業。学生時代は日本共産党東大細胞のメンバーとして学生運動に参加した[3]。戸塚らが同じ国際派グループから「査問」を受けたのは日本の学生運動で最初の内ゲバだったとされる[4][5]

1959年東京大学大学院社会科学研究科博士課程修了[6]明治大学政経学部専任講師、東京大学社会科学研究所助教授、教授を経て、名誉教授。1990年から1995年埼玉大学経済学部教授。1995年6月に国際労働研究センターを設立し、共同代表となる。同センターは2007年9月に解散し、活動は非営利団体「Labor Now」と一橋大学大学院社会学研究科フェアレイバー研究教育センターに引き継がれた[7]

2007年5月に労働運動家樋口篤三などと「JR総連聞き取り研究会」(当初は松崎明を囲む「勉強会」)を組織した[8]

1960年代から70年代に戸塚を中心とするグループが日本の新左翼の労働運動を研究するために収集した資料は、東京大学経済学図書館・経済学部資料室が所蔵するコレクションになっている[9]。『労働運動の針路』(1982年)やブリティッシュ・レイランド労働争議を研究した『現代イギリスの労使関係』(1987年)など、イギリス労使関係研究で知られている[10]

著書[編集]

単著

  • 『イギリス工場法成立史論――社会政策論の歴史的再構成』 未來社、1966年
  • 『労働運動の針路――労使関係調査からのメッセイジ』 東京大学出版会、1982年
  • 『第二次世界大戦下の在日朝鮮人――一つの事例調査をとおして』 「朝鮮問題」懇話会、1982年
  • 『現代における労働組合の対案経済戦略の国際比較的実証研究』 東京大学、1987年
  • 『労働と生産の社会的意味転換――労働者ヘゲモニーの模索』 地方自治総合研究所、1988年
  • 『イギリスの工場調査の経験から』 早稲田大学人間科学部産業社会学研究室、2000年
  • 『試論動力車労働組合運動の軌跡について――「JR総連聞き取り研究会」中間報告』 国際労働総研、2009年

共著

編著

  • 『現代労働問題――労資関係の歴史的動態と構造』 徳永重良共編 有斐閣大学双書、1977年
  • 『労働者統制の思想――危機における労働者戦略』 亜紀書房、1977年
  • 『労使関係の転換と選択――日本の自動車産業』 兵藤釗共編 日本評論社、1991年
  • 『現代日本の労働問題――新しいパラダイムを求めて』 徳永重良共編著 ミネルヴァ書房、1993年、増補版2001年
  • 『地域社会と労働組合――「産業空洞化」と地域戦略の模索』 兵藤釗共編著 日本経済評論社、1995年

訳書

脚注[編集]

  1. ^ 戸塚 秀夫”. 東京大学 社会科学研究所. 2018年12月29日閲覧。
  2. ^ 戸塚秀夫「両親の面影」 (PDF)
  3. ^ 戸塚秀夫「倉塚平先生を偲ぶ1 倉塚平氏の思い出――明治大學政経学部での出会いなど」 (PDF)
  4. ^ 安東仁兵衛『戦後日本共産党私記』文春文庫、1995年、p.144-165
  5. ^ 荒岱介『新左翼とは何だったのか』幻冬舎新書、2008年、p.187
  6. ^ 戸塚秀夫・徳永重良共編著『現代日本の労働問題――新しいパラダイムを求めて』ミネルヴァ書房、増補版2001年、著者紹介
  7. ^ 国際労働研究センターの発展的解消について
  8. ^ 戸塚秀夫「証言・樋口篤三を体験して」「松崎明さんを想う」 (PDF)
  9. ^ 東京大学 経済学図書館・経済学部資料室 新左翼関係資料
  10. ^ 上田眞士 「5.【イギリス】「合意原則」(mutuality)とパートナーシップ─イギリス労使関係変化を見る眼─」『Int'lecowk-国際経済労働研究』 2011年1月号(通巻1006号)掲載

外部リンク[編集]