使用貸借
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
使用貸借(しようたいしゃく)は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって成立する典型契約の一類型である(第593条)。 (なお、この項目で民法の条文を摘示するときは、条文の番号のみで行う)
目次 |
[編集] 総説
使用貸借契約の法的性質は要物・無償・片務契約に分類される(ただし、要物性を緩和した諾成的使用貸借もある)。借主と貸主に親族関係など、個人的な信頼関係が存在することが想定された類型である。
[編集] 使用貸借の効力
[編集] 借主の権利義務
[編集] 借主の権利
- 使用収益権
- 借主は借用物を無償で使用収益できる(第593条)。ただし、貸主との信頼関係が存在することが前提であるから、使用・収益の際には以下の義務を遵守する必要がある。
[編集] 借主の義務
- 借用物の使用収益上の義務
- 借主は契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従って使用及び収益をする義務を負う(第594条1項)。また、目的物を第三者に使用・収益させない義務を負う(ただし、貸主の承諾を得たときは例外的に許容される)(第594条2項)。借主がこれらの規定に違反して使用・収益をしたときは、貸主は契約の解除をすることができる(第594条3項)。
- 借用物の保管義務
- 借用物の返還義務
- 借主は契約に定めた時期(第597条1項)または借主が契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に返還する義務を負う(597条2項)。期間も目的も定めていない場合には、貸主が返還を請求したときに返還する義務を負う(597条3項)。なお、返還に際して借主は借用物を原状に回復して収去する義務を負う(第598条)。
[編集] 貸主の権利義務
[編集] 貸主の権利
- 目的物返還請求権(第597条)
- 解除権
- 借主の契約を逸脱した使用収益行為や無断転貸行為があった場合、貸主は契約を解除することができる(第594条3項)。
[編集] 貸主の義務
- 使用収益許容義務
- 担保責任(第596条)
[編集] 使用貸借の終了
[編集] 借用物の返還
以下の場合には使用貸借は終了するので、借主は借用物を貸主に返還しなければならない。
- 契約に定められた返還時期が到来した場合(第597条1項)
- 返還時期を定めなかった場合に、借主が契約に定めた目的に従って借用物の使用・収益が終わった場合(第597条2項本文)
- 返還時期を定めなかった場合に、借主が使用・収益をするのに足りる期間を経過したため、貸主が使用貸借契約を解約して返還を請求した場合(第597条2項但書)
- 当事者が返還時期や使用・収益の目的を定めなかった場合に、貸主が使用貸借契約を解約して返還を請求した場合(第597条3項)
- 借主が死亡した場合(第599条)
[編集] その他
契約が終了した後の清算関係について、借主は収去義務を負う(第598条)。また、契約の本旨に反する使用・収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない(第600条)。

