ウォレス・ワトルズ

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ウォレス・ワトルズ

ウォレス・ワトルズ こと Wallace Delois Wattles(1860年 - 1911年)は、アメリカ合衆国の作家、思想家。ワトルズの生涯ははっきりとはわかっていないが[1]、著作物は広く引用され、ニューソートの自助運動を巻き起こした。

ワトルズの代表作は、裕福になるための理論を説いた 1910年の『富を引き寄せる科学的法則』(The Science of Getting Rich) である。

生涯と略歴[編集]

ウォレス・ワトルズが亡くなった直後に、娘のフローレンス・A・ワトルズが父の生涯を記述した『Letter』が、エリザベス・タウン編集の下でニューソート誌の『Nautilus』に掲載された。『Nautilus』には、ワトルズの著作が過去に何度も載っており、タウンはワトルズの書籍の発行者でもあった。フローレンス・ワトルズは、父は 1860年にアメリカ合衆国で生まれ、ほとんど正規の教育を受けておらず、富の世界に受け入れられていないことに気づいたと書いている[2]

1880年のアメリカの国勢調査によると[3]、ウォレスはイリノイ州マクヘンリー郡の田舎町の農場で両親と一緒に暮らしていた。ウォレスの父は庭師で、母は専業主婦だった。ウォレスの両親はニューヨーク出身で、ウォレスはイリノイ州出身であると発表されている。兄弟の存在は記録されていない[4]。1910年の国勢調査によると[5]、ウォレスは苗字の綴りを「Walters」から「Wattles」へ変更していて、結婚しており、フローレンスを含む 3人の子供がいて、ウォレスの母も一緒に暮らしていることが確認できる。

フローレンスによるとウォレスは「たくさんお金を儲けて、性格のもろさを除くと、健康だった」とし、1911年に亡くなった[2]。ウォレスは亡くなったときは 51歳で、フローレンスによると「若すぎる」死だった[2]。死の前年には、2冊の本(『The Science of Being Well』と『富を引き寄せる科学的法則』(The Science of Getting Rich))を発表するだけでなく、選挙へ出馬もしていた[6]

オラ・エレン・コックスが 1916年に書いた『The Socialist Party in Indiana』によると、ワトルズは晩年インディアナ州コーコモーの近くの町で暮らしていた[7]。娘のフローレンスによると、ワトルズが暮らしていた町はインディアナ州のエルウッドである[2]

社会主義者[編集]

1896年にシカゴでワトルズは、キリスト教社会主義を唱えることで全国的に知名度が高かったジョージ・D・ヘロン会衆派教会の牧師でグレノル・カレッジの教授でもある)と出会った[2][8][9]

ヘロンと会った後、ワトルズは社会主義の空想家となり、フローレンスによると「すばらしい、社会主義は神の言葉だ」と言っていたとしている[2]。フローレンスによると、ワトルズはメソジスト教会でそれなりの位置にいたが、「異教」のため放り出された[2]。ワトルズの 2冊の本(『A New Christ』、『Jesus: The Man and His Work』)は、社会主義の角度からキリスト教を論じたものである。

1908年の下院議員選挙では、ワトルズはアメリカ社会党から立候補した[10]。1910年には、再度社会党から立候補した[6]が、どちらの選挙でも敗北した。フローレンスによると、ワトルズは死後もしばらく社会党員のままで、1912年と1915年の社会党全国委員会での代議員だった[11]

ニューソート[編集]

アメリカ合衆国中西部の人であるワトルズはエマ・カーティス・ホプキンスウィリアム・ウォーカー・アトキンソンニューソートのリーダー達とシカゴへ行き、インディアナ州で日曜夜に講義をしていた[2]が、ワトルズの本を発行するのはマサチューセッツを拠点とするエリザベス・タウンだった[12]

ワトルズは、ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルラルフ・ワルド・エマーソンの著作物を学び[13]、彼らの著作物についての解説書『コスモス一元論』を著している[13][14]

ワトルズは研究と実験を通して、ニューソートの原理と真実を発見して自身の人生でそれらを実践したと述べた。ワトルズはホーレス・フレッチャーの『完全咀嚼法』やエドワード・フッカー・デューイの『朝食抜き計画』ら人気のある健康論を唱え[14]、それらは自身の生活にあてはまったと主張した。さらに、それらの主義と実行方法の概説本(『Health Through New Thought and Fasting』、『The Science of Being Great』)を書いた。

ワトルズは、元の理論提唱者の言葉を理解するよりも、むしろ読者が実践することを奨励していた。そして、彼らがそれらの説を発表するより前に、自身で実際に実践したと主張した[14]

ワトルズは、創造的に想像する技術を磨いた。娘のフローレンスの言葉を使うと、「心の絵」のイメージであり、それは「目標の実現に向かって扱われる。」[2]

ワトルズは書き続けた。それが、心の絵をつくりあげたとのことだった。自身が成功した作家で優れた男であるという目標の実現を目指して努力した。…彼の人生は本当にパワフルだった。

影響[編集]

ロンダ・バーンが『ザ・シークレット』について『ニューズウィーク』からインタビューを受けた際、ワトルズの『富を引き寄せる科学的法則』の影響を受けたと語っている[15]。バーンの娘ヘイリーは、バーンが挫折から立ち直るのを助けるため、ワトルズの本を母に渡した[16]。『ザ・シークレット』は、他のニューソート思想家であるウィリアム・ウォーカー・アトキンソンの1908年の作品『Thought Vibration or the Law of Attraction in the Thought World』に記された『引き寄せの法則』も参照されている。

作品[編集]

  • The Constructive Use of Foods (パンフレット)
  • Health Through New Thought and Fasting - ISBN 978-0766184268
  • Hellfire Harrison (唯一の小説)- ISBN 978-1110909551
  • Jesus: The Man and His Work
  • Letters to a Woman's Husband (パンフレット)
  • Making of the Man Who Can
  • A New Christ
  • New Science of Living and Healing - ISBN 978-1432518851
  • The Science of Being Great - ISBN 978-1585426287
    • 『「思い」と「実現」の法則』 佐藤富雄 監訳、イースト・プレス〈East Press business〉、2006年8月。ISBN 4-87257-709-4
  • "Perpetual Youth" (1909, in The Cavalier), 初期のサイエンス・フィクション記事[17]
  • The Science of Being Well (Elizabeth Towne, 1910) - ISBN 978-1602060487
  • The Science of Getting Rich (Elizabeth Towne, 1910) - ISBN 978-1162739854
    • 『お金持ちになる科学』 松永英明 訳、ぜんにち出版、2005年12月。ISBN 4-86136-057-9
    • 『富を手にする「ただひとつ」の法則』 宇治田郁江 訳、フォレスト出版、2005年7月。ISBN 4-89451-200-9
    • 『図解 幸せなお金持ちになる「確実な法則」ノート 『「原因」と「結果」の法則』と並ぶ“幻の名著”が、ついに図解化!』 片山麻衣子 訳、イースト・プレス〈East Press business 「思い」と「実現」の法則 2〉、2006年5月。ISBN 4-87257-646-2
    • 『幸せなお金持ちになる「確実な法則」』 佐藤富雄 監訳、イースト・プレス〈East Press business 「思い」と「実現」の法則 2〉、2007年3月。ISBN 978-4-87257-766-2
      • 『図解 幸せとお金を引き寄せる「確実な法則」』 佐藤富雄 監訳、イースト・プレス〈East Press business〉、2010年4月。ISBN 978-4-7816-0371-1
    • 『確実に金持ちになる「引き寄せの法則」』 川島和正 監訳、三笠書房〈知的生きかた文庫〉、2008年3月。ISBN 978-4-8379-7699-8
    • 『富を「引き寄せる」科学的法則』 山川紘矢山川亜希子 訳、角川書店(出版) 角川グループパブリッシング(発売)〈角川文庫〉、2008年1月。ISBN 978-4-04-297201-3
  • How to Promote Yourself (Elizabeth Towne, May 5, 1914) - ISBN 978-0963991232
  • Scientific Marriage
  • What Is Truth? (serialized in The Nautilus Magazine, Elizabeth Towne, 1909)
  • Financial Success Through Creative Thought (published posthumously in 1915) - ISBN 978-0892810284

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Butler-Bowdon, Tom (2004) 50 Success Classics, Nicholas Brealey Publishing, ISBN 978-1-85788-333-6, p. 287.
  2. ^ a b c d e f g h i Biographical note in Wattles, Wallace (September 1996). How to Be a Genius: Or the Science of Being Great. Health Research. pp. 99-100. ISBN 0787309370. , including "excerpts from a letter to Elizabeth Towne" by Florance Wattles, originally published in Nautilus magazine, 1911
  3. ^ 1880 U.S. Census
  4. ^ Household record, 1880 United States Census
  5. ^ 1880 U.S. Census - McHenry County, Illinois Genealogical Society
  6. ^ a b Indiana Secretary of State (1910) Annual Report, p. 251.
  7. ^ Cox, Ora Ellen (1916) "The Socialist Party in Indiana", in Indiana Magazine of History, June 1916, Indiana University, Dept. of History, p. 127.
  8. ^ George D. Herron Collection, 1891 - 1973 (bulk 1891-1903)”. Grinnell College Libraries. 2011年9月6日閲覧。 “"George Davis Herron (1862-1925) was a Congregational Church minister and professor of Applied Christianity at Grinnell College from 1893-1899 where he attracted nationwide attention for his radical statements. After his resignation in 1899 and his scandalous divorce, he joined the Socialist Party and married Carrie Rand. They moved to Italy where he worked for peace as an emissary of President Woodrow Wilson."”
  9. ^ “White and Herron To Parley With Reds; Kansas Editor and Socialist Professor Selected as American Delegates to Prinkipo.”. The New York Times. (1919年2月8日). http://query.nytimes.com/gst/abstract.html?res=9804EED61039E13ABC4053DFB4668382609EDE 2008年8月19日閲覧。 
  10. ^ Indiana Secretary of State (1910) Annual Report, p. 337.
  11. ^ Karen Kelly (1st edition, July 24, 2007). The Secret of the Secret: Unlocking the Mysteries of the Runaway Bestseller. Thomas Dunne Books. p. 83. ISBN 9780312377908. ""[T]he name Florence Wattles appears on lists of delegates to the Socialist Party National Committee in 1912 and 1915."" 
  12. ^ Karen Kelly (1st edition, July 24, 2007). The Secret of the Secret: Unlocking the Mysteries of the Runaway Bestseller. Thomas Dunne Books. p. 89. ISBN 9780312377908. ""She [Towne] ran pieces by Wallace Wattles in almost every issue [of The Nautilus] during the early 1900s."" 
  13. ^ a b Sullivan, Dr. Gary (2007) A Christian Study of Wallace D. Wattle's Science of Getting Rich, Gold Stag Communications, ISBN 978-0-615-14204-3, p. 31.
  14. ^ a b c Wallace D. Wattles (1968). The Science of Being Well. Pomeroy, Washington: Health Research. ISBN 0787309389. http://books.google.com/?id=mUgPAAAAIAAJ&dq=wattles. 
  15. ^ Jerry Adler (2007年8月21日). “Decoding The Secret”. Newsweek. http://www.newsweek.com/id/36603/output/print 2008年8月19日閲覧。 
  16. ^ Vickery, Colin (2007年1月17日). “The Secret life of Rhonda”. Herald Sun. http://www.news.com.au/heraldsun/story/0,21985,21062184-5006022,00.html 
  17. ^ Bleiler, Everett Franklin and Richard Bleiler, Science-fiction, the Early Years, Kent State University Press, p. 792.

外部リンク[編集]