マッターホルン・ゴッタルド鉄道Deh4/4 II形電車
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マッターホルン・ゴッタルド鉄道Deh4/4II形電車(マッターホルン・ゴッタルドてつどうDeh4/4IIがたでんしゃ)は、スイス南部の私鉄であるマッターホルン・ゴッタルド鉄道(Matterhorn-Gotthard-Bahn (MGB))の山岳鉄道用ラック式荷物電車である。
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[編集] 概要
ブリーク・フィスプ・ツェルマット鉄道BVZ(Brig-Visp-Zermatt-Bahn)と合併してMGBとなる以前のフルカ・オーバーアルプ鉄道(Furka-Oberalp-Bahn(FO))がローカル列車牽引用に1979年と1984年にそれぞれ4両と2両を製造したラック式の荷物電車で、車体、機械部分、台車の製造をSLM[1]、電機部分、主電動機の製造をBBC[2]が担当し、高圧タップ切換制御により1時間定格出力1032kW、牽引力247kNを発揮する強力機で、最大勾配179パーミルで114tの列車を牽引可能な性能を持つ。なお、それぞれの機番とSLM製番、機体名(主に沿線の街の名称、各機体にエンブレムが設置される)は下記のとおりである。
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1979年に製造されたグループ
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1984年に製造されたグループ
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- 機体名/エンブレム一覧
[編集] 仕様
アンデルマットの紋章が付く95号機の客車側車端部、こちら側のみ連結面に貫通幌が付く、台車枕バネは重ね板バネ式
[編集] 車体
- 車体は両運転台式で材質はDeh4/4Iのアルミから鋼に変更されているほか、車体長を短縮して軽量化を図っている。また、ベルナーオーバーラント鉄道[3]のABeh4/4II形電車と類似の角ばったスタイルとなっており、正面は貫通扉付の3面折妻、側面にはコルゲーション板が使用され、中央に荷物扉を配置し、一部に空気取入口のルーバーを設けている。
- 運転室はスイスやドイツで一般的な円形のハンドル式のマスターコントローラーが設置され、運転室横の窓は引違い式で反運転台側には電動式のバックミラーが設置されている。
- 正面は貫通扉付の3枚窓のスタイルで、貫通扉上部と下部左右の3箇所に丸型の前照灯が設置されており、下部左右のものは丸形灯の内側上部に尾灯を組込んでいる。なお、2007年より窓下部の丸型前照灯をスイス鉄道車両標準の小型の角型の前照灯と標識灯のユニットに交換している。連結器は車体取付で、プッシュプル式列車の先頭側はねじ式連結器で緩衝器(バッファ)が中央、フック・リングがその左右にあるタイプ、客車側は+GF+式連結器[4]自動連結器となっている。なお、同じく客車側の先頭側のみ貫通幌が取付けられている。また、台車先頭部のそれぞれに大型のスノープラウが設置されている。
- 車体塗装は赤をベースに車体裾部がダークグレーで、側面下部の両先頭部には客車のものと合わせた太さの白帯が入り、FO時代には中央部にコルゲーションに合わせた細帯が2本入る。また、側面片側には、FO時代にはコルゲーションに合わせてFOのロゴが入り、MGB時代にはMGBのロゴとシンボルマークが入る。運転台窓下部には機番の切抜文字が、後部には機体名のエンブレムが入り、屋根および屋根上機器、側面ルーバーが銀色、床下機器と台車はダークグレーである。
- 2007年以降に前照灯の改造を行った機体は側面下部両先頭部の白帯が無くなり、一部の機体は正面の渡り板が銀から赤に変更されている。
[編集] 走行機器
- 制御方式はDeh4/4Iのものを踏襲した高圧タップ切換制御としており、機器は小型化した新型を搭載している。主変圧器は床下に、ブレーキ用抵抗器と主開閉器、シングルアーム式のパンタグラフ2台が屋根上に、その他の主要機器が機器室内に設置されている。
- ブレーキ装置は主制御器による発電ブレーキのほか空気ブレーキ、手ブレーキ、非常停止用のバネブレーキのほか、客車などの列車用に真空ブレーキ装置を装備する。また、95、96号機はフルカベーストンネルの列車フェリー牽引機のGe4/4形電気機関車の予備機として使用できるよう、列車用の空気ブレーキを設置しており、93、94号機も1984年に追加改造した。
- 主電動機は1時間定格出力283kWのBBC製交流整流子電動機 を4台搭載し、牽引力247kNの性能を発揮する。冷却は冷却ファンによる強制通風式で、冷却風は車体側面の吸気口から吸入する。
- 台車はDeh4/4I形と互換性があり、HGm4/4形ディーゼル機関車とも同じ軸距2790mm、車輪径790mmのラック式台車で、軸箱支持方式は円筒案内式、牽引力伝達は台車枠の下を通る車体支持梁と台車枠横梁間のセンターピン間で伝達され、枕バネは重ね板バネ、軸バネはコイルバネとしている。ラック方式はラックレールが2条のアプト式[5]で、ピニオンは各動軸にフリーで嵌込まれており、動輪と同じ主電動機で駆動され、動輪のタイヤの1/2磨耗した時に動輪とピニオンの周速が一致するようにギヤ比が設定されている。主電動機はレール方向に台車枠に装荷され、そこからカルダン軸を経て2段で減速された後動輪とピニオンに伝達される直角カルダン駆動方式で、減速比は動輪が1:7.343、ピニオンが1:6.445である。
[編集] 主要諸元
- 軌間:1000mm
- 電気方式:AC11kV 16.7Hz 架空線式
- 最大寸法:全長16900mm、全幅2650mm、全高3800mm(パンタグラフ折畳時)
- 軸距:2790mm
- 動輪径:790mm
- ピニオン径:688mm
- 台車中心間距離:10000mm
- 自重:48.3t
- 荷重:2.0t
- 荷室面積:11.5m²
- 走行装置
- 主制御装置:高圧タップ切換制御
- 主電動機:交流整流子電動機×4台(1時間定格出力:283kW)
- 減速比:7.343(動輪)、6.445(ピニオン)
- 牽引力
- 牽引力:247kN(定格)
- 牽引トン数:134t(110パーミル・ラック区間)、114t(179パーミル・ラック区間)
- 最高速度
- 粘着区間:60km/h
- ラック区間:30km/h
- ブレーキ装置:発電ブレーキ、空気ブレーキ、手ブレーキ、真空ブレーキ(列車用)、列車用空気ブレーキ(93-96号機)
[編集] 運行
アンデルマット付近、区間列車を牽引するDeh4/4II形
ライン川源流のオーバーアルプパスヘーエ付近、Deh4/4II形が牽引する標準的な4両編成、制御客車付きの区間列車
- マッターホルン・ゴッタルド鉄道の旧フルカ・オーバーアルプ鉄道区間の本線、支線でローカル列車の牽引に使用されている。
- 本線は全長96.9km、最急勾配90パーミル(旧フルカ峠区間[6]は110パーミル)で、レーティッシュ鉄道のディセンティスとスイス国鉄、旧BVZのフィスプを結ぶ路線である。
- 支線は全長3.7km、最急勾配179パーミルで、本線のアンデルマットとスイス国鉄のゲシェネンを結ぶ路線である。
- 旅客列車では主にB 4713-4288形客車2両とABt 4155-4159形制御客車1両を牽引してプッシュプル式の列車で運用され、この編成にさらに客車を増結して使用されることもある。
- 貨物列車や混合列車、工事列車の牽引にも単機または重連で使用される。
- そのほか、新フルカトンネル以外の線区でも制御客車と自動車運搬車数両を連結した列車フェリーとして使用される。
[編集] 脚注
[編集] 参考文献
- Woifgang Finke, Hans Schweers 「Die Fahrzeuge der Furka-Oberalp-Bahn」 (SCHWEERS + WALL) ISBN 3-89494-111-1
- Hans-Bernhard Schönborn 「Schweizer Triebfahrzeuge」 (GeraMond) ISBN 3-7654-7176-3
[編集] 関連項目
- スイスの鉄道
- マッターホルン・ゴッタルド鉄道
- 新フルカトンネル
- マッターホルン・ゴッタルド鉄道の車両