コンプレッサー (音響機器)
コンプレッサー (compressor) は、エフェクターの一種である。音の強弱の差を縮小する効果がある。略してコンプと呼ばれることもある。
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概要[編集]
「自動利得制御」も参照
入力音量が予め設定した一定の値(スレッショルドレベル、しきい値)を超えた場合、超過した音量を設定した比率(レシオ、レイシオ、圧縮比)で抑え、設定された時間で解放(リリース)するプロセスによって、変化している音量(一般に楽曲は進行とともに音量が変動する)の最大値を低下する。このことにより、低下した最大音量は(同じく変化している音量の)最小値に近づき、最大音量と最小音量の差(ダイナミックレンジ)を圧縮する効果を得る。コンプレッサーを通したのみでは音源の音量が低下して聞こえるため、コンプレッサーの後段に繋ぐミキシング・コンソールやアンプなどで必要に応じ低下分を補償増幅する。また、この低下分補償用の増幅回路を内蔵する機種もある。
入力信号が強くなるほど、増幅率が一定の比率で低くなる電子回路を用いる。電子回路がほとんど同じなので、コンプレッサーとリミッターが統合され、1つの機器で両方の動作が可能な機種もある。さらには様々な動作が可能なエフェクタの1機能としてコンプレッサーを備えている機種もある。
ダイナミックレンジ圧縮を得る構成[編集]
ダイナミックレンジを圧縮するには以下の2通りの構成がある。
- 前段で最大音量部分を抑え(これをダウンワードコンプレッションという)、これによって不足した総音量を後段で増幅する。
- 前段で最小音量部分を底上げし(これをアップワードコンプレッションという)、これによって増加した総音量を後段で低減する。
コンプレッサーを設定調整する手順はいずれも前段(の圧縮率)を先に、次に後段(の総音量)を操作する。先述のとおり、ほとんどのコンプレッサーは 1. の構成を採り、後段の増幅器を内蔵するか後続の機器に増幅を委ねる。2. の構成はコンプレッサーを作動させた時点で音量が増加してしまい、後続のミキシング・コンソールやアンプへ過大な信号電圧を与える可能性があり、1. の構成を採る製品に比して調整過程で操作上の留意を伴う。過大な信号電圧による全高調波歪は機器(特に高音域スピーカー)を損傷する場合がある。
使用例[編集]
楽器[編集]
ギターでは音の粒(1音ごとの強さ)をそろえる場合に用いることが一般的である。圧縮が始まってから設定レシオに到達するまでの時間(アタックタイム)を調節してピッキングの音を強調することもある。 スレッショルドレベルを低く、圧縮比を高く設定すると、ギターでは同じ音量が長時間維持されるので、減衰時間を伸ばすサスティナーに近い役割をする。 ただし、コンプレッサーを強く掛けすぎると、音に歪みがでたり、音質自体が変わったり、ピッキングの音が消えてオルガンの音のようになってしまう場合もある。
なお、ギターだけでなく、ヴォーカルの収音にも頻用される。 その他、ベースやドラムなど、様々な楽器にも用いられることがある。
また、すべての楽器隊(マスタートラック)、あるいは楽器単体にコンプレッサーをかけた後に音量を増幅することで、できるだけ長時間大きな音量が維持される(VUメーターが最大に張り付く)ように使われる事もある。この手法はしばしば「音圧を上げる」あるいは「音圧を稼ぐ」と表現される。 ただしマスタートラックに適用した場合、音量の最大と最小の差が圧縮される(ダイナミックレンジが小さくなる)ため、曲の強弱が損なわれて平坦になってしまうので、強弱を聴かせる曲には向かない(反面、強弱が平坦な曲にはよく使用される)。さらにコンプレッサーを掛けることによってうるさくなってしまったりもするので、使い過ぎは避けたい。使用を誤ると音が歪んでしまうので、使用する際は注意が必要である。
声[編集]
コンプレッサーは、声において歯擦音('ess' の音)を取り除くために、分岐したイコライザーで当該周波数を強調した音声信号をコンプレッサーの制御入力端子に接続して、歯擦音の周波数でのみコンプレッサーが動作するようにして使われることがある。この使用法をディエッシング という。後段増幅器の利得を予め下げないままなど不用意に動作を解除すると、たとえレベルがさほど高くなくても歯擦音は歪の原因となる可能性がある。
コンプレッションは、SSB を用いるアマチュア無線の音声通信でも用いられる。以下の用法は、複数のアマチュア無線局が遠距離の無線局と交信する好機会を得るために争う、パイルアップの時にとりわけ見出される。
- 送信機において
- 受信機において
コンプレッションは陸上移動の無線においても用いられ、とりわけ業務用のウォーキートーキーの音声送信において、また遠隔操作での電話の転送において用いられている。