フォアアールベルクSバーン

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フォアアールベルクSバーン
基本情報
 オーストリア/ドイツの旗 ドイツ/スイスの旗 スイス/リヒテンシュタインの旗 リヒテンシュタイン
所在地 フォアアールベルク州/バイエルン州/ザンクト・ガレン州
種類 通勤列車(Sバーン
所有者 オーストリア連邦鉄道
詳細情報
路線数 6
駅数 38駅
軌間 1,435 mm
電化方式 15 kV / 16.7 Hz(交流
架空電車線方式
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フォアアールベルクSバーン (Vorarlberg S-Bahn) はオーストリアフォアアールベルク州におけるSバーン(近郊鉄道交通システム)である。フォアアールベルク運輸連合 (Verkehrsverbund Vorarlberg, VVV) の一員であり、オーストリア連邦鉄道 (ÖBB) により運行されている。運行範囲はフォアアールベルク州に加え、ドイツバイエルン州リンダウスイスザンクト・ガレン州ザンクト・マルグレーテンおよびブクス、さらにリヒテンシュタインにまで広がる。

歴史[編集]

2005年12月にボンバルディア・トランスポーテーション製の車両「タレント」で運行が開始され、車体には「Sバーン」の表示がされた。しかしVVVの時刻表では「Sバーン」の列車種別で掲載されたものの、当初ÖBBの時刻表ではレギオナルツーク(中距離電車)と掲載されていたが、のちに「S1」および「S3」の表記に変更された。2020年12月以降はモンタフォン鉄道の「S4」系統も同様の表記となっている。

2018年に4024形電車がシティジェットのデザインに合わせて更新された。これにより新しい外装塗装、座席カバー、および運行情報モニターが装備された。

乗客数の増加に合わせるため、2019年中期から新型車両である「タレント3」がSバーン路線に投入される予定であった[1]。しかし運行承認のためのテストが遅れて[2]、その間に既存「タレント」の改造が必要となった。ボンバルディアが2020年11月に「タレント3」は1両だけが試運転可能で、形式承認のための時間が必要と報告したため、ÖBBは改めて車両購入契約の入札を実施することにした[3]。2021年8月にÖBBは「タレント3」の代わりに21両のシーメンス製「デジロML」を発注することを表明した[4]

2021年12月12日に「S5」系統が平日4往復限定で運行を開始した。同時にスイスのザンクト・ガレンSバーンの「S7」系統が週末にリンダウまで延長され、ザンクト・マルグレーテンとリンダウ間はフォアアールベルクSバーンの「S7」系統としても運行されるようになっている[5][6]

路線と運行形態[編集]

系統 運行経路 関連鉄道路線 運行社局 運行開始
S 1 リンダウ島 - ブレゲンツ - ドルンビルン - フェルトキルヒ - ブルーデンツ リンダウ - ブルーデンツ線 ÖBB 2011年12月11日
S 2 フェルトキルヒ - ティシス - シャーン=ファドゥーツ - ブクス フェルトキルヒ - ブクス線 ÖBB 2022年12月11日
S 3 ブレゲンツ - ルステナウ - ザンクト・マルグレーテン リンダウ - ブルーデンツ線、ザンクト・マルグレーテン - ラウテラッハ線 ÖBB 2011年12月11日
S 4 ブルーデンツ - ザンクト・アントン・イム・モンタフォン - ブルンネンフェルト=シュタレール - シュルンス モンタフォン線 ÖBB 2012年12月9日
R 5 ザンクト・マルグレーテン - ルステナウ - ラウテラッハ - ドルンビルン( - フェルトキルヒ) ザンクト・マルグレーテン - ラウテラッハ線、リンダウ - ブルーデンツ線 ÖBB 2021年12月12日
S 7 ヴァインフェルデン - ズルゲン - ロマンスホルン - ロールシャッハ( - ザンクト・マルグレーテン - ブレゲンツ - リンダウ=ロイティン) thurbo 2021年12月12日

S1:リンダウ - ブルーデンツ[編集]

この路線はフォアアールベルクSバーンの路線の中で最も混雑している。ブレゲンツとブルーデンツ間で、深夜0時まで30分間隔で運行されている。主要な停車駅はブルーデンツ、ブレゲンツ、ドルンビルン、フェルトキルヒである。同じ方面のレギオナルエクスプレス(REX:快速)、インターシティ(特急)、レイルジェットを合わせて、1時間当たり4本の列車がこの路線で両方向に運行されている。

S2:フェルトキルヒ - ブクス[編集]

リヒテンシュタインSバーンとして計画されていた路線であるが、リヒテンシュタイン市民の投票で出資が否決されたためフォアアールベルクSバーン「S2」系統に組み込まれた。SバーンとREXが運行している。一定間隔運行は実施されていない。

S3:ブレゲンツ - ザンクト・マルグレーテン[編集]

朝6時から深夜0時まで1時間間隔で、平日20時までは30分間隔で運行されている。主要な停車駅はルステナウである。終点のザンクト・マルグレーテンではザンクト・ガレンSバーンと接続している。

S4:シュルンス - ブルーデンツ[編集]

おおむね30分間隔、夜間は1時間間隔で運行されている。

R5:ザンクト・マルグレーテン - フェルトキルヒ[編集]

当初はルステナウ - ドルンビルン間(一部フェルトキルヒまで乗り入れ)の運行であったが、2022/23年のダイヤ改正に伴いザンクト・マルグレーテンまで延伸され、系統名も「S5」から「R5」に変更された。

S7:リンダウ - ヴァインフェルデン[編集]

この区間を運行するÖBB列車はREXとして時刻表に掲載されている。

運用車両[編集]

フォアアールベルクSバーンの4024形電車

ÖBBの4024形電車(第1世代「タレント」)が運用されている。2021年8月に4748形電車(「デジロML」)が登場した。S7系統ではシュタッドラー・レール製車両も運用に入っている。

脚注[編集]

  1. ^ Matthias Rauch (2017年9月30日). “Talent 3 startet in Bauphase: "Geburtsstunde" der neuen Zuggeneration für Vorarlberg.”. vol.at. Vorarlberg Online. 2018年11月18日閲覧。
  2. ^ Cech (2020年3月30日). “Talents face delays: Trains ordered from Bombardier missing in the operation”. Railcolor News. 2020年12月19日閲覧。
  3. ^ Michael Prock (2020年12月11日). “Den neuen Zügen droht das Abstellgleis” (ドイツ語). Vorarlberger Nachrichten: p. A5. https://www.vn.at/vorarlberg/2020/12/11/den-neuen-zuegen-droht-das-abstellgleis.vn 
  4. ^ “Ersatz für Talent 3: Neue Züge bei Siemens bestellt” (ドイツ語). ORF Vorarlberg. (2021年8月17日). https://vorarlberg.orf.at/stories/3117279/ 2021年8月17日閲覧。 
  5. ^ “Neue S-Bahn-Verbindungen mit S5 und S7” (ドイツ語). ORF Vorarlberg. (2021年12月6日). https://vorarlberg.orf.at/stories/3133338/ 2022年1月30日閲覧。 
  6. ^ Fahrplanbilder: 401 Bludenz - Feldkirch - Buchs/ St. Margrethen - Bregenz - Lindau” (ドイツ語). oebb.at. ÖBB-Konzern. 2022年2月6日閲覧。

外部リンク[編集]