リントヴルム

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ドイツの自治体ヴルマンスクイックの紋章
シーサーペントが描かれたノルウェーの自治体Seljordの紋章

リントヴルムドイツ語: Lindwurm)は、主にドイツに伝わる伝説上の大蛇ないしドラゴンである。日本語ではリントブルムとも表記され得る。

ドイツの民俗学者ヴィル=エーリヒ・ポイカートドイツ語版によると、ドイツにおいて竜(ドイツ語でドラッヘ drache)は8世紀以前に伝わった外来の概念で、ゲルマン民族に元来知られていた地を這う怪蛇と、南方由来の空を飛ぶ竜とが同格視されるようになったのは15-16世紀頃のことである[1]

デンマークではリントヴルムに相当する語は「レンオアム」 (lindorm) である。レン(lind)はしなやかなという意味の形容詞からの派生で「蛇」を意味し、orm は英語の worm に相当する語でこれも「蛇」の意である。dragon に相当する drage (ドラーウェ)と違い、レンオアムはスカンディナヴィア元来の竜である。北欧では元々翼のある竜は知られておらず、シグルズの竜退治を示したルーン文字碑でも竜は巨大な蛇の姿で描かれている)[2]。当初のリントヴルムは空は飛べず、流星とは結びつけられなかった。稲光流星はリントヴルムが発したものなのではないかと言われるようになるのは、後年になってからである。

スカンディナヴィアでは海の怪物をリンノルム(ノルウェー語: linnorm)と呼ぶ場合が多い。スカンディナヴィアでは特に18世紀から19世紀にかけて遠洋漁業の漁師や水夫や乗客から大海蛇の目撃談が絶えなかった。

ドイツやイギリスのリントヴルムの描写は主には、のように尖っており、のように長い頭で鋭いを持つ。ただし、イギリスのリントヴルムは蝙蝠の翼を持たない姿も多く、そういった翼を持たない個体については、リンドドレイク(Linddrake)とも呼ばれる。

ワイバーンやアンフィスバエナと同様、中世以降の紋章に描かれており、紋章学においては雄々しさや容赦なさを表していたという。

なお、白のリントヴルムを見た者には幸運が訪れるともいう。

リントヴルムに関する伝説[編集]

クラーゲンフルト市のリントヴルム像(左)

オーストリアのリントヴルムはクラーゲンフルト市の伝承が有名である。紋章にもなった。

1200年代からの別のドイツの物語。クラーゲンフルトの近くに住んでいたリントヴルムが川に沿って旅行者を襲い続けた。そして、河の主であるドラゴンの存在は脅威であった。 そこで、懸賞目当てで何人かの青年が雄牛を鎖につなぎ、リントヴルムが雄牛を飲み込んだ時に魚のように釣って殺したという。

脚注[編集]

  1. ^ ヴィル-エーリヒ・ポイカート 『中世後期のドイツ民間信仰』 中山けい子訳、三元社、2014年、24-32頁。
  2. ^ 竹原威滋・丸山顯德編 『世界の龍の話』 三弥井書店、2002年、174-175頁(解説:宇川絵里)。

関連項目[編集]