チランジア

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チランジア属
Tillandsia.single.800pix.jpg
Tillandsia caput-medusae
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: パイナップル科 Bromeliaceae
: チランジア属 Tillandsia
学名
Tillandsia L.1753
タイプ種
Tillandsia utriculata L. [1]
英名
Tillandsia
Airplants
  • 本文参照

チランジアTillandsia)は、728種(変種、品種、自然交配種含む。2008年6月現在)[2]の属で、パイナップル科の常緑の多年生植物である。中央および南アメリカ、アメリカ合衆国の南部、ならびに、西インド諸島の、森林、山、砂漠に自生する。ほとんどが樹木岩石に着生する着生植物である。土や根を必要とせず、葉から雨や空気中の水分を吸収することから、「エアープランツ」(Airplants)とも呼ばれる。

おおむね、薄い葉を持つ種は雨の多い地域に、厚い葉を持つ種はより乾燥した地域に生息する。また、チランジアの多くの種は着生植物である。そして、これらの植生に合わせた発達をし特徴を有する。

分類[編集]

チランジア属は、カール・フォン・リンネによって、スエーデンの植物学者エリアス・ティルランツ(Elias Tillandz (1640–1693))にちなんで命名された。[3]

特徴[編集]

本属の多くの種は樹木の枝や岩石の上に着生し、生育するためのを必要としない。養分を吸収する事もできるが、専ら自らを固定するための機能を果たす。だだし、タチハナアナナスのように、地上性で、他の分類群に属する一般的な植物に近い性質を有し、艶のある長い葉を持ち、大きな花をつける種もある。

園芸的に、植生に合わせて発達したの外見により、おおむね銀葉種と緑葉種と呼ばれる分類がなされている。 銀葉種は、葉の表面は粉を吹いたような灰緑色をしている。これは、その表面に鱗片(りんぺん、トリコームとも)と呼ばれる中空の特殊な毛に覆われているためで、この毛の下に雨や霧の水分を保持し、葉の表面の吸水細胞で水を吸収する。乾燥地に最適化されたこの種は、合わせてCAM型光合成の性質も強く、葉も一般に厚い。 緑葉種は、全く鱗片を持たずに他のアナナス類のように株の中央に水を溜める。葉は薄く、斑点や帯状の模様を有するものも多く、葉の根元側を中心に葉の表面にワックスが見られるものがある。 これら両者の中間的な性質を持つ、葉の一部にのみ部分的に鱗片を持つ種類もある。

本属の多くの種は、茎がごく短縮されているため、外見からは根と葉しか存在しないように見え、葉は短縮された茎の先端の成長点から玉ねぎのように何層にも重なって生える構造を持つ。一部の茎の長い種は、長茎種と呼ばれる。 外見的に全く異なるのはサルオガセモドキで、一見すると樹木の枝から糸くずが垂れ下がったように見えるが、これは、細いひもの様な茎と細い葉を持つものが、その細長い茎と葉によって樹木の枝や電線などに引っかかることによって樹上生活に適応したものである。強風などによって茎の一部が千切れて飛ばされると、飛ばされた先で新たに樹木の枝などに引っかかって成長を始めることにより分布を拡大する。

は3弁である。花序を伸ばすものと伸ばさないものが存在する。開花時に葉や花序を赤く変色させる種が多くみられる。

子は、種子ならびにポップと呼ばれる子株によって増やす。 子株は、根元付近から直接、あるいは、根元付近からストロンを伸ばしその先で成長するが、一部では、根元付近ではなく花序から子株を成長させるものがある。


原産地と生息環境[編集]

原産地は、熱帯アメリカを中心とした高度0m~3,600m級の砂漠地帯から熱帯ジャングルまでの広大な地域にわたる。以下にその国と地域を挙げた。

アルゼンチンボリビアブラジル中央アメリカコロンビアコスタリカキューバドミニカエクアドルエルサルバドルフロリダガテマラガイアナヒスパニオラ島ホンジュラスジャマイカメキシコニカラグアパナマパラグアイペルースリナムトリニダードアメリカ合衆国ウルグアイベネズエラ西インド諸島

生息環境は、40度℃近くの直射日光が照りつける場所から森林地帯の様なほとんど日の当たらない場所まで多岐にわたるが、崖や丘、木の上などの風通しが良い場所であることが多い。また、本属が分布する乾燥地帯では、降雨が稀である代わりに夜になると多量の霧が発生する場合が多く、根からではなく体表の鱗片から水分を吸収する本属の生活様式と対応する。

主な種[編集]

  • アエラントス(T. aeranthos、有茎の代表種、クランプになりやすい)
  • アルビダ(T. albida、有茎の代表種、乾燥と強めの日射を好む。)
  • イオナンタ(T.ionantha 、小型のチランジア代表種、開花前後に葉先が赤色などに染まる)
  • ウスネオイデス/スパニッシュモス/サルオガセモドキT. usneoides、ひも状の茎に細長い葉が互生する。)
  • オアクサカーナ/ベリッキアーナ(T. oaxacana
  • カプト・メデューサ(T. caput-medusae、壺型の代表種)
  • ガルドネリー(T. gardneri、産毛のようなトリコームが特徴)
  • キセログラフィカ(T. xerographica、 チランジアの王様と呼ばれる強健な中~大型種。葉先がカールしたカボチャ風の草姿)
  • コットンキャンディ(レクルビフォリアとストリクタの交配種、綺麗なピンクの花が咲きやすく、交配種としては最も普及している)
  • コルビー(T.kolbii 、別名イオナンタ・スカポーサ)
  • ジュンセア(T.juncea、硬い葉が長く伸びる種)
  • ストリクタ(T.stricta、群生しやすい普及種、コットンキャンディーの片親)
  • ストレプトフィラ(T.streptophylla、拳大に育つ壺型種。乾燥気味に育てると見た目良くカールする葉が特徴。)
  • セレリアーナ( T.seleriana、大きくなると拳大になる壺型種)
  • キアネア(タチバナアナナス)T. cyanea 鉢植えで普及している)
  • テクトラム(T.tectorum 、乾燥を好む銀葉種。長いトリコームが目立つ。)
  • ナナ(T. nana、薄く柔らかい葉を持つ有茎種。)
  • ハリシー(T.harrisii、銀葉の代表種)
  • パウシフォリア(T.paucifolia、別名シルシナータ、壺型種で葉が決まった方向に反る)
  • フックシー(T.fuchsii、繊細な葉を持つ普及種、草体に対して花序がとても長くなるのが特徴)
  • ブッツィー(T.butzii 、水を好む壺型普及種。標高1000m以上に生息し、高温を嫌う。)
  • ブラキカウロス(T. brachycaulos、開花前後に葉が赤く紅葉するのが特徴)
  • フラベラータ(T. flabellata
  • ブルボーサ(T.bulbosa 水を好む壺型普及種)
  • フンキアナ(T. funckiana、茎が連なる長茎種)
  • ベルゲリー(T. bergerii、アエラントスに似るがやや小型の有茎種。耐寒性が強い。)
  • ベルティナ(T.velutina 、ブラキカウロスに良く似た種)
  • マグヌシアーナ(T.magnusiana 、柔らかく繊細な葉を持つ種)
  • メラノクラテル(T. melanocrater、別名トリコロール、硬い葉が長く伸びる種)


栽培[編集]

  • 栽培植物としての本属は、時期によっては、日本では専門店だけでなく百貨店やホームセンターなどでも入手が可能である。但し、時には株が幼すぎたり、不適切な管理のために衰弱または枯死したりしている場合もあるため、購入の際には株の状態に注意が必要である。
  • 「エアープランツ」は正式名ではなく、商標的な俗称である。チランジアは日本の気候下では空気中の水分だけでは生きていくことが出来ず、栽培下では時々水を与えることが必要となる。水を与える回数や量は季節や置かれている場所の湿度によって調節が必要である。また蒸れに弱い種も種も多いため、通風にも注意が必要である。
  • 「エアープランツ」として売られている場合、週に2、3回霧吹きをするだけで簡単に育てられる様な旨が書かれた説明書きが付いている場合が多い。しかし実際には簡単ではなく、むしろ育成にはランのようにコツが必要で、環境づくり・管理の難しい植物である。また、種によって日照・水(湿度)・温度等の生育条件は様々なので、個々に調べて理解しておく必要がある。
  • 水を与える方法には2通りの方法がある。ひとつは植物体に霧吹きによって水をかける「葉水」で、もうひとつは水を張った洗面器などに植物体を数時間沈めて行う「ソーキング」である。葉水は日常的に、ソーキングは株が特に乾いているときや専門店以外で購入した際などの多量の水を与えたい場合に行う。但し、葉の付け根に水分が長時間残ると枯死の原因となる場合があるため、ソーキングの後には植物体を逆さにするなどして十分乾燥させる必要がある。
  • 水を好む壺型種や大型葉もの等は、素焼き鉢にバークチップBark chips)や水ゴケで植え込み鉢植え仕立てにすることが出来る。この場合、濡れた水ゴケから適度な湿度が供給されるので、株の健康状態を改善するのに好都合である。但し、蒸れに弱い種は過剰な湿気が枯死の原因となる場合があるので注意が必要である。
  • 本属は原則として全ての種類が花を咲かせる(めったに花をつけない種もある)。花が咲いて受粉すると実を結び、種を作ることが出来る。この他、多くの種では株が成熟すると、子株を作って栄養生殖も行われるのが一般的だが、子株が成長しないモノカルピックの種も存在する。尚、花が咲くと親株は衰弱する傾向にあり、開花後1-2年で枯れてしまう。然し、ケアの仕方によっては更に長く生き続けることができる場合も少なくない。
  • 本属の種子は微小で、銀葉種では種子から芽生えた幼株の成長もきわめて遅いため、日本国内の環境では実生による繁殖は困難である。栽培下での繁殖手段としては、親株に幾つか出来た子株を、ある程度大きくなってから切り離すことで株分けする方法が一般的である。また、沢山の子株をつけたまま、クランプ(群生株)として育てられる場合も多い。

脚注[編集]

  1. ^ Tillandsia Tropicos
  2. ^ AN ALPHABETICAL LIST OF BROMELIAD BINOMIALS, ELEVENTH EDITION. USA: the Bromeliad Society International. (2008). 
  3. ^ Linnaeus, Carl. 1753. Species Plantarum 286.