タパイ

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タパイを作る女性

タパイ(Tapai)はインドネシアマレーシア醸造酒および発酵食品タペ(tape)とも呼ばれる[1]ボルネオ島北部のサバ州で作られ、壺酒として飲んだり甘酒状のスナックとして食べる事もある[1][2]

概要[編集]

粳米を蒸し煮し、直径1cmほどに丸める[2]もち米黒米キャッサバを用いる事もあり、キャッサバなら皮をむいて煮る[3]。米1kgに対して約3個のラル・バタイと呼ばれる餅麹を砕いて散布し、軽く混合してからに入れて蓋をする[2]サバ州の25 - 35の気温で2日ほど経つと米の形が崩れ始め、発酵によりガスが発生する[2]。スナックとする場合は、この段階で食べる。さらに液化が進み、1週間ほどでタパイが完成となる[2]。色調はやや黄色[2]アルコール度数は20%ほどである[4]

壺酒として飲む場合は、タパイの入った甕に水を注いで1 - 2時間置き、底まで届く長いストローを差し込んで回し飲みする[5]。また、タパイを蒸留してハーブの根などを加えた蒸留酒も祭礼などで飲まれる[4]。食用とする場合は、バナナで包んで屋台などでも販売される[3]。タパイを乾燥させた落雁のような菓子もある[3]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 環境再生保全機構 (2013). 海外派遣研修 マレーシア サイト訪問記録 モンソピアド村 (PDF) (Report).
  • 鳥潟顕雄「ボルネオ島の米酒タパイ」『日本醸造協会誌』第98巻第7号、日本醸造協会、2003年、505-506頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.98.505 
  • 松山晃、永ノ尾信悟「古代ジャワの酒とインド・中国の影響」『日本醸造協会誌』第92巻第3号、日本醸造協会、1997年、195-202頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.92.195 
  • 辻村克良「インドネシアの食品と食生活」『化学と生物』第19巻第8号、日本農芸化学会、1981年、540-548頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.19.540