出生前診断

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出生前診断(しゅっせいぜんしんだん、しゅっしょうまえしんだん)とは、胎児の診断を目的として、妊娠中に実施する一群の検査のこと。

目的[編集]

ふつう医療行為は診断(評価、assessment)と治療(介入、plan)から成り、この二者が反復される。胎児を対象とした医療にも出生前診断(胎児診断)と胎児治療の2つがある。

出生前診断の目的はいくつかある。第1に妊娠の有無の診断、すなわち胎児が存在しているか、生存しているかの判断である。第2に胎児の位置(胎位)や向き(胎向)、あるいは胎児環境が危険なものでないか(たとえば前置胎盤や常位胎盤早期剥離など)の評価である。これらは安全な妊娠分娩を迎えるために重要な診断となる。

第3に、胎児の状態の評価である。この評価を狭義の出生前診断とすることもある。

第4に、その時点における胎児の状態評価、すなわち元気でいるか、well-beingでいるかの判断で、特に分娩進行時の評価が重要となる。分娩時は刻一刻と状態は変化していくので、連続的な生体モニタリングが理想的である。

歴史[編集]

レントゲン撮影の実用化の直後から、妊婦の腹部を撮影して胎児の骨格を描出することは行われていた。1970年代に超音波断層法が医療現場に普及してからは、出生前診断において超音波検査がとても大きな役割を果たすようになった。胎児の形態と行動をリアルタイムに観察できるだけでなく、ドプラ法、Mモード法、カラーフローマッピング法といった技術の進歩によって、循環系、代謝系といった生体機能の評価も行われている。

検査方法[編集]

最も一般的なものはエコー(超音波検査)や胎児心音測定で、産科医にかかっていれば必ず受ける検査である。

胎児超音波検査[編集]

胎児超音波検査には、胎児の発育や胎盤、羊水量をみる一般検査、nuchal translucency(NT)などによりリスクを評価する検査、頭部や心などを調べる精密検査という3つのレベルがある。

たとえば妊娠12週で胎児の超音波像を描出するとする。通常の検査(一般検査)では心拍、胎動の有無や、胎齢確認のための頭臀長(CRL)を計測することが主な目的となる。もし胎児の腹部に臍帯ヘルニアを思わせる膨らみが観察されれば、生理的臍帯ヘルニアは妊娠10-11週くらいまでしか認められないという専門的な知識があって、初めてこの診断が可能になる。

同じ時期の同じ超音波断層法を用いても、どのレベルまで診断しようとするか、発生学、遺伝学、超音波医学にどこまで専門的な知識をもっているかによって、「診断」の意義は大きく変わってくる。目的と性格の違う3つの検査が混同され一連のものとして行われているところに、胎児超音波検査の問題があると考えられる。

超音波検査で胎児異常を診断する目的には以下の2つがある。一つには胎児に直接治療を行い、胎児を救命したり重篤な障害が残らないようにするためである。たとえば双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー手術(FLP)や無心体双胎に対する超音波ガイド下ラジオ波焼灼術などが上げられる。二つ目としては分娩の方法を決めたり、児の出生後に治療の準備をするための目的である。上であげた臍帯ヘルニアなど多くの胎児奇形が対象となる。

エコー(超音波検査)は、通常の妊婦検診で実施される。エコーで染色体異常の可能性が指摘された場合において、最終的に異常だった確率は実はわずか数%から30%程度とされている。

羊水検査[編集]

羊水検査を参照のこと。

絨毛採取[編集]

絨毛採取を参照こと。

母体血細胞フリー胎児遺伝子検査[編集]

新型出生前診断を参照のこと。


生命倫理[編集]

出生前診断は、優生学的な問題があることから生命倫理学的な問題がある。これは医学の発達とともに、検査の精度が高まり検査実施時期が早まったことで、出産前に胎児の異常を発見することが可能になった。それゆえに障害を持つ物言わぬ子どもの生きる権利が対峙している。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]