ヤグルマソウ

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ヤグルマソウ
2007年6月 福島県会津地方
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ユキノシタ科 Saxifragaceae
: ヤグルマソウ属 Rodgersia
: ヤグルマソウ R. podophylla
学名
Rodgersia podophylla
A.Gray
和名
ヤグルマソウ(矢車草)
英名
Rodger's bronze leaf

ヤグルマソウ(矢車草、学名:Rodgersia podophylla)は、ユキノシタ科ヤグルマソウ属多年草

特徴[編集]

根出葉は5枚の小葉からなる掌状複葉で、葉柄は50cmに達する。小葉は倒卵形で先端が3-5浅裂する。花茎の高さは1mほどになり、短い葉柄をもった茎葉が数個互生する。

花期は6-7月で、先端に円錐状の花序をつける。花弁はなく、花弁にみえる裂片は長さ2-4mmで、ふつう5-7個あり、はじめ緑白色で、のちに白色に変わる。雄蕊は長さ3-4mmで8-15個あり、直立する。花柱は長さ1.5-2.5mmになり、2個あり、花時に直立する。果実は狭卵形の蒴果で、長さ5mmになる。

分布と生育環境[編集]

北海道西南部・本州・朝鮮半島に分布し、深山の谷沿いの林床など、湿り気のある場所に生育する。しばしば大きな群落をつくる。

栽培[編集]

園芸植物として栽培されていることがある[1]。1887年刊行の英語による園芸関連の文献にも言及が見られる[2]

名称[編集]

和名ヤグルマソウの由来は、小葉の構成が、端午の節句の鯉のぼりにそえる「矢車」に似ることによる。

日本では以下のような方言名が見られる。

朝鮮語(韓国語)名は도깨비부채(ラテン文字転写: do-kkae-bi-bu-chae)で[7]、文字通りには〈トッケビ扇〉を意味する。

英語では Rodger's bronze leaf と呼ぶ[2][7]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ なお余談となるが、この儀礼において新婦(嫁)はクジャクシダの細い枝の柔らかい部分を折って作った箸で物を食べさせられそうになり、そこからクジャクシダには「ヨメガハシ」の方言名がつけられた[5]
  2. ^ 現代ではキク科の草本 Syneilesis palmata の標準和名となっている[6]

出典[編集]

  1. ^ ブリッケル (2003).
  2. ^ a b Charmouth (1887).
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 八坂書房 (2001).
  4. ^ a b c 佐渡ドンデン高原・ドンデン山荘ホームページ〔ドンデンに咲く花〕2019年5月21日閲覧。
  5. ^ a b 工藤 (1973).
  6. ^ 米倉・梶田 (2003-).
  7. ^ a b Lee & Chang (2015).

参考文献[編集]

英語:

日本語:

  • 工藤, 茂美「出羽路の野草(第十四回)」『あきた』第133号、1973年6月1日、45頁。 
  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本II 離弁花類』、1982年、平凡社
  • クリストファー・ブリッケル 編集責任、横井政人 監訳『A-Z 園芸植物百科事典』誠文堂新光社、2003年。ISBN 4-416-40300-3
  • 八坂書房 編『日本植物方言集成』八坂書房、2001年、549頁。ISBN 4-89694-470-4 
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info (2019年5月21日).

朝鮮語(韓国語):

関連項目[編集]