羊水検査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

羊水検査(ようすいけんさ)とは出生前診断の一種。妊娠子宮に長い注射針に似た針を刺して羊水を吸引すること(羊水穿刺)によって得られた羊水中の物質や羊水中の胎児細胞をもとに、染色体遺伝子異常の有無を調べる。一般に妊娠16週以降の時期に実施される。羊水検査で診断できるのは染色体や遺伝子など特定の異常に限られており、すべての異常が調べられるわけではない。

歴史[編集]

羊水を用いた出生前診断の記載は1930年代にさかのぼる.1950年代に入り,Rh不適合妊娠における羊水ビリルビン値による胎児溶血性貧血の診断ができるようになって広く普及した.その後羊水細胞の培養と染色体分析技術の進歩により,1960年代から羊水染色体検査が行われるようになった.また1968年には培養羊水細胞をもちいた先天性酵素欠損症の出生前診断がはじめて報告されている.近年の超音波診断装置の改良と染色体・遺伝子解析技術の進歩により,多くの胎児情報を提供する安全で精度の高い技術として定着している.

方法[編集]

通常の羊水穿刺では超音波ガイド下に,一般にはガイドを使用せずフリーハンドで行われることが多い.穿刺を行うときは子宮壁すなわち卵膜に対してなるべく垂直に穿刺し,注射器で羊水を20ml程度吸引採取する.母体細胞の混入を予防するために最初に吸引される1-2mlは破棄されることが多い.

合併症[編集]

一般には0.2-0.3%と説明されることが多い.しかし羊水検査をおこなう妊娠16週ころは自然に流産することもあり,またこの妊娠中期に自然流産する胎児はもともとなんらかの先天異常をもつ場合がおおくある.羊水穿刺による流産リスクの研究を検討すると,新しい報告になるほどその数字がさがってくる.もっとも最近の2006年の報告[1] では0.06%,2008年の別の報告[2] では0.13%とされている.いずれも正常対照群の流産率との差である.もちろんこのリスクは施設によって,あるいは術者の熟練度によってもかわるが,いずれにしても現在においては1000回に1回程度と考えるのが妥当であろう.

羊水穿刺後の妊婦が水様性帯下を訴えるときは羊水漏出,破水が疑われる.24時間以内の羊水漏出は1%程度に認められるといわれ,決してまれではない合併症である.ただし穿刺針のピンホールからの漏出であるため,通常の前期破水とはまったく異なって,いずれも入院により1週間以内に羊水漏出がとまるため一般的な予後は悪くない.

母体合併症はきわめてまれであるが,子宮内感染による播種性血管内凝固症候群や,腸管穿刺による汎発性腹膜炎の報告がある.

学会勧告[編集]

日本産科婦人科学会倫理委員会は、2007年4月改定版のガイドラインにおいても、引き続き [3]「重篤なX連鎖遺伝病のために検査が行われる場合を除き、胎児の性別を告げてはならない」と自主規制している。

脚注[編集]