19インチラック

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19インチラックと機器類

19インチラックは、複数の機器類を収容するための規格化されたラック(rack)である。

概要[編集]

機器をラックに収納する発想は、電話交換機に端を発しており、現在[いつ?]においても通信機器類の収容が大きな用途である。その他、工場の制御機器、業務用音響機器や映像機器、実験機器など産業界において広く使われる。近年[いつ?]ではコンピュータの発達とインターネットの普及に伴い、企業や学術研究機関、データセンターコールセンターにおいてコンピュータ機器、通信機器を収容する用途が増加している。現在[いつ?]はDIYタイプもあり、現場まで配送、簡易組み立てが可能となったため、個人で設置する事も多い。

EIAにより規格化された(TIA/EIA-310-D Cabinets, Racks, Panels, and Associated Equipment)。機器取り付け用の支柱のネジの水平間隔が 19インチ と定められている。 国際規格では国際電気標準会議 IEC 60917 Modular order for the development of mechanical structures for electronic equipment practices にて規格化されている。 日本でも同等なサイズのラックが日本工業規格においてJIS C 6010『 一般電子機器用ラック及びユニットシャシの寸法』として規定がある。 これらも19インチラックと通称される。 いずれも約483mm幅程度の機器を実装できる。耐震性についての規格はNEBS(Network Equipment Building Systems)により定められている。

価格帯
一般的に、19インチラックを採用した製品は、それ以外の通常製品と比べて、割高になる場合が多い。ビジネス向けにプロ仕様の高機能・高スペックで作られている場合が多いことも、その一因である。また、企業向けの価格ということで、あえて高めの値段をつけて、営業時での割引戦略を行うことも少なくない。

ラックの内部[編集]

ラック取り付け部の高さ寸法
横幅
全体の幅の基本は約60cmであり、主としてコンピュータを収めるものをサーバーラックといい、ルーターハブなど通信機器を納めるものはネットワークラックという。ネットワークラックには配線の引き回しを容易にするため、70cm 位の幅があるものがあり、「ワイドラック」という。
コンピュータなどでラックに収容することを想定した設計のものを「ラックマウント型」と称する。通常、機器の前面左右にラック取付け用に、アングル状の金具(「耳」と称する)を有する。これは取り外し可能としている製品もある。ラック実装を考慮していない機器を収容するための棚「ラックマウント・アダプター」を用いる場合もある。
コンピュータメーカーによっては一部タワー型ワークステーションをラックマウント出来るようにするキットをオプション販売している。
高さ
実装機器の高さ方向は、U(ユニット)と言う単位で規定され、1U = 1.75インチ (44.45mm) である。取り付ける機器は、その高さにより 1U、2U サイズといった呼び方をされる。通常、4Uくらいまでのサイズが一般的である。
奥行き
奥行き方向は規定がなく、取り付ける機器の奥行きを考慮して選択する必要がある。
取り付けネジ
取り付けネジのピッチは、EIA規格ではユニバーサルピッチとワイドピッチの2種類がある。ワイドピッチは、ネジ穴間隔が31.75mmと12.7mmの繰り返しである。ユニバーサルピッチは、ワイドピッチの31.75mmの中間にネジ穴があり、1U機器の中央を一点でマウント可能である。
JIS規格では、実装ピッチは50mmの整数倍である。また、ねじ穴間隔も25mmの等間隔である。このため、米国製や英国製の機器と日本製の機器を混在して実装する場合には、配置に注意を要する。場合によっては、専用のブランクパネル(ふさぎ板)で、機器間のすきまを埋める必要がある。
取り付け用のネジの径は、5mm と 6mm があるので注意が必要である。メーカーによっては、どちらでも取り付け可能なように、支柱に別途ナットを取り付ける形式のものもある。角穴支柱の取り付けナットは「ケージナット」、丸穴支柱の取り付けナットは「ラックナット、クリップナット」と呼ばれる。ラックナットによっては、角穴支柱にも使えるものがある。

ラックの外観[編集]

形状
ラックの外観も、EIA(JIS)としての規定はなく、支柱だけのむき出しのものから気密構造のものまで用途、設置場所によりさまざまである。ただし、支柱が4本構造の簡易的なものをCAB型。データセンターなどに利用される、強い構造の地震に強い8本構造(フレーム部に4本、サーバなどの実装部に4本)の本格的なものはKAD型と呼ばれている。
発熱・電源
サーバなどが数十台入ると、その発熱は非常に高くなるため、冷却排熱のための通風口やファンを前面、背面、天井面に取り付ける場合もある。
また、多くの機器の電源をとるために、口数の多い専用のパワーストリップ(和製英語ではテーブルタップ、OAタップ)を使用する場合もあり、これをコンセントバーとも呼んでいる。一般的なものはケースに収められ、前面・背面がドアになり、サイドにパネルが装着され、メーカによっては、オープンラックとして、最低限の構造部品のものから、スタンドやキャスター、冷却用FAN、OAタップまで標準装備されている場合まである。
ラックの高さ
ラックの高さも(スタンド・キャスター・ラックキャビネットの上下フレーム部含み)70cm(約15U)程度のものから2m(約42U)程度以上のもの、46Uや49Uなどデータセンタ向けのさらに高いハイトのものなど各種あり、大型のものは耐震対策のため、必要に応じ、床にアンカーボルトを打って固定する。
場合によってはさらにアングルあるいは天板にアイボルトをねじ込んで天井から吊って固定することもある。
連結・移動
複数本のラックで構成される場合には、隣合うラックをねじにより締結する場合や、複数の左右間及び通路を挟んだ前後間をフレームで固定する場合などがある。
一方背の低いラックでは移動可能なように自在車輪(キャスター)を付けているものもあり、実験室で測定器システムなどを実装する場合などに良く使用される。
高いハイトのラックは搬入時に40U程度の高さで上下に分割出来るものがある。高さの低い搬入口でも横倒しせずにキャスター移動で搬入する事が出来る。分割された上部を「トップハット」と呼ぶ。
その他
小型のラックには、数台のハブを縦方向に設置するタイプのものもあり、ハブラックなどと称する。
大規模システムインテグレーションを行う通信機器・産業機器メーカーでは、自社製のラックを製造しており、システムの外観をそろえるためサブコントラクターとなったメーカーに供給することもある。

主要メーカー[編集]

関連項目[編集]