エディ・グラント

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エディ・グラント
2009年
基本情報
出生名 Edmond Montague Grant
生誕 1948年3月5日
旧イギリス領ギアナ プレザンス
出身地 イギリス ロンドン
ジャンル レゲエ、ソウル、カリプソ、ファンク、ワールドミュージック、エレクトロポップ
職業 音楽家
担当楽器 ギター
ボーカル
活動期間 1965 -
レーベル

エディ・グラント(Eddy Grant)ことエドモンド・モンタギュー・グラント(Edmond Montague Grant 1948年3月5日 - [1])は、ガイアナ系イギリス人のシンガーソングライターマルチ奏者ポップスブリティッシュ・ロックソウルファンクレゲエ電子音楽、アフリカのポリリズムサンバなどのラテン音楽といったジャンルを融合させたサウンドで知られる[2]ほか、「リングバング英語版」という音楽ジャンルの開拓に貢献した[3]。彼は、イギリスで最初の人種統合されたポップグループの1つであるイコールズ英語版 (The Equals) の創設メンバーだった。その後、ソロキャリアにおいてシングル「エレクトリック・アベニュー英語版」を国際的にヒットさせた。

生い立ち[編集]

グラントはイギリス領ギアナ(現・ガイアナ)のプレザンスで生まれ、後にリンデンに移った[4][5]。父パトリックは、「Nello and the Luckies」というバンドのトランペット奏者だった[5]。彼が学校に通っている間、両親はイギリスで出稼ぎし、彼の教育のためにお金を仕送りした[5]

1960年、彼はロンドンのケンティッシュ・タウン英語版に住む両親のもとに移住した[6]。彼はタフネル・パーク英語版総合学校であるアクランド・バーリー・スクール英語版中等教育を受け、楽譜の読み書きを学んだ[7]。この頃フィンズバリー・パーク・アストリア英語版で演奏するチャック・ベリーを見て大ファンになり、音楽のキャリアを積むことを決心した[7][8]

キャリア[編集]

イコールズ英語版」時代のグラント(後ろ)。1968年4月にアムステルダムで撮影

1965年、グラントはイコールズ英語版を結成し、ギターを弾き、バックグラウンドボーカルを歌った。バンドは、2作のアルバムおよびシングル「I Get So Excited」でマイナーヒットを記録したのち、1968年にグラント作曲の「Baby, Come Back」で全英シングルチャート1位を記録した[9](「Baby, Come Back」は、1994年に、パト・バントン英語版レゲエグループ「UB40」のロビン・キャンベルとアリ・キャンベルをフィーチャーしてカバーし、同じく全英1位を獲得した[10])。

イコールズは、1970年代の終わりまでにイギリスでさらに5つのトップ40ヒットを記録した[11]。上記ヒットと同題のアルバム『Baby Come Back』収録の「ポリス・オン・マイ・バック (Police on My Back)」を、ザ・クラッシュ(アルバム『サンディニスタ[12])やウィリー・ナイル英語版(アルバム『Streets of New York[13])がカバーしているほか、アルバム『Supreme』収録の「Green Light」はデトロイト・コブラズ英語版(アルバム『Tied & True[14])がカバーしている。

1982年以降、グラントはバルバドス(のちに「ブルー・ウェーブ・スタジオ」を設立した地)に拠点を置き、同年、彼の最も成功したアルバム『カリビアン・キラー英語版 (Killer on the Rampage)』をリリースした。イギリスでアルバムチャート首位を3週間保ったほか、シングルカットされた「エレクトリック・アベニュー英語版」は、イギリス・アメリカ双方のチャートで2位となった[6][8][15]。彼はこのかたわら、David RudderMighty Gabby、Tamu Hibbert、Grynnerなどのカリブ地域のアーティストのプロデュースとプロモーションを開始した[6]

映画『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』(1984年)のタイトル曲「カリビアン・ロマンス英語版 (Romancing the Stone)」は、映画本編では流されなかったため、イギリスではトップ50外と失速したが、アメリカとカナダではヒットした[6]。その後のアルバム『カリビアン・ロマンス英語版 (Going For Broke)』(1984年)、『ボーン・タフ (Born Tuff)』(1987年)、および『File Under Rock』(1988年)はチャート入りに失敗し、ヒットシングルを生み出せなかった[6]。1987年、グラントはエドワード王子のチャリティーテレビ特別番組「The Grand Knockout Tournament」に参加した。グラントは1988年に反アパルトヘイトを歌ったシングル「ギミー・ホープ・ジョアンナ英語版 (Gimme Hope Jo'anna)」で全英7位となり、チャートに復帰した[6][7][15]。なお、この曲は南アフリカ政府によって発売が禁止された[16]

1980年代後半、彼は音楽出版やナイトクラブなどの他のビジネス上の利益を追求し、「ブルー・ウェーブ・スタジオ」を設立。ローリング・ストーンズスティングクリフ・リチャードエルヴィス・コステロが使用し、成功を築き上げた[7][6]

ディスコグラフィー[編集]

アルバム[編集]

主なヒットシングル[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 243. ISBN 1-904994-10-5 
  2. ^ Himes, Geoffrey (1983年8月2日). “Eddy Grant's Electric Rock”. 2021年3月19日閲覧。
  3. ^ Greene, Jo-Ann. “Eddy Grant – Music Biography, Credits and Discography”. AllMusic. 2013年7月2日閲覧。
  4. ^ Gregory, Andy (2002), International Who's Who in Popular Music 2002, Europa, ISBN 1-85743-161-8, p. 202.
  5. ^ a b c "Eddy Grant – the Ringbang man and a national icon is a ‘Special Person’", Kaieteur News, 3 March 2013. Retrieved 28 April 2016
  6. ^ a b c d e f g Thompson, Dave (2002) Reggae & Caribbean Music, Backbeat Books, ISBN 0-87930-655-6, pp. 111–114
  7. ^ a b c d Lewis, Pete (2008) "Eddy Grant: Electric Interview", Blues & Soul, Issue 1076. Retrieved 28 April 2016
  8. ^ a b 100 Years of British Music, Omnibus Press, 2014, ISBN 978-1783055074
  9. ^ Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 185. ISBN 1-904994-10-5 
  10. ^ Roberts (2006). British Hit Singles & Albums. p. 42 
  11. ^ "Equals", Official Charts Company. Retrieved 28 April 2016
  12. ^ Deming. “Police on My Back – The Clash : Listen, Appearances, Song Review”. AllMusic. 2013年6月29日閲覧。
  13. ^ Thompson (2006年2月21日). “Streets of New York – Willie Nile : Songs, Reviews, Credits, Awards”. AllMusic. 2013年6月29日閲覧。
  14. ^ Deming (2007年4月24日). “Tied & True – The Detroit Cobras : Songs, Reviews, Credits, Awards”. AllMusic. 2013年6月29日閲覧。
  15. ^ a b "Eddy Grant", Official Charts Company. Retrieved 28 April 2016
  16. ^ Perry, Andrew (2008) "How Eddy Grant gave hope to South Africa", The Daily Telegraph, 27 June 2008. Retrieved 28 April 2016

関連項目[編集]

外部リンク[編集]