甲状腺機能低下症

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クレチン症 から転送)

甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)は甲状腺ホルモンの分泌量(活性)が不十分となる疾患である。代謝内分泌疾患の一つ。先天性、あるいは幼少時発症の甲状腺機能低下症は発達上の障害が大きな問題となるため特にクレチン症という。

目次

[編集] 病態

甲状腺ホルモンは全身のエネルギー利用を促すホルモンである。エネルギー需要に応じて甲状腺から分泌されるが、本症ではこれが不足するので全身でエネルギーを利用できず、神経系、心臓代謝など各器官の働きが低下する。

[編集] 分類

甲状腺ホルモンの不足する状況としては、分泌調節の段階から次のように分類できる。

  1. 原発性 : 甲状腺自体の問題のため分泌ができない場合を原発性甲状腺機能低下症と言う。
  2. 二次性 : 甲状腺刺激ホルモン(以下TSH)が減っているために甲状腺ホルモンを分泌できない場合を二次性甲状腺機能低下症と言う。
  3. 三次性 : 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(以下TRH)が減っているためにTSH、甲状腺ホルモンとも分泌できない場合を三次性甲状腺ホルモン低下症と言う。
  4. さらに、ホルモン分泌量は十分でありながら、レセプターの異常によって利用できていない状態(ホルモン不応性)という状態もありうる。

次性を°、甲状腺ホルモンをT、上昇を↑、低下を↓、因果関係を(原因)→(結果)、と略記すると、以上の分類は以下のように略記できる。

  1. °: T↓
  2. °: TSH↓→T↓
  3. °: TRH↓→TSH↓→T↓

[編集] 原因

自己免疫障害によって甲状腺が攻撃される橋本病では、甲状腺が慢性炎症を起こして機能が低下する。これは原発性に分類される。発展途上国では甲状腺ホルモンの材料であるヨードの摂取不足により甲状腺ホルモン自体を合成できないことも原因になる。このほか、手術や放射線治療により甲状腺を摘出したり廃絶させた場合に医源性の甲状腺機能低下症となる。

[編集] 統計

もっとも多いのが橋本病である。二次性、三次性のものは脳腫瘍が原因となることが多い。

[編集] 症状

全身がエネルギーを利用できないので症状は非常に多彩である。 主な症状は無力感、皮膚の乾燥、発汗減少、便秘、体重増加などである。 全身の活動が低下して無力感を感じたり低体温になる。皮膚も活動が低下して、低体温とあわせて発汗が減少し乾燥する。代謝が低下して皮下に粘液状の物質が沈着して浮腫む。この浮腫みは粘液状物質でできているので粘液水腫と言う。粘液水腫は普通の浮腫みと違って指で押しても凹みが戻らないので、本症鑑別の手がかりになる。腸管も活動が低下して便秘になる。活力の低下により精神活動も緩慢となり、偽痴呆を呈することがある。心臓も活動が低下して徐脈になる。心臓への粘液状物質の沈着も見られ、不整脈の原因となる。

本症で問題となる症状は早老による動脈硬化などである。 また子供のクレチン症の場合は生育に必要な甲状腺ホルモンが欠如するので、発育障害や知的障害にいたる場合がある。

[編集] 検査

本症は血液検査で血中の甲状腺ホルモンを測定することで診断できる。

[編集] 診断

TSHTRHの反応から二次性、三次性が鑑別できる。

[編集] 治療

治療は甲状腺ホルモンの投与を行うが、軽度であれば経過観察のみとすることもある。

[編集] 関連項目