卑怯なコウモリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

卑怯なコウモリ」(ひきょうなコウモリ)は、イソップ寓話の一つ。「鳥と獣と蝙蝠」とも呼ばれる。

あらすじ[編集]

昔、鳥の一族と獣の一族がお互いに争っていた。その様子を見ていたコウモリは、鳥の一族が有利になると鳥たちの前に姿を現し、「私は鳥の仲間です。あなたたちと同じように翼を持っています」と言った。獣の一族が有利になると獣たちの前に姿を現し、「私は獣の仲間です。ネズミのような灰色の毛皮と牙があります」と言った。その後二つの一族間の争いは終わり、鳥も獣も和解した。しかし、幾度もの寝返りをしたコウモリはどちらの種族からも嫌われ、仲間はずれにされてしまい、やがて暗い洞窟の中へ身をひそめるようになった。

教訓[編集]

何度も人に背く者や二股膏薬は、やがて誰からも信用されなくなる。

蝙蝠と鼬[編集]

類似の話に「蝙蝠と鼬」がある。

中務哲郎訳「イソップ寓話集」(1999年、岩波書店)に収録されている「蝙蝠と鼬(コウモリとイタチ)」は、地面に落ちた蝙蝠がに捕まって命乞いをすると「すべて羽のあるものと戦争しているので逃がすわけにはいかない」と言われ、自分は鳥ではなく鼠(ねずみ)だと言って放免してもらう。 しばらくして別の鼬に捕まった時、今度の鼬は鼠はみな仇敵だと言うので、自分は鼠ではなく蝙蝠だと言ってまたも逃がしてもらう。

というもので、「状況に合わせて豹変する人は、しばしば絶体絶命の危機をも逃げおおす、ということを弁えて、いつまでも同じところに留まっていてはならない」という教訓になっている。

類似話[編集]

オーストラリアには良く似たストーリーの「太陽の消えたとき」というおとぎ話が伝わっている[1]

この話では、カンガルーを大将とする動物たちと、エミューを大将とする鳥たちが大戦争を繰り広げる。動物からも鳥からも仲間扱いされていなかったコウモリは、どちらかの勝利に貢献すれば仲間にしてもらえると考えた。最初は鳥が優勢だったので、コウモリは得意のブーメランを武器にして鳥の味方をした。だがしばらくすると動物が盛り返したので、コウモリは動物側に寝返る。やがてカンガルーとエミューの一騎打ちになるが、お互いに争いが馬鹿らしくなっており、仲直りしようということになる。コウモリは勝ち負けがなくなったことにがっかりして洞窟に帰っていった。

しかし平和は戻ったが、今度は太陽が昇らなくなるという大事件が起こった。太陽は争いを繰り広げる鳥と動物に呆れ果てて、空に顔を出すのをやめてしまったのだ。動物と鳥たちは太陽が帰ってくるよう知恵を絞ったが、誰一人としてその方法が思いつかなかった。だがしばらくしてトカゲが、コウモリに頼めば何とかしてくれるのではないかと提案する。カンガルーとエミューからの懇願を受けたコウモリが、地平線に向かって3度ブーメランを投げると、太陽は再び顔を出した。それ以来動物と鳥は恩を忘れず、朝日の出る頃にコウモリを見かけても、いじめたりしないようになったというものである。

脚注[編集]

  1. ^ 『マウイの五つの大てがら』光吉夏弥訳、ほるぷ出版、1979年、7-16頁 (Murtagh Murphy,Asia Pacific Stories,Hong Kong,1974 からの翻訳)

関連項目[編集]